「自社ビルを建てると倒産する理由」
おはようございます。
公響サービス、代表のシンジです。
よく、自社ビルを建てたら、業績が悪化して急に倒産した。なんて会社がちらほらあります。理由は明白です。借金のせいではありません。資産のせいです。はぁ?と思われた方、是非、自社ビル建設を見送ることをお勧めします。
会社は余計な資産を持ってはなりません。例えば、工場がなければ売上を上げられないのなら、設備投資をしてもかまいません。しかし、借りている事務所では格好がつかないから、小さくてもいいので、自社の社屋を持とう。などと考えるのは間違いです。売上につながらない資産は、法人格が持つべき資産ではありません。
貸借対照表の左側。資産の部を見て下さい。一番上から現金に成り易い順で書かれています。トップに現金・預金。売掛金。棚卸資産(在庫品)と続き、固定資産は一番下です。土地建物、機械設備などは金額が大きいのに、売却するのに手間がかかります。そんな資産が溜まっている左下の重いバランスシートは、人に例えると「肥満」です。余計な脂肪がついて、身動きが取れなくなっている状態です。場合によっては死に至る恐ろしい病気になりかねません。なのに、甘い誘惑は必ずあります。
銀行の担当者などに、「利益が出ているし、良い物件があるので土地を買って自社ビルを建てませんか?」などと言われて、社長の見栄のためにビルを建て、資産でおかしくなっていく会社が非常に多いと思います。当然、借金をして資産を手に入れるので、悪いのは借金だと思われる方が多いのですが、悪いのは借金ではなく、無駄な資産なのです。
ではなぜ自社ビルを建てると良くないかを数字で説明します。いままでは月に100万円の家賃を払っても純利益が残っていたから、月に100万円の返済になったとしても成り立つと思ってしまうのは、個人の住宅ローンと同じ感覚で考えています。
実際には、いままで家賃は経費でしたので、営業利益より上で差し引かれます。ところが、返済は経費になりませんから、残った利益から返済していきます。
借りている事務所なら、1期くらい赤字になっても税金が安くなるだけで、それほどのデメリットはありません。
しかし、借金は利益からしか返済できませんから、会社が赤字になったら返済ができなくなります。会社は赤字でも倒産しませんが、資産を購入した返済は待ってもらえません。資産が担保になってしまうからです。つまり、キャッシュフローが悪くなり、自分で退路を断ってしまうことになるのです。
自社ビルを建てると景気がよさそうに感じますし、従業員は会社に金があると勘違いをします。それなのに給与は上がらず不満に思います。ところが会社はキャッシュフローが厳しくなり、追加融資も頼めない。結果、従業員をムチ打つことになり、悪くすると人事評価を下げます。そのため離職者が増えることになり、ますます業績が落ちていくことになります。だから、自社ビルを建てるとおかしくなる会社が多いのです。だから、売上を上げない資産は購入してはならないのです。
個人の場合は話が違います。家賃が10万円の人が、住宅ローンを月に10万円払って3,000万円の家を買えば、30年後には自分の資産となって残ります。
ところが、家賃を10万円払っても、住宅ローンで10万円払っても、国が認める年間経費は38万円で固定。必要経費として認めてもらえません。住宅購入の税額控除も考慮すれば、税制上は持ち家の方が有利だと思います。まあ、これは感じ方に個人差があるので、絶対とは言えません。
会社の自社ビルに関しては、絶対です。設備や工場を必要とするならともかく、社長の見栄で自社ビルを建てるなど愚の骨頂です。そんな判断ミスを目の前で見てきたからよく知っています。私ならその土地と建物、すぐに売り払います。事務所としての自社ビルなど、売上を上げるために1mmも寄与していません。だから、給与が上がらないのです。だから、人が辞めるのです。借金とどう向き合うか?資産とどう向き合うかで、判断は大きく異なると思います。
このような内容を理解していないと実弾を撃ちつくして、「自社ビルを建てると倒産」してしまうわけですよね。御社は大丈夫ですか?
いつも読んでいただき、ありがとうございます。本日も皆さんにとって良い一日でありますよう、祈っております。
シンジ