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資金調達における優先劣後構造

資金調達において、より多くの金額をする場合に優先劣後構造を利用する場合があります。
今回は資金調達において利用される優先劣後構造について説明します。


1.優先劣後構造とは


資金調達の際には、優先劣後構造を設ける場合があります。
資金調達先によってリスク・リターンの選好が異なります。それぞれの資金調達先に応じて優先劣後構造を作ります。
優先劣後構造を設けることを、トランチング(Tranching)といい、各部分をトランシェ(Tranche)といいます。不動産ファイナンスの場合、トランシェは図表1のように分類します。
 
【図表1:トランシェの例】

返済順位は、シニアが最も安全で、次にメザニン、エクイティの順です。利回りはエクイティが最も高く、メザニン、エクイティの順で低くなります。
よく「株はリスクが高い」といいます。これはエクイティの返済順位が最も低く、利回りが最も高いことを意味しています。リスク=不確実性ですから、エクイティは大きく儲かるかもしれないし、大きく損するかもしれません。
 
次は、トランシェについて説明します。

2.シニア(Senior)とは


「シニア(Senior)」とは、通常の借入です。金銭消費貸借契約に従って、『いつ・いくら支払う』が契約上定められています。
特に返済条件に制限はありませんから、返済順位が最も高いトランシェです。
不動産ファイナンスの場合、シニアの投資家(貸付人)は銀行(レンダー)です。

3.メザニン(Mezzanine)とは


「メザニン(Mezzanine)」は「中二階」という意味です。なので、「シニア」と「エクイティ」の間のトランシェです。
シニアよりもメザニンの方が返済順位は劣後します。
メザニンの箇所に「劣後借入・劣後債」、「優先株式」の2つを記載しています。これは、メザニンには負債と株式が混在するからです。
 
メザニンのうち「劣後ローン・劣後債」は負債調達です。シニアの返済に問題なければ、劣後ローン等を返済できない契約になっています。メザニンは返済条件に制限を付けることによって、シニアよりも劣後させます。
 
「優先株式」は資本調達です。メザニンの優先株式は普通株式とは異なり、償還を前提とした設計にします。なお、優先株式は法的な債務ではありませんから、法的債務(負債)に劣後します。優先株(メザニン)は劣後特約を設けなくても、法的債務(負債)であるシニアよりも劣後します。
メザニンの投資家は、金融機関やファンドです。

4.エクイティ(Equity)とは


「エクイティ(Equity)」とは会社が発行する株式等です。
法的な債務ではありませんから、シニア(法的債務)よりも劣後します。また、「メザニン」の優先株式がある場合、「株主間契約」によって優先株式をエクイティよりも優先させる取決めを設けます。
 
不動産ファイナンスでは、匿名組合出資をエクイティとして扱います。匿名組合出資とは、発生した収益について分配する商法上の契約であり、不動産から生じるほぼ全ての収益と費用を匿名組合員に分配します。
エクイティのプレイヤーは不動産投資家やファンドです。

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今回は資金調達における優先劣後構造について説明しました。もっと詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。


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