「雇用の流動性」

第1,223回
おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 日本は会社を辞めさせにくい国として有名だ。「労働の流動性」が低く、一度就職するとそのままその企業に一生骨をうずめる者が多かった。しかし、時代は変わりだした。そもそも会社の寿命が短くなっているのだ。100年を超える長寿企業が、世界で最も多いのは日本だ。だが、企業の寿命は経営者によって異なってしまっている。いつまでもトップにへばりつく者と、早々に後継者に事業承継していく者とに分かれ、時代への適応もそれぞれ変わってきている。
 日本の多くの人が働く中小企業は、親族経営が多く優秀な者などが、幹部として取り立てられ、自由に仕事ができるなどの良さもある。半面、企業としての収益がいまいちだと、賃金は上がらず、労働時間も長い。更に福利厚生面では大企業とは比べ物にならない。しかし、一度中小企業の幹部に落ち着いてしまうと、それ以上のチャンスもつかめそうになく、動けなくなる者が多いのだ。だから余計に「雇用の流動性」は上がらない。

 日本は会社を辞めさせにくい国として有名だ。ただ、会社都合で辞めさせた場合は、次の月には失業保険が出る。最大で1か月しか待たない。という優遇措置が取られていた。
 逆に、ほとんどの方が行う、自己都合での退社の場合は、失業保険がもらえるのは(もらったことはないが)3か月後だった。それが、コロナ過の2020年に2か月に短縮された。更に来年2025年4月には1か月に短縮される。つまり、自己都合で会社を辞める者にも、会社都合と同じように、すぐに失業保険が支払われるということだ。
 ただし、過去5年で3回以上の自己都合退職の場合は、元の3か月に戻る。逆に自発的に教育訓練を受けている場合には、給付制限なし!という特例もついた。
 内閣府の発表では、円滑な雇用の流動性が、経済成長につながる。高収益企業が、より多くの雇用を増やし、儲かっていない会社から、人が流出することを求めている。という内容になる。
 もっとわかりやすく言うと、大企業で雇用を促進するために、中小企業にいる優秀な社員をリスキリング(学びなおし)して、大企業で働かせ、もっと経済成長をさせましょう。儲かっていない中小企業は淘汰されればよい。という内容になります。
 要するに、「雇用の流動性」と言いながら、中小企業から人材を引っぺがそうという政策なのだ。

 個人的には「雇用の流動性」とは、会社にぶら下がっているだけのサラリーマンを辞めさせて、その人に向いた仕事を探してもらう。やりたい仕事が何もなければ、生活保護でも受けてくれ。あなたに付き合っている暇はないよね。要するに正当な理由があれば、会社が使えないぶら下がり社員を解雇できるようにしてほしい。と思っている。
 同じ「雇用の流動性」だが、政府の考えは全く異なる。どうせ赤字の中小企業なんてもういらないから、淘汰されてつぶれてよ!その代わり、使える人だけ救い出して、大企業に入れよう!そこに選ばれない他の中小企業のサラリーマンは?中小企業と一緒につぶれてよ。もうそういう人たちは非国民だから、財産も命も守らないよ!というのが、政府与党の内閣府の考えである。

 人口減少に伴い、少数精鋭化を取ったわけだ。その戦略は一企業なら問題ないだろう。それを国家がやるのは許せない。まあ国の批判はともかくとして、我々中小企業経営者も選ばなければならなくなってきたわけだ。
 成長する事業を考え、拡大志向にするのか?縮小しながらも、人を減らしても儲かる事業に変化していくのか?答えはもう出ているよね。それを可能にするには、「シンジ塾」の「粗利経営をすべき2つの理由」を理解しなければならない。
 今後は、儲かる会社で、社員が働きやすい会社にして、労働時間の短い会社にしなければ、どんどん人は辞めていくのだ。だって、自己都合で辞めてもすぐに失業保険がもらえるんですから、短気に辞めてもお金に困らない。辞めた後に転職先を探す人も増えるでしょう。それを踏まえて雇用していかなければ、中小企業は雇用の維持すらままならなくなるってことです。むしろ、政府は雇用が減っても良いとさえ思っているだろう。今後サラリーマンはさらに不安定な暗黒時代に突入することになる。このような法改正を許す限りは。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

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シンジ

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