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エッセイ(京都)

 先日、妻と二人で京都へ行った。
(おちびさんたちは、ジジババにあずけて)

 妻は一日用事があったので、私は別行動へ。

 目的地はただ一つ。
 私の好きな『鴨長明』が住んだと言われている、『方丈庵』がある河合神社だ。 

 ぜんぜん土地勘がないので、
 とりあえず京都駅から、京都御苑の近くの駅(丸太町駅)へ移動し下車。
 そこから歩いて、河合神社を目指すことに。

 この日は歩くと決めていたので、ひたすら歩いた。
(あとで歩数を見たら24,000歩を超えていた)

 ...しかし暑い。(まだ8月だもんね)
 ...京都御苑広い。(トイレ何個あるん?)
 ...そして外国人が多い。(まだ円安だもんね)


 暑さで意識がもうろうとする中、
 ふと、近くのバス停で、「…バンブーフォレスト?」と地元っぽい人に聞いてる外国人ファミリーがいた。
 おそらく『竹林』に行きたいのだろう。

 モロに中学英語だが、話しかけられた地元民っぽいおばちゃん、うまく対応できていただろうか。

 あと、京都御苑の端っこの道を歩いている途中に『ハンミョウ』がいた。
 背中が虹色で、近づくとちょっとだけ飛んで逃げるので、『ミチオシエ』とも呼ばれている虫。

 昔、私が小さいときに家族で行った大きな公園にいたのを思い出した。
 でも、自然が少なくなったせいか、最近はめっきり見なくなった。

 テンションがあがって、ちょびっと元気回復。
 (一瞬、アブかハチと間違えた自分をぶん殴りたい)


 そんなこんなで、やっとの思いで河合神社に到着。
(美の神様?がいるらしく、女性客ばかりでやや恥ずかしかった...)

 そうして、境内に入ると、方丈庵があるはずの場所に、なぜか一本の立て看板が。


「方丈庵は、展示場所の変更につき移設中です」


 …うぉい!ないんかい!

 しゅん、と、おぱんちゅうさぎみたいな顔になったところで、トボトボとしばらく探してみると、それっぽいの(方丈庵)があった。

 道のはずれに、ひっそりと。

 近くまでは立ち入り禁止?だったので、
 遠巻きに眺めて、しばらく思いを巡らせた。


 度重なる都の災害やら跡目争いやら、
 わずらわしい世間のアレコレから逃げるように、山奥に移り住んだ長明さん。

 そして、小さな移動式の家(5畳くらい)で、決まって何をするともなく、ただただ自然の四季の移ろいを楽しむ。
 時に念仏を唱え、随筆を書き、琵琶を弾く。

 ...完全に私の理想のライフスタイルである。
 ちょっとでも長明さんに近づきたいなぁ、と再認識。

 その後、京都駅に戻り(さすがに帰りは、河合神社の最寄り駅から乗車した)、お土産を買って、伊勢丹でラーメンを食べ、電車で家に帰った。

 そんなこんなで。

 一人旅(実際は二人旅だが)はやはり良いなと思う。
 ひたすら歩いてるだけだったが、思考が整理され、いろいろと、自分を見つめ直すきっかけになる。

 折を見て、また行きたい。

 月曜日の仕事への憂鬱が少しだけ吹っ飛び、
 長明さん(推し)への尊さが増した、そんなステキな京都旅でした。


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