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上場会社が契約しやすい不動産賃貸借契約はどれ?

「リースに関する会計基準」が2027年4月1日以降開始する事業年度(2028年3月期)から適用されることになりました。

リース会計基準が適用されるのは、有価証券報告書作成会社(上場企業等)と会社法計算書作成会社(会社法の大会社:資本金5億円以上、または、負債の額が200億円以上の会社)です。
これを満たす会社は日本には約1万社あります。
さらに、有価証券報告書作成会社は連結財務諸表を作成する必要があるため、その子会社も含まれます。正確な数は分かりませんが……20~30万社くらいあるのかと思います。

今回はクイズ形式で上場会社が契約しやすい不動産賃貸借契約について説明します。



【問題1】

次の不動産賃貸借契約のうち、上場会社が契約しやすいのはどちらでしょうか?

①月額賃料100万円、契約期間1年の不動産賃貸借契約
②月額賃料100万円、契約期間2年の不動産賃貸借契約

【回答】
①(月額賃料100万円、契約期間1年)

【解説】
新リース会計基準における賃貸借契約の借手の会計処理は以下のようにします。

ここで、リースで賃貸借処理が認められるのは短期リース(12か月以内)または少額リース(例えば、300万円以下)です。

①(月額賃料100万円、契約期間1年)のリースは期間が1年なので短期リースに該当します。
②(月額賃料100万円、契約期間2年)は長期リースです。
※ここでは契約期間=リース期間として説明しています。

上場会社は売買処理で処理するリースを避けたいはずなので、賃貸借処理できる短期リース(①の不動産賃貸借契約)を選択するでしょう。
なので、上場会社には短期リースのニーズがあります。


【問題2】

次の不動産賃貸借契約のうち、上場会社が契約しやすいのはどちらでしょうか?

①月額賃料10万円、契約期間3年の不動産賃貸借契約
②月額賃料10万円、契約期間2年の不動産賃貸借契約

【回答】
②(月額賃料10万円、契約期間2年)

【解説】
新リース会計基準における賃貸借契約の借手の会計処理は問題1で説明した通りです。

①(月額賃料10万円、契約期間3年の不動産賃貸借契約)は契約期間における支払リース料総額が360万円になるため、少額リースの要件を満たしません。

②(月額賃料10万円、契約期間2年の不動産賃貸借契約)は契約期間における支払リース料総額が240万円なので、少額リースの要件を満たします。

※IFRS適用会社は5,000米ドル基準を採用している可能性がありますが、ここでは300万円基準で判定しています。
※ここでは契約期間=リース期間として説明しています。

上場会社は売買処理で処理するリースを避けたいはずなので、賃貸借処理できる少額リース(②の不動産賃貸借契約)を選択するでしょう。

ということで、今回はクイズ形式で上場会社が契約しやすい不動産賃貸借契約について説明しました。
次回は別のトピックを解説します。


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なお、新リース会計基準について詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。


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