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不動産投資におけるアセットタイプを理解しよう(その9:まとめ)

不動産のアセットタイプに関する解説の第9回(最終回)です。
 今回は今までのまとめです。

なお、ここで説明する対象はプロ投資家や不動産が投資対象とする不動産です。実需で売買される戸建や分譲マンションではありません。
レジデンス、オフィスビル、商業施設、物流施設、事業用不動産などの区分で説明しています。

9.まとめ

 
前回まで、様々な不動産のアセットタイプについて解説してきました。
 
不動産投資家(投資ファンドを含む)の投資対象は、一昔前までは大型のオフィスビル、レジデンスの2つでした。
近年は、物流施設、ホテル、商業施設、ヘルスケア施設、データセンター、太陽光発電所など(ここでは便宜上、「代替不動産」と記載します。)投資対象となるアセットタイプが拡大しています。

代替不動産への投資は、自社で事業用不動産として保有するケース(所有者が事業者(オペレーター)として運用する)、プロ投資家が投資するケースがほとんどです。基本的に、一般投資家が投資する対象ではありません。
しかし、一般投資家の投資ニーズが多様化したのと、オペレータの資金調達ニーズが高まったことから、代替不動産を投資対象とするJ-REITが多数上場しました。
代替不動産を投資対象とするJ-REITが増加したことによって、金融機関、一般投資家にも代替不動産が投資対象として認識されるようになりました。

代替不動産は、伝統的な不動産投資とは性質が異なるものが多く、その特徴を正しく理解しておくことが必要です。

不動産のタイプごとの特徴を大まかに比較したのが図表1です。
ここでは説明の都合上、運営者(オペレータ)が保有しているケースではなく、投資ファンドが不動産を保有しているケースを前提にしています。
 
 
【図表1:不動産のタイプごとの特徴】

まず、エリアに関しては大型オフィスビルが最も狭い範囲にのみ存在します。
小型のオフィスビルは全国にあります。しかし、プロ投資家が投資対象とするのは、三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の中心部にしかありません。地方のオフィスビルをプロ投資家が保有することはありません。

レジデンスやヘルスケア施設は全国どこでも人が住む地域であれば投資対象になります。投資対象となる物件数が大型オフィスビルに比べて多いでしょう。

ホテルや物流施設は全国にあるものの、投資対象となるのは条件に合う場所に限られます。

事業用物件(商業施設、ホテル、ヘルスケア施設、データセンター、太陽光発電施設)は、運営会社でない限り、オペレータ等に賃貸します。なので、テナント(借り手)数は1社のみの場合も多いです。収益(受取賃料)の安定性はオペレータに依存するため、オペレータの信用リスクを有しています。

賃料体系については、事業用物件のうちテナントの売上が変更するホテル、商業施設、太陽光発電施設については、固定賃料に加えて変動賃料が設定されることが特徴でしょう。
売上が多い時期は多く賃料を払うことができるものの、売上が少ない時期は賃料負担がきつくなります。この点、テナントは変動賃料を採用するメリットがあります。
なお、物件保有者が注意しないといけないのは、物件価値が急激に下落するリスクです。テナントの変動賃料が見込めなくなるような不況時には、賃料収入が急激に減少します。さらに、不況時には期待利回りが上がるので、物件価値(純収益÷期待利回りが)が急激に下落します。
変動賃料を採用する場合、景気変動による物件価値の変動が、他の不動産よりも大きくなることに留意しておく必要があります。

全9回にわたって不動産のアセットタイプについて解説しました。
アセットタイプによってメリットとデメリットがあります。

どのようなアセットタイプに投資するべきか? その際に留意しなければいけないことは何か? を考えないといけませんね。

<おわり>

<前回記事はこちら>

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【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】

 

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