【コントラクトブリッジ】テンポが足りないときの4Mのプレー【2023佐分利杯】

日経平均が回復してきて嬉しいです。40000円くらいまで上がってほしいです。


佐分利杯を振り返っていきます。佐分利杯は出身校が同じメンバーでチームを組むという制限が有ります。BAM+VPの珍しい試合形式です。3ボード×8ラウンドの前後半。1ラウンドあたりで、BAMは6点満点、VPも6点満点の合計12点満点です。我々は去年と同じチームで出場しました。パートナーはYプロ。早速振り返っていきます。


前半

パートナーのプリエンプトオープン後のペナルティ判断

あなたはサウス

#25 they vul 3rd

3S-(3NT)-?

アクションの方針はどうしますか?



テーブルで考えたのは、

・パスして3NT守るか、ダブルでペナルティの二択。
・パスして3NTを守るとH5個とC1個で2ダウン以上しそう。相手がバルなので200点取れる。
・ダブルは流れたら500点取れるけど、4Dに逃げられるのが嫌。ただ、4Dxが出来るとは限らない。H3C1ともう一個取れたら500。

4Dに逃げられるとは限らないし、4Dxもハート2~3個とクラブ1個は取れて落ちそうだからダブル。パートナーにSAとかCKとか有ると嬉しい。


ハンドは、

3S-(3NT)-X-(P);
P-(4D)-X///

4Dに逃げられてもう一度ダブル。HAKQ取れて、パートナーはクラブ捨て。CA、Cラフ、SシフトでSJ勝ち。D4-6-K-A、Sコンティニューをラフして4ダウン1100取り。思ったよりも取れました。

このラウンドはBAM2勝1敗の4点、VPは1100点勝ちの6点で10点。良いダブルになって良かったです。


続いて、

打たせて取る

全体のハンドから

自分はサウスに座っていて、ビッドは自分の1Hオープンから下の展開で4H。

1H-(X)-2H-(P);
4H///

ウエストのオープニングリードはS8。S8-J-A-6となって、イーストが長考。スペードコンティニューが来たのでダイヤを捨ててクラブをフィネスして、ハート32でメイク。

自分としてはただのラッキーだったんですが、お昼ごはんの時に裏ペアからどうやって作ったか聞かれて、パートナーが「プレーが上手だった。3rd/lowだからS8が出るときはS9で良いはずなのに、あえてSJを出すことでスペードを打たせていた。」とコメント。

言われてみてS9で良かったことに気付きました。でもS9を出してたらダミーにKJが残るから、イーストはスペード打てなくて赤いスーツを出すので4Hは落ちます。あえて損することで、相手に打たせて取るディセプティブプレー。対戦チームが総合2位だったので大きな得点になりました。


続いて、

BAMのオープニングリード

あなたはサウス

#51 they vul 1st

P-(P)-1NT-(2S)///

2S=S+m

リードは何を打ちますか?



テーブルで考えたのは、

・スペード、HA、DJの三択。
・相手のマイナーはどっちか分からないので、マイナーは打ちにくい。
・ハートとスペードはどちらも振り込みのリスクがある。
・そういえば去年の佐分利杯でも似たような迷いをしたことを思い出した。

去年の佐分利杯のハンド

このときはHAリードが当たり。今回もパートナーに点数多いし、同様にブラインドリードしたくないことを考えるとHAリードが良さそう。ということでHAを打つことにした。


実際のハンドは、

P-(P)-1NT-(2S)///

T1:HA-2-4-T
T2:S3-7-J-A
T3:S4-5-Q-2
T4:D7-Q-A-8
T5:SK

みたいな展開でスペードとダイヤのブレークが良くて3メイク。今回はスペードリードが正解でした。BAMのリード難しすぎます。


ちなみに裏は、

P-(P)-1NT-(2D);
P-(2H)-P-(2S)///

2D=D+M
2H=P/C
2S=D+S

1NTオーバーコールにドントを採用していたので、イーストのD+Sと、ウエストのダイヤショートが分かって、サウスはスペードリード。2メイクだったので取られでした。


前半は良いボードが多くて64点/96、2位/20チームで折り返して後半へ。

後半

プリエンプトの当たり外れ

あなたはサウス

#1 both non vul 3rd

3H-(P)-?

アクションの方針はどうしますか?



ハンドは、

3H-(P)-4H-(4S)///

普通に4Hビッドして、ウエストは4Sオーバーコール。4Sは落ちるかメイクするか微妙で、5Hは落ちそうという感じなので、大人しくパスして4S2ダウンで+100。

裏は、

P-(P)-1NT-(2S);
4D-(P)-4H///

サウスの4Hになって5メイクで450取られ。BAM2点取られで、350点マイナス。裏のオポーネントはノースでプリエンプトオープンせず。結果的にウエストは4Sビッドしない展開になったので、裏の作戦勝ちでした。

後から考えると、BAM形式なら一旦3Hパスするのも有りでした。こちらのハートは11枚くらいフィットしていて、パスしても3Hでは終わらなさそうなので、次の機会に4Hをビッドするのを狙います。サウスにハイカードが多くて、EWはハイカードバリューが少ないから3Sを言うのが精一杯の可能性も有ります。一回ビッドさせてから、4Hを置くと買いきれるかも。IMPなら3H流れると痛いのでできないですが、BAMならパスも有りかもしれないです。


続いて、

BAMのセーフティプレー

あなたはサウス

#3 they vul 1st

1S-(P)-1NT-(P);
2C-(P)-3S-(P);
4S///

自分の4SになってオープニングリードはHJ。

543
K87653
AT54
----

AKQ98
QT2
82
QJ4

T1:HJ-3-9-Q

プレーの方針はどうしますか?



ハンドは、

T1:HJ-3-9-Q
T2:C4-6-S3-9
T3:HK-A-T-4
T4:ST-?

S32だったらSA上がってスペード集めてハートでマイナー3枚捨てて6メイクですが、S41だったら1102負けてダウン。STを勝たせればS41でも5メイク。4Sは1S-2Sだったら到達できないことと、ダイヤリードなら5メイクは難しいことを考慮して、STダック。4S5メイクで450点でした。

裏は、1S-2H;3C-3S;4Hでノースの4Hになって5メイクでプッシュ。5メイクだとプッシュもあり得るから、BAMは6メイク目指すべきだったかもしれません。


続いて、

3分の2

全体のハンドから

自分はサウスに座っていて、ビッドはイーストの1SオープンからEWのフリーランで、

1S-2C;2H-3H;4H-4NT;5C-5D;6H///

オポーネントの6Hになって7メイク。オポーネントは「4NTに6Cでクラブボイド示すのはどう?」「パートナースーツだからボイド示さなかった。あとHQ確認できなくなるよ」「6Cに6DでHQ確認すれば良いじゃない?」と会話してました。個人的には5Cに賛成。6CまでジャンプするとHQ、SK、SQが隠れた上でスペースも無くなって7トライは難しいだろうから。ウエスト目線でSKとHQが分かったときに7H行けるパターンを拾いたいです。

裏は7Hに到達していたのでBAM2点取りの750点プラス。ビッド展開は、

1S-2C;2H-3H;3S-4C;4H-4NT;5C-5D;5S-7H///

※5S=SK+HQ

上手に7Hまで到達していました。ウエストは「イーストが4D飛ばしたからDK無いけど、SQが有れば良い7H、SJがあれば2wayフィネスだから当てれば良い。SQもSJも無い時は俺が悪い。3分の2は良いコントラクトになるから7Hビッドした。」とコメントしてました。イーストは「2wayなんて当たらないんだから勘弁してください」みたいに言ってましたが、いざという時に当ててくれると信じてます。

SQ+SJを持っているとか、S6枚以上持っていることも有るから、実際にはもう少し良さそうです。7Hナイスビッドでした。


続いて、

テンポが足りないときの4Mのプレー

あなたはサウス

#18 we vul 2nd

(P)-1S-(2D)-3D;
(P)-4S///

自分の4Sになって、ウエストのオープニングリードはC8。

T1:C8-5-6-9

オポーネントはユースの二回生です。プレーの方針はどうしますか?



テーブルで考えたのは、

・ルーザーはS1H2D1。ダイヤでハートを捨てることができれば各スーツ1つずつに収まってメイク。
・素直なプレーはすぐダイヤを負けに行って、リターン勝ってダミーに入って、ダイヤでハートを捨ててから、切り札を集める。ただ、ダミーエントリーが無いのでクラブラフされて落ちるかも。例えば、DAに負けに行ってハートシフトされたときに、HAで上がってクラブでダミーに入ろうとしたらウエストに切られてダウンするかも。配置が悪いと3ダウンするかもしれない。
・相手のミスに期待してスペードを出すプレーもある。SQを手出し。勝ったらDQに変わる。もしSA上がられたらハートが来ないことを祈る。どこかでディフェンスが逸れれば安全にメイクするのと、落ちても1ダウンで収まるのが良い。

ディフェンスの序盤でベストディフェンスするのは難しいし、BAMはダウンセーブも大事なのでSQ手出しを選んだ。

実際の展開は、

T1:C8-5-6-9
T2:SQ-A-7-2
T3:HQ-2-8-3
T4:DA

HQ来た時はダウンを覚悟しましたが、ダックしたらDAにシフトしてくれたので無事メイク。ラッキーでした。


パートナーにプレーを聞いてみると、「DQを出しそう。HQシフトが来てもダックして、2巡目を勝ってクラブでダミー入って、ダイヤでハート捨てればイーストへのエントリーが無くてクラブラフされないからメイク。」と言ってました。ハートシフトされやすいダミーなので、相手の失敗よりもクラブ32に期待する方が良いみたいです。


ここからは前半1位チームとの直対3ボードを見ていきます。前半1位は阪大出身の日本リーグ1部みたいなチーム。

1ボード目

自分はサウス。ビッドは

P-(P)-P-(1C);
P-(1S)-P-(2S)///

ウエストの2S。ノースのスペードリードから、SAの勝ち。D6-3-7-K。ノースはクラブシフトでCAの勝ち。D8-T-J-Q。CQとCKを取って、ハートシフトをウエストがラフ。SJが流れてきてSQ勝ち。2Sジャストメイクで110取られ。裏は2S3メイクで140取りだったのでBAM2点取りの30点プラス。


2ボード目

(P)-1C-(P)-? で自分の出番。1Dと2Dの選択。

過去の岩佐杯で似たようなハンドを引いたことを思い出す(下の写真のウエスト)。

去年の岩佐杯のハンド

1Dから入るよりも、2DでINVしてパートナーにお任せする方が良いことが多いだろうということで、2Dからお任せすることに。

(P)-1C-(P)-2D;
(P)-2NT-(P)-?

パートナーの2NTをパスするか、3Dに直すか、3NTにレイズするのかのジャッジ。2NTは2Dをパスしたくない手なので、ダイヤが短くて多少点数が有りそう。3Dに直すのは2NT2メイクに勝てない。もし3NTが良いコントラクトなら、パートナーは2Dに3NTをビッドしてくれそうなので、パートナーを信じて2NTパス。2NTはダイヤの配置が悪くて1ダウン-50。

裏は1C-1D;1NT-3NT///でノースの3NTになって3ダウン+150。BAM2点取りの100点プラス。1C-1D;1NTになるときは1NTリビッドにダイヤ2~3枚を期待できるので3NTで勝負するのは妥当なジャッジです。反省を生かして2Dで入ったのが功を奏しました。


3ボード目

イーストの1CオープンからEWのフリーランで、

1C-1H;1NT-2D;3C-3NT///

2D=FG
3C=C5枚

イーストの3NTになってリードの選択。スペードとダイヤのどちらが良いか。イーストのシェイプはS3枚以下、H2枚以下、クラブ5枚。イーストはよくBBOでパートナーをしてるので、ビッドの読みが多少ある。クラブを積極的に紹介するのはシェイプがある時とか、クラブの内容が良い時のことが多い。単に3235なだけの普通の手なら2NTで捌く印象。だから、イーストのシェイプは3145が結構有りそうに見える。

3145が有りそうだから、ダイヤよりもスペードの方が良さそうなのでスペードリード。S5-8-9-J。HT-2-3-9。イーストは長考してSA、S2と負けに来た。ここでDAを取るか、ダイヤスモールを出すか。もしイーストがクラブ5個取れる持ち方をしていれば、S3H3C5で11トリックある。ダイヤのスモールを出してDKに取られたら12個取られるリスクがある。クラブはAQもしくはAJを持ってそうで、12個取られる展開は有りそうだからDA取って5メイク。

裏は同じようにスペードリードから、SJ勝ってHT流して勝ち。チームメイトはSKに負けに行ったときにダイヤシフトからダイヤ抜かれるのを恐れて、2305の10トリック取って4メイク+630。BAM0点取りの30点マイナス。SK負けに行ってダイヤ抜かれるとダウンまで有るので630取りに行くのは手堅いですが、今回はダイヤフィネス効いてるので外れでした。

1位チームとの直接対決はBAMで4点取り、VPで4点取りの8-4で勝ちました。去年は直対で大敗した相手だったのでリベンジ出来て良かったです。


後半戦は直対で勝って、他の対戦も6勝1分1敗と良い感じに勝って、66点/96で2位/20。前半2位と後半2位でトータル1位で優勝しました。岩佐佐分利で二冠出来て嬉しいです。来年も頑張ります。

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