光の虚人 1/2 (短編小説)
「こっちだ。早く運ぼう。」
前列に居るリーダーが急かす。無理もない、最近の皇女様はかなり体力を使ってしまったようで、ご立腹なのだ。
「道は辿れるか?痕跡は?」
「大丈夫だ。この食料を取れたのはラッキーだった。そこまで拠点から遠くないしな・・・」
「まあ、確かに。最近は運がいい。・・にしても、何故あんなとこに食料があったのか・・・ん?」
さっきまで明るかった草むらが突如暗くなった。その刹那・・・
ドシーン・・・
物凄い衝撃があったかと思うと、リーダーを含めた前列・・・10名程度だろうか、ペシャンコに押しつぶされてしまっていた。
「!?・・・う、うわあああああああ!!」
自分はパニックに陥った。その中でふと、上を見上げると・・・
・・・巨人!?信じられない程の大きさの巨人がこちらを見ている・・・!
・・・その後の記憶は朧気だ。とにかく自分は必死だった。生きている、という事は逃げ切れたという事だろう。自分の生死の判定が曖昧に感じてしまう程の惨劇だった。
拠点に戻ってはいた。とにかく、今は起きた事を大至急皇女様に知らせなければならない・・・パニックに陥りながらも、私は仲間に何とか伝えようと必死だった。
「だから、見たんだ!!とんでもなく大きな巨人が仲間を踏みつけたんだ!!空が突然暗くなったと思ったら、もう・・・手遅れだった・・・」
「おちつけ。とりあえず落ち着いてくれ。他に情報は無いか?」
「・・・その後はもう必死で逃げてきたよ。他の事なんて気にしてもられないよ・・・」
「まあ、仕方なかろうな。お前はまだ若い。遠征・・といっても随分近い場所だったみたいだが、今回お前は初出動だったらしいな」
仲間・・・というかベテランの上官が、結構冷静な事に私は驚いた。いくら軍隊だからと、ここまで冷徹になるもんなのか・・仲間が圧死したんたぞ・・・?
「・・・そうだけど、それが?・・・」
「実はな、今聞いた事例、初めてじゃないんだ」
「初めてじゃない!?」
それでそんなに落ち着いてたのか。てことは、この上官、俺たちに何も知らせずにそこに向かわせたって言うのか・・・!?
「そんな危険な任務だという事を隠していたのか!?」
「いや、そうではない。まあ聞け・・・」
「・・・どういう事なんだ?」
私は恐らく相当辛辣な表情で睨んでいただろう。下アゴに力が入っている。
今にも噛みついてしまいそうな心境だ。
「その前に・・・お前の部隊が見つけてきた食料・・これは砂糖だな?」
「ああ、そのはずだ。上質な砂糖が大量にちりばめられた茶色くて柔らかい物体があってな。その茶色い物体も中々美味かったんだ。巨大だった。持ち帰れば当分は食糧難に困らないだろうとーーーー」
「それだな」
「・・・・な に が ?」
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