本人確認方法の解説 - ④無人レジ
はじめに
クレジットカードを使って会計する際の本人確認方法をPOSレジ別に解説しています。
第4弾となる今回は、我々消費者が自ら商品登録から会計まで済ませる無人レジについてです!
セルフレジとの違いは以前紹介した通り、顧客応対できる従業員がレジ付近に配置されているかどうかです。
突然ですが、屋外にある飲料自販機、コインランドリー、コインパーキングなどを思い浮かべてみてください。
1取引あたりの決済単価が数百円程度であることから、今でも現金しか取り扱えないのが普通と感じる方は多いのではないでしょうか。
実はこの少額決済市場で、クレジットカード、電子マネー、QRコードなど多種多様な支払手段に対応した新機種が近年増えつつあります。
少額決済市場における無人レジの活躍は凄まじく、日本国内のキャッシュレス化をさらに加速させるでしょう。
そんな無人レジにおける本人確認の種類や違いを今回は詳しく見ていきたいと思います。
本人確認方法 - 無人レジ
前回のセミセルフレジ/セルフレジ編と比較すると、本人確認パターンはかなりシンプルです。
先ずは取引金額が¥10,000を超過していることを前提に、本人確認の事例を見ていきます。
お店は「スピーディーな決済」と「不正利用被害の抑制」を両立させる観点から、「本人確認不要上限金額」を通常¥10,000に設定しています。詳細はまた後ほど!
D-1. 磁気カード
磁気カードの本人確認は、従業員による目視でのサイン確認に依存することを以前取り上げました。
磁気カードを取り扱うには、顧客によるサインとカード裏面のサインの2つを従業員が照合し、本人による利用であることを目視確認する必要があります。
ところが、無人レジ付近には従業員が近くに配置されておらず、本人確認を実施するための環境が全く整っていません。
したがって、¥10,000を超過した取引に対して、無人レジは磁気カードを受け付けません。
D-2. 接触ICカード
接触ICカードの本人確認は、暗証番号(PIN)入力です。
本人しか知り得ない暗証番号(PIN)を、クレジットカードを処理する決済端末が正しいかどうかを判定するため、従業員がいなくても問題はありません。
ICチップが埋め込まれた接触ICカードは、取引金額に関わらず無人レジで利用することが可能です。
加えて、スキミングなどによる不正利用を抑制する効果も非常に大きいです。
D-3. 非接触ICカード
¥10,000を超過した取引に対して、カードをかざして決済しようとすると、接触IC取引と同じように暗証番号(PIN)による本人確認が原則行われます。
その一方、サインによる本人確認を求める非接触ICカードも一部存在します。
残念ながら無人レジは、暗証番号入力を許容しない非接触ICカードの取扱はできません。
磁気カードが利用できない理由と同様、無人レジでは従業員による目視でのサイン確認ができないからです。
D-4. 非接触ICデバイス(スマホ、ウェアラブル端末など)
¥10,000を超過した取引に対して、Apple Payを搭載したスマホやApple Watchを使うと、CDCVM(指紋認証など)による本人確認が原則行われます。
非接触ICカードとは異なり、決済端末に差し込む物理的なICチップがないため、代替手段として生体認証がここで効果を発揮します。
ところが、CDCVMに非対応の決済端末が取り付けられている、あるいは非接触ICデバイスが生体認証機能を搭載していない場合、無人レジでは取り扱うことができません。
その際は、支払手段を接触ICカードなどに変更し、会計を再度実施しましょう。
少額取引時の「本人確認なし」について
冒頭で触れた「本人確認不要上限金額」の仕組みについて、最後簡単に紹介したいと思います。
取引金額が¥10,000以下の場合、支払媒体に関わらず本人確認は原則スキップされることはすでに皆さんもお分かりでしょう。
「原則スキップ」と書いている通り、アクワイアラ(加盟店契約会社)と「PINレス/サインレス契約」を締結しているお店に限り、本人確認を省略する運用が行われています。
業界内では、「本人確認不要」を「PINレス/サインレス」と呼びます。
PINレス取引=顧客による暗証番号(PIN)の入力を求めない取引
サインレス取引=顧客によるサインを求めない取引
本人確認を省略する「本人確認不要上限金額」は、お店の安全性が確保されているかどうかをアクワイアラが事前に審査の上、業種業態ごとに金額を設定しています。
設定が完了すると、一定金額(通常¥10,000)以下であれば、PINレス/サインレス運用が可能となるのです。
本人確認をスキップすることによるお店の最大のメリットは、言うまでもなく会計時間の短縮化です。
コンビニ、スーパー、高速道路の料金所など、スピーディーな決済処理が求められる場所では、PINレス/サインレス運用は間違いなく必須です。
少額での利用において、サインや暗証番号の入力を毎回求められるお店をを想像してみてください。
レジの回転率が悪い上、我々消費者もクレジットカードの利用を敬遠せざるを得ないでしょう。。
キャッシュレスの「利便性」と「簡便性」を我々消費者がシンプルに感じられる環境を実現すべく、お店は知恵を絞りながら顧客満足度の最大化に日々取り組んでいます。
最後に
以上、POSレジ別(従業員操作、セミセルフ、セルフ、無人)の本人確認方法を解説してみました。
IC化対応した決済端末の設置とカードの発行が、対面取引におけるカード不正利用の減少に繋がっていることを実感できたのではないでしょうか。
次回公開予定のシリーズ第5弾では、今後のキャッシュレス化にもインパクトのある最新の認証技術を取り上げながら、近未来のお店の姿を想像してみたいと思います。