「簡易裁判②」

おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。

 昨日に引き続き簡易裁判の内容を書かせて頂きます。以前、「公益通報者保護法」(2022年10月12日)というブログを書いている。父の会社で横領をしていた愛人のことを、税務署に内部告発したら、そのことを税務調査官にばらされてしまい、窮地に陥った話をしました。その後の顛末です。あまり褒められた内容ではありませんが、笑って頂ければと思います。

 内部告発者がばらされてしまった!このような目にあった場合、あなたならどうしますか?内部告発者を保護できなかった税務署員が悪いのは当然です。税務署に文句を言っても何も変わりませんよね?何ができるでしょうか?泣き寝入りするのでしょうか?
 私はすぐに簡易裁判所へ行き、訴状を書きました。訴状は、市の税務署長と調査官の2名を名指しで訴えました。そのくらい、怒り心頭だったということです。
 裁判の日、私は税務署長と顔見知りの調査官が来るのを楽しみにしていましたが、傍聴席にはいません。私が原告席(裁判官から見て右手)に座った時、反対側の被告席(裁判官から見て左手)には見知らぬ白髪の老人が座りました。代理人として出廷した弁護士でした。
 裁判官は訴状を読み上げた後、「本件は被告が国家公務員なので、被告に責任能力はありませんので、審議できません。国家損害賠償に変更しますか?」と言われました。何をトンマなことを言っているのか!裁判官は悪徳役人の見方をするのか!と頭にきてしまい、我を忘れて怒鳴ってしまいました。

「内部告発者の素性を明かすなどあってはならないことです。公益通報者保護法があるのに、法律違反者を裁けないとは、どういうことですか!」

裁判官はうんざりしたような顔をして、

「あのですね。国家公務員は個人として、責任を負わないという判例がありまして、責任能力がない者は裁けないんですよ。国を訴えて下さい。民事訴訟になるので、簡易裁判所では受け付けられません。訴状を取り下げるか?原告側の敗訴を申し渡しますか?」
「個人で責任を負わないなら、今回は個人としての裁判ですから、そこの弁護士費用は当然、税務署長が個人のお金で雇っていますよね!税金を使っているなんてありませんよね!」

私は怒りに任せて、弁護士を指さしながら立ち上がって叫んでいました。

「はい。もちろん個人として雇われています」

 弁護士は落ち着いて答えました。いま思うと、裁判内容と異なることです。答える義務などないことでしたが、私の感情に配慮したのだろうと思います。実際には税金を使っていたとしても、私達にはどうにも調べようがないことです。何とでも言うことは出来ます。うんざりした顔の裁判官がまた言いました。

「では訴状は取り下げますか?原告側は敗訴を認めますか?」

 そう迫られてしまった私は、ここは時間かせぎをしたい。法律用語的に圧倒的に不利だ。このまま押し切られるのだけは避けようと思って言いました。

「ちょっと待ってください。新たな証拠を提出するので、次回審議に持ち越しをお願いします」

裁判官は困ったような顔をして、被告側弁護士に聞いた。

「被告代理人、原告側の申し出を受けますか?」
「はい。了解しました」
「では本件は次回に持ち越しとします。閉廷!」

 裁判官が言って、私は考える時間を得ました。当然、新たな証拠などないし、次回審議しても負けは揺るがないのだろう。国を訴えるまでするべきかどうかを考えなければなりません。
 私の目的は、私に迷惑をかけた税務署員を懲らしめることではありません。横領をしている専務を会社から追い出すことです。だから、この裁判は訴状を取り下げることにしました。後日、訴状の取り下げに裁判所へ行き、私の負けが確定しました。
 納得がいかなかった私は、市の税務署へ再び行きました。最初に会った総務課長は既にいなく、私のことを言ってしまった調査官や、サポートの女性調査員も既にいなく、他の市へ移動になったとのことでした。この事件は、税務署では有名な事件になっていたそうですが、被害者である私に、謝罪の一言もない。それが公僕である国家公務員のやり方だということを、痛いほど知る事件となりました。
 だからこそ、私は同じ市内で創業し、あてつけのように、同じ税務署に納税してやろうと創業場所を、あえて父の会社と同じ市内にしたのです。
 いま思えば、自分の正義に盲目になっていた私に、家内が愛想をつかしたのは、この頃なのだろうと思う。そして、私を被告席に座らせ、頭を冷やさせようとしてくれたのだろうと思う。
 私はこの事件を一生忘れない。でも、もう誰かを恨むためじゃなく、メクラになっていた自分を思い出すために、同じ過ちを犯さないようにです。過去は変えられない。現在を大切に、前に進むだけのことです。

 いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。

シンジ

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