「なぜ街中華は潰れないのか?」
おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。
あなたの街にある、小さな中華料理店。汚いところが多いけれど、味はかなりおいしい。時々ふらっと行きたくなる味だ。でも不思議に思うことがある。いつ行っても客はちらほらで、出前もやっているがそんなに忙しそうじゃない。それでもなぜか潰れない。今回は街中華のビジネスモデルを考えてみようと思う。
そもそも、街中華は個人事業主で家族経営している場合が多い。自宅兼お店を35年とかのローンで購入していると、サラリーマンが住宅ローンを組むように、子供が巣立ったころにはローンも完済し、固定費として出ていく金額が極端に減る。粗利は以前から変わらないだろうが、販管費はほぼ自分達の役員報酬のみだ。そうなると、支払うべきは食材の買い出し位で、大きな金額の出費がなくなる。
例えば、店の中は最大10名すわれるとしよう。出前も含めてだが、平均して昼に12名、夜に15名、その他の時間に3名来店もしくは出前があったとすると、1日30名の客で3回転している。
平均客単価を1,200円とすると、1日の売上は36,000円だ。定休日は週に1回だと月に約25日の営業日なので、平均月売上は90万円になる。年商は10,80万円にもなるのだ。しかも、材料や出前のバイクの燃料などの変動費を30%としても、粗利は756万円になる。役員報酬を750万円にすれば、営業利益は6万円で、税金などほとんど支払うことはない。しかも、自分達の食費も一緒に経費にしてしまい、所有している車のガソリン代やその他も経費にする。しかも自宅の半分以上がお店になっているのだから、住宅価値を固定資産税の6割ほどを経費にすると、結局会社は赤字になるので、まったく税金を納める必要がなく、社会保険を払う必要もなく、夫婦二人で年収750万(天引きがない可処分所得)+自由に使える経費を考えれば、年間850万~900万の収入になる。それなのに所得税は750万円に対してだけなので、それほど高額にもならない。
あなたの街の中華料理店は、古くて人もまばらで、「よくつぶれないな?」と思うかもしれないが、普通のサラリーマンよりも余裕な生活をしているってことだ。個人事業主をなめるなかれ。このビジネスモデルは地味だが、かなり確実性がある。ただし、人を雇ったらこうはいかない。あっという間に赤字を垂れ流す。夫婦で経営しているってところがポイントだ。
当然、街の床屋さんなども同じようなビジネスモデルになる。客数は街中華より少ないが、客単価は5,000円にすれば、1日6人これば、変動費が16%だと街中華と同じ年収で、同じ利益になる。同じ様に、街の小さな洋食屋さん。お蕎麦屋さん。喫茶店。そういった夫婦経営の小さなお店は、同じようなビジネスモデルになっている。人を雇っている場合や、薬屋はまた異なる。
ただし、社会保険を払っていないから。年金は国民年金だ。その分は自分で貯蓄か投資をしなければならない。労働時間もサラリーマンより過酷だ。休みは週に一度で有給休暇もないから旅行など行けない。体を壊したら、終了だ。サラリーマンは天引きされる金額と、会社に取られる分が多いけれど、その分保護されているし、限られた自由も満喫できる。どちらが良いかという問題ではなく、その違いを示したまでだ。法人社長になると、サラリーマンに近くなる。多過ぎる社会保険分も稼ぐ必要があるというわけだ。健康と体力に自信があれば、個人事業主のビジネスモデルも悪くない。
どんな商売も、損益分岐点がなるべく低く、固定費がなるべく低ければ、利益は出やすい。小さな零細企業だとしても、実際にはとても潤っている企業はあるものだ。「街中華」や昔からある「床屋」が潰れないのは、会計的にも論理的ということだ。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。
シンジ