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エッセイ(蟻)


 その日、人類は思い出した--
 奴らに支配されていた恐怖を--


 そう。

 ゾッとすることに、昨日、蟻(アリ)が玄関から侵入して、家の中に行列を作っていたのである。
(リビングまでは突破されていなかったが)

 なぜこんなことに??

 思い当たる仮説は二つ。

 仮説その1。
 息子のミニバス用のリュックの中に、お友達からもらったお菓子やらが残っていた説。

 仮説その2。
 最近買ったルンバ(水拭きタイプ)が食べ残しやらを引きずったまま、ベースキャンプに帰還した説。

 これらはどちらも、玄関近くに置いてある。
 おそらくどちらかが原因だと思われる。

 当局としては、原因の究明はさておき、対象の駆逐に努めることにした。

 とりあえずホームセンターで虫除けスプレーを買い、突破口になっていたであろう、玄関のドア前にプシューと撒く。

 今朝の時点で、蟻の出現は確認できていない。

 ホッと一安心。


 それはさておき。

 よくよく考えると、我が家は、元をたどれば彼ら(アリさんや、ほかの生き物たち)の土地だったのかもしれない。

 しかし冒頭のように、玄関を突破されると、自分のテリトリーを侵されたように、少々過敏になってしまう。
 ※それがし、一応、世帯主なもので…


 そんなとき、なんだか自分の器の小ささを実感する。


 土地や家への執着、独占欲というか、所有意識というか、
 そんなちっぽけな欲望にかられているのが分かる。


 相手はもっともっと小さいのにね。
 もちろん彼らにも、守るべきもの(巣)はあるのだろうが。

 しかもアリさんは、
 社会性があって、力持ちである。
 時には自己犠牲もいとわない。

 なんと素晴らしい。
 (私にないものを、たくさん持っている...)

 自分も、アリさんみたいなでっかい男になりてえなあ、と思った今日この頃でした。

 とはいえ...
 皆さんも、夏の侵入者には、ご用心を!


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