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「尋ねるプロジェクト」5
前回の記事で「尋ねるプロジェクト」について、「自分」、「人」、「モノ」に尋ね、「自由、創造、変化」を通して新しいものを創り出す活動と表明した。
「尋ねる」という行為には常に主体性が伴い、意図が内在する。一方で行為とは偶然に起きることもある。偶然と意図は単語として反意になるが、実社会では潜在意識を通して同時に起きることがある。
先日用事があり銀座で所用を済ませ、有楽町駅に向かって地下道を歩いていた。丸ノ内線の改札の目前ではたと何かが蠢いた。
「今通り過ぎたところに何かがあった」
目の前には改札。Suicaをかざして一歩踏み出せば地下鉄に乗れる。でも僕は何故かそうしなかった。今来た道を引き返し、数十メートルほど戻るとそれが目に飛び込んでくる。そこは元ソニービルがあった地下の部分。たしか飲食店や雑貨店があったあたりだ。いまは四方を無機質なコンクリートに囲まれ、何かのスペースになっている。ベンチやテーブルが設置され、何人かの男女が座っていた。
それはそのスペースの奥にあった。壁一面を専有し、燦然かつ落ち着いて存在している。僕はたまたまた持っていた銀塩カメラを取り出し、夢中でシャッターを切った。自分でも何の衝動に駆られるのかわからないままシャッターを切っていた。すると女性が話かけきた。
「これを撮りに来られたんですか?」
「いいえ、ただの通りすがりです。でも無性に心惹かれて・・・通り過ぎたものの気になって戻ってきたんです」
その女性(おそらくこのスペースの関係者)によれば、そのスペースはイベントやワークショップが開かれている場所とのこと。最近の騒動で各種イベントが中止となり、いまはただオープンスペースとしているそうだ。
「イベントがあるときは掲示物とかがたくさんあるので隠れてしまうのですが、今はああやって全体が見られます」
僕は銀塩カメラのシャッターを何回切っただろうか。まだ現像していないので出来栄えは分からないが、そのモノは僕の心を強く揺さぶった。
「実はもう一つ裏にあるんです」
女性の言葉に従って、僕は彼女についていった。
「ここです」
僕は言葉を失った。なんとこんなところに・・・
銀塩カメラでは構図上うまく撮れなかったのでスマホを取り出してとった。
「ソニービルがなくなった時、一つエレベータがなくなりました。その空間にビルのてっぺんに掲げられたいたネオンサインを設置したんです」
僕は何かに貫かれる衝動を受けた。実は銀塩カメラで撮ったものも大きなSONYの看板だった。
小、中、高、大と学生時代、僕にとってのあこがれはSONYだった。ラジオ、システムコンポ、ウォークマン、TV、PC等と何故か所有していたのはSONYの製品だった。最近もSONY製のガラススピーカーを買った。音楽、映像等その道のマニアな方々はソニーを少し低く見ている傾向がある。でも僕はマニアではないのでSONYの先進性、デザイン、コンセプトに物凄く惹かれる。
まだ輸入品が高級な存在だったころ、ソニープラザは聖地だった。昔ここに何度も通った。見たことものないデザインの外国製文房具は僕にとってのマストハブだった。
暫く先程の女性とそんな話をして別れた。
モノに尋ねることで、「見えないけど、感覚として触れることができるもの」を創造することができると感じた。可能であれば皆さんの「見えないけれど感覚として触れることのできるもの」をシェアしていただけるとありがたい。
この世には目に見えす、聞こえないものが存在している。混沌と不安の中に繰り出さなければいけない我々に必要なのはその存在しているものに気づくことではないかと思う。是非気付かせてくれると嬉しい。
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