お忘れなく!米国株の外国税額控除
米国株で資産運用している方の多くは、定期的に配当を受け取っていますよね。中には無配当の企業もあるとはいえ(現在アマゾンやアルファベット等は無配当です)、全体的な傾向として、国内株よりも株主への配当が大きいのも米国株投資の特徴です。
その配当金について、確定申告することにより税金が戻ってくる場合がありますので、今回はその解説をさせていただきます。
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米国株の「二重課税」
特定口座(源泉徴収あり)で米国株を保有している場合、配当金には米国と日本の両方から課税・徴収され、残りの金額が口座に入ります。
計算方法としては、配当金に対して、まずは米国において外国所得税が課税・徴収されます。次に配当金から外国所得税額を差し引いた額に対して、国内において所得税及び住民税が課税・徴収され、残りの金額を受け取ることができます。
このように、一度米国で課税されているにもかかわらず、日本国内でも課税されるのは「二重課税」であるため、確定申告をすることにより一定額が還付される仕組みが作られています。これを「外国税額控除」といいます。
「税額控除」って?
ここで「税額控除」について簡単に確認しておきましょう。
控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があり、「所得控除」は総所得金額から控除額を差し引く(=課税所得金額を減らす)のに対し、「税額控除」は課税所得金額に税率を掛けて算出された納税額から控除額を差し引きます。
つまり、「所得控除」は控除額に税率を掛けた額が得になるのに対し(間接的!)、「税額控除」は控除額そのものが得になる(直接的!)と言っても良いでしょう。
税額控除には、外国税額控除のほか、配当控除、住宅ローン控除等があります。
外国税額控除の上限額
外国税額控除の上限額は、次の計算式で求められます。
上限額=所得税額✖️(調整国外所得金額/所得総額)
ここでいう「所得税額」とは、給与所得等も含めた所得全体に対する所得税額です。「調整国外所得金額」は、基本的に配当金額のことだと思っておけば良いですが、そのほかに国外での所得がある場合は、その金額も合わせた額となります。
外国税額控除の確定申告
確定申告においては、基本的に証券会社等から交付される「特定口座年間取引報告書」を基に配当金額や外国所得税額を申告します。
e-Taxから確定申告する場合は、マイナンバーカードと連携することで、特定口座年間取引報告書の情報を自動取得することが可能です。
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必要項目を入力していくと、「外国税額控除に関する明細書」が作成されるので、申告書とともに税務署へ送信します。
なお、外国所得税額のうち、上限額を超過し控除しきれなかった分については、翌年から3年間は繰り越すことができます。
おわりに
外国税額控除は、本来納める必要のない税金を取り戻すことのできる制度ですが、知らずに何もしなければ戻ってくることはありません。
過去5年まで遡って申告することができますので、申告していない方は一度確認してみた方が良いでしょう。
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