「お星さま」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。今日で1,008日目です。

 今日は涙なくして語れない内容だ。家内が突然家を出て、実家に帰って5年と16日が経った。私的には極めてショックな出来事で、しばらく立ち直ることが出来なかった。何一つ話し合うことすらできないというのは、本当に辛い。もう訳がわからない。その一言に尽きる。
 当面の生活費を持って家内の実家に行ったが、入れてもらうことは出来なかった。その日は、ポストにお金を入れて、菓子折りを玄関先において帰った。
 それから1か月程経ってから、家庭裁判所から出頭命令が来た。家内は私と離婚したいということだった。私は裁判に慣れていたので、マークシート化されている裁判所の答弁書では、想いがまったく書ききれなかったので、A4用紙4枚に、家内が私と離婚することで、経済的に損すること。私のことが嫌いであれば、別居するのも許容することをきちんと理路整然と書いて提出した。「良い答弁書でした。被告人の気持ちはよくわかりました」と裁判長に言われたことだけが自慢だ。
 どうしても私の主張を認めないという家内と、私は裁判で争う気などなかったので、仕方なく、全条件を飲んで一度の離婚調停で決心をした。あまりのスピード解決に裁判官の方が残念そうにしていた。
 家を買う時に家内に出してもらった500万円の返還を求められたので、分割で返すことだけが、裁判記録として残っている。ただ、家内のお父さんに買ってもらった私のピアノや、家財道具なども多くある。それに、いつか戻ってくるかも知れない。という淡い期待を持って、私は毎月お金を振り込むことにした。家内が生活に不安がないようにと、通常裁判で、別居した妻と子供が3人いる人並みの金額だ。
 家内以外に女性を知らない私は、男女が分れるということが理解できていないのかもしれない。だが、軽く考えている友人たちの様な思考にはどうしてもなれなかった。だから、せめてお金だけでも家内とつながっていたかった私の気持ちは誰にも理解されなかった。金額だけを見て、「もったいない」と言われるたびに腹が立った。

 だが、翌年には私の心は壊れてしまい、親の会社を退職することにした。収入源も失うことになったわけだ。もう自殺をするか?オーストリアへ逃げようかと思っていた時に、毎日真っ暗闇でピアノに向かって弾いていた曲を、久々に書こうと思ったのだ。本当に同じことの繰り返しでしかない、単純な曲だが、5拍子という変わった曲だ。

パッサカリア第1番イ短調「オスティナート」https://www.youtube.com/watch?v=cgIjkQPPN88

 「オスティナート」とは繰り返しという意味だ。これを書いたことで、私はにわかに自分に自信を取り戻すことが出来た。次いで、久々に交響曲を書こうと思い立った。3曲目の交響曲だったので、ハ、ニ、ホの3番目、ホ短調の曲にして、ホ短調の3番目の音ホ、ヘ、トの「ト」音から始める曲。4拍子の曲なのに音符が3個になるように考えて作曲をした。

交響曲第3番ホ短調
https://www.youtube.com/watch?v=fg5MJcbbnlk

 これで私は完全に心を復活したのだ。自分に自信を取り戻した私は、創業に向けて準備を始めた。そして、選んだ社名が「公響サービス」だったわけだ。
 交響曲が私の自信を取り戻してくれたし、公に響くサービスを提供したい。という思いと、もう一つ、会社は個人が支配するものではなく、公共のためのものだ!という思いから社名を決めた。
 そこからはみなさんご存知のように、もう後ろを見る間もなく突っ走った。むしろ、後ろを振り返ったら、もう立ち直れないと知っていたから、闇に落ちるよりは、どこまでも猪突猛進しようと、いきなり人を雇った。自分が逃げ出すことがないようにだ。
 毎日3時半に起きて、夜まで働き、家に帰って料理をして、毎日自分でお弁当を作った。家内に送るお金のために、自分の生活水準を引き下げたのだ。昔から貧乏には慣れている。1日2食たべられるだけ、オーストリア時代より贅沢なくらいだった。

 家内がいなくなってからの1年間。あんな暗黒のような生活は、もう二度としたくない。私の一生の間で最も暗い最悪の時期だった。でももうそれも終わりだ。創業して環境を変えたことで、色々な仲間や友達も増え、いまは毎日幸せに暮らしている。
 多くの友人に言われたことだ。「もう前の女なんて忘れて、次の恋でもしろよ」と。しかし、一生一緒にいようと思った相手のことを、そう簡単に忘れられるだろうか?
 一度飼ったペットを簡単に忘れられるだろうか?子供のことを忘れられるだろうか?私はそういう思いで、家内に接してきた。だから、それ相応の金額を毎月支払ってきた。当然、裁判所で離婚が確定しているので、本来支払い義務はない。今回の振り込みで1,300万円になった。
 だが、それで私は気が付いた。5年も経っているのに、いつまでも家内のことを引きずっていた理由は、これだったと分かったのだ。いつまでも家内とは、お金でつながっていたからだと分かったのだ。だから、今回が最後の振込だ。これで、家内のことは吹っ切ろうと思う。21年間ずっとはめていた結婚指輪も、昨日初めて外した。もうつながっていてはいけない。そう思った。家内のことを自由にしてあげなければならない。もう私とは関係のないところで、幸せに生きて欲しいと思う。
 ちょうどそう決心したところで、先週末家内より家の鍵が届いた。そして、お金はもう要らないとのことが添えられていた。これで本当に私達のつながりは完全に切れたわけだ。

 私にとって、私の家内は「お星さま」になったのだ。もうこの世にはいない。お星さまになって、私を見守ってくれているだろう。これで私は完全に家内を失ったことになる。
 でも、だからこそ私はきっと前に進めるのだ。それで良いのだと思うことにした。正月は義父に最後の挨拶をしてくる。そして、もう二度とお墓参りには行かないつもりだ。とても悲しいが、失ったものを数えても何にもならない。これから手に入れるものを考えて生きて行こうと思う。時々酒におぼれるとは思うけれどね。家内の話しは、今年で終了にする。もう語る必要はない。さようなら。ぼくの和子ちゃん。ぼくは幸せになりますよ!お星さまとなって、笑顔でぼくを見守ってね。さようなら。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

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シンジ

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