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育成8位ルーキー宮崎颯 TJ手術
1/26ソフトバンクは育成ドラフト8位ルーキーの宮崎颯(東農大)が横浜市内の病院にて、左肘関節左肘頭疲労骨折に対する骨接合術及び左肘関節内側側副靱帯再建術を受けたと発表しました。
今後は1週間の入院ののちにリハビリを開始。全治は10〜12ヶ月とのこと
ルーキーのトミージョンは結構ショックですね…
これが在学中から分かっていたのか、それとも入団後のメディカルチェックで判明したのか。
もし分かっていての獲得だったとすれば、チームでは佐藤宏樹(慶應大)、大竹風雅(東北福祉大)といった故障を分かっていながらもポテンシャルを評価して獲得したという経験があります。故障がなければドラフト上位候補、怪我が癒えた社会人経由では争奪戦となることを予想してのことであれば、これもドラフト戦略としてはアリかもしれませんが、もし獲得までに裏どりができていなければ、これはスカウト陣の失態につながりかねません。
今回はこのトピックについてお話しできればと思います。
宮崎颯
経歴:大宮シニア→埼玉栄→東京農業大学→ソフトバンク(育成8位)
体型:180cm 85kg
成績:東都2部 21試合48.2回 奪三振率6.66 四死球率4.81。
寸評:ソフトバンク・松本輝スカウト|22/10/20
「MAX145キロ左腕。球威で押し込み、スライダー、カットを織り交ぜて打ち取るスタイル。投球技術を身につければ、支配下は勿論、1軍の戦力として期待できる投手」
大宮シニア時代には全国優勝を経験するなど、シニア時代は全国屈指の左腕として活躍。埼玉栄進学後も1年生ながら130キロ前半のストレートとキレの良いスライダーとカーブを武器に春の地区予選大会から登板機会を得ていました。
しかしその後、肘を故障すると1年生の冬に外野手へ転向し、夏大会のデビューは結局3年生夏の代打での出場のみとなりました(背番号13)。
ちなみに同学年にはプロ注目の右腕、米倉貫太(現ホンダ)がいました。
東都リーグ2部の東京農業大学進学後は投手に再転向。
1年春に1試合(1/3回)に登板後は感染拡大もあり、20年秋まで登板なし。
21年春からリリーフとして頭角を表すと、10試合(19.2回)で19奪三振、防御率2.75の数字を残すと、秋からは先発ローテーションに定着。5試合(21回)で防御率は驚異の0.43を記録した。ちなみに最速の147キロは3年生の1月に記録したものでした。
4年次は成績を落とし、春は2試合(2/3回)で防御率が13.50、秋も3試合でわずかに7回の登板に終わっており、最速も141キロ止まりと不調を抜け出せず。
夏には東都2部選抜の1員としてトヨタ自動車相手に1回無失点を記録したが、被安打1、2四球と課題を露呈する結果となっていました。
調べてみて初めて知ったが、過去に野手転向を余儀なくされるほどの大きな肘の故障を経験しており、元からのリスクは高かったことが分かります。
加えて4年時は成績不振と球速低下が目立ちますし、獲得前までに既に肘の故障を再発していたことは可能性としては高いと思われます。
獲得の経緯としては3年次の活躍を期待しているのでしょう。怪我が癒えばホークスの投手育成マニュアルでかつ180cm 85kgのポテンシャルを伸ばすことができると踏まえているのでしょう。
ケガの詳細
今回球団が公表したのは肘頭の疲労骨折に対する骨接合術と内側側副靱帯再建術(いわゆるトミージョン手術)です。
それぞれ説明すると膨大な時間を要するので、今回は肘の骨折について
簡単にご紹介します。(なお肘の専門ではないのでそこはご了承ください)
肘頭疲労骨折
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簡単にいえば肘の骨折です。
骨折には交通事故や転倒などで一回の力で折れるタイプのものと、勤続疲労によって長い時間をかけて徐々に亀裂が入っていくタイプがありますが、今回は後者のタイプです。
それが肘頭と呼ばれる肘の出っ張りの部分で起こったものです。原因としては投げ過ぎが主なものと考えられています。
肘の特徴として、腕側の骨と肘から先の2つの骨から構成されていますが、腕を伸ばすときは肘先の骨が腕の骨にヒンジのように潜り込むようにして、腕が伸びてきます。この時の骨同士の衝突によるストレス、もしくは肘頭には上腕三頭筋と呼ばれる肘を伸ばす筋肉が付着しているため、この三頭筋に引っ張れれる形で剥離していくことが今の定説となっています。
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手術方法
疲労骨折は一般的に骨のずれが起きにくいため、手術が行われることは稀です。
疲労骨折で手術が行われる理由としては
・長年放置していたため骨のずれが起きている
・骨折部位に血管が少ないため放置しても自然癒合(くっつく)が見込めない
・アスリートのため早い復帰が求められる、もしくは将来的な再発リスクの軽減
今回は靱帯の再建術も同時に行なっているので、肘を手術するのだから折角だしやっておいたという可能性もあります。
結局オペで開く部位は同じなので。
肘の手術ではくっつけた部位を固定するために固定具を入れることがメジャーです。(ヘッドレス・スクリュー、tension band wiringなど)
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今後
まずは骨の癒合、靱帯が回復(靭帯が骨にくっつく、強度が強くなる)を待つことなになるでしょう。その間も固定具によって肘の角度は厳格に制限されるので、その間に筋力や可動域はみるみる落ちていきます。
それらを元に戻すことはかなりの時間を要するので、そこはホークスのメディカルスタッフの腕の見せ所でしょう。
感想のようなもの
最後は解剖の講座みたいになってしまいましたが、宮崎投手の回復を祈るほかありません。
スカウト陣は果たしてここまでの重症であることを見越していたのか、これだけ情報の溢れている時代ですし、流石に高校時代の怪我は把握しているとは思いますが、、、
ドラ6ルーキーの吉田選手も怪しいですし、これ以上の怪我人は避けてほしいところ
それでは次の更新にて