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エクセス コンプライアンス リザルト 4-3章

「大丈夫、落ち着いて下され・・・」

私は恐らく、とんでもない形相になっていただろう。察した老人が宥めてきた。

「これは・・・どういう事なんだ?そうだ、鏡、鏡はあるか?」
私は「私」なのかを確認したかったのだ。信じられない滑稽な理由だが、この状況である。焦燥にかられつつ、簡潔的に出た精一杯の質問だった。

「・・・あそこに」
老人が指さす方向に小さい鏡があった。・・・紛れもなくそこに居たのは私、「不破」だった。胸ポケットにある電子タバコ以外には、何ら違和感もない。

「・・・"入れ替わった"訳でもない・・・しかし、記憶と矛盾する・・・これは・・・」

「先ほど申し上げた通り、世界線が狂った状態に陥ったんですなあ。・・・何、違和感は時期にほつれるように無くなります。」

・・・つまり、”今の私”を受け入れるようになる、と・・・?じゃあ今までの”私”はどうなる・・・!?この老人、随分勝手な事を言う・・・

「それはどういう意味だ?私の記憶は否定される・・・そういう事を言いたいのか?」

「・・・ちょっと違いますな。複起点が整理された、という事であり、その記憶も”ケース”として”保存”されます。・・・”後悔について”の話は覚えてますかな?」

私は老人・・・いや、少女に言われた話を思い返してみた。

「後悔を帳消しにするためには、後悔した時と後悔していない時の2つを経験しないと成立しない・・・・私はそう解釈したが・・・」

「合っております。言葉の通りで、今の不破さんはその”2つ”を抱えた状態にある、という推察になりますな。」

間髪入れず、私は食い下がった。

「ちょっとまて、矛盾してないか?時間軸は1つしかない、と貴方は・・・いや、少女は言っていた。・・・結局貴方とその少女の話が一致するのかも怪しいところなんだが・・」

「多分、その少女とやらと私の話は一致してるでしょう。ただ、先ほどのタバコや映画の話などで食い違いがおきておりますがな・・・」

「・・・時間軸の話は無視か?」

「いいえ。食い違いが起きても時間軸は1つしかあり得ません。それは言い切らないといけない。」

・・・” 言い切らないといけない? ”何か引っかかる言い回しだ。

「それが前提の研究ですからなぁ。そこが崩れてしまうと、今までの成果のほとんどが意味不明になってしまう・・・まあ、ほぼほぼ間違いはないと踏んでおりますがな」

前提?研究そのものを仮定で推し進めてるって事なのか・・・?

「・・・この先の説明は、もう一度3階へ戻って説明しましょう。見せたい書類もあるので。落ち着きましたかな?」

「・・・落ち着いてはいられないが、聞かないと尚の事混乱してくる。急いで聞きたい」

そう答えた時、違和感がよぎった。
「・・・ちょっとまて、貴方、今 ”3階”と行ったか?」

「ん?ええ・・・先ほど居た部屋ですよ」

「・・・表示は4階とあったが。」

老人、その言葉を聞くなりフリーズ。


・・・数秒経って顔色が真っ青になってきた。冷や汗のようなものも出ている。

・・・何か隠しているのか、それとも余程想定外の事が起きたと見える。
まさか、この老人も巻き込まれたのか?この怪異に・・・

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ミクモン
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