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見失いがちなマーケット視点が大事だなと思った話。北陸旅行して気づいたこと③

 北陸旅行して気づいたこと投稿の3回目です。地方にはそれぞれの特徴があると思いますが、その特徴を活かして人に来てもらうとか、物を作ることは大事。だけど、それを求めている市場が存在しているのか、という視点が無いと机上の空論で終わってしまうよね、と再認識したお話です。

 ちなみに、前回の記事はこちら↓

 福井市周辺を車で走っていたら気づいたことがありました。「むっちゃ蕎麦畑あるやん!」と。かくいう僕は、今までのキャリアで農業が実は一番歴が長く、旅先で田畑を見かけると「何が植わってるのかな?」とか気になってしまう訳です。

 福井市周辺、実際にウロウロしてたのは永平寺や東尋坊、鯖江、辺りを車で走っていたのですが、本当に蕎麦畑がたくさん!季節的に青々とした蕎麦が背丈を伸ばしているタイミングだったのでキレイでしたし、周辺にはだいたい田植え前の田んぼが広がっていたので、余計に目立ってましたね。

 少し調べてみたら、この地域では昔から飢饉対策として保存に優れていて栄養価もある蕎麦が意図的に育てらていたそうで、農業的にも米の連作障害(毎年同じ畑で同じ作物を作る、これを繰り返すと作物が病気にかかりやすくなったり成長しにくくなったりする)を防ぐ為に今でも作れているそう。むっちゃ理にかなってるやんけ、すごいな。

 確かに、永平寺へ行った際もお昼ごはんは近くのお蕎麦屋さんに行きました。もちろん美味しかったし、「越前そば」という言葉が確かに有名な場所でしたね。

 個人的には、仕事で稲作中心の農村でこれからどう稼いでいくか?を考えていたので、色々と参考になりました。田んぼって、米価が上がらない割に機械ゴリゴリ使いながら大規模化しないと成立しなくなってきているので、田んぼを維持するのではなく野菜や果樹畑に変えてみたり、飼料になる稲を作ったりと試行錯誤が続いています。

 蕎麦を植えるというのは良く聞く話です。実際に近所でも蕎麦を植えて、収穫後はみんなでそば打ちをする、なんて活動も聞いたことがあります。ただそんな活動をしているのもごく一部で、ほとんどの米農家さん、というよりは稲作中心で稼げなくなってきている地域は次の一手に苦しんでいる現状。

 福井の現状をみて「やっぱ蕎麦がいいんや!じゃあうちも!」なんて簡単な事になっていない訳を考えてみると、作った作物の売り先があるかどうかが大きなポイントだなと。

 福井の場合、「越前そば」ブランドが確立している点が強くて、お蕎麦屋さんも観光地周辺の至るところにあります。観光地が廃れない限り、人は常に供給されるし「せっかくなら地のものを」となると蕎麦の需要も一定は維持されます。

 僕が入ったお蕎麦屋さんも昔ながらの店構えではなく、ファミリー向けの広々とした店内で子連れでも利用しやすいサービスが展開されていたので、お蕎麦屋さんの新陳代謝も一定の割合で起こってそう。そもそもの観光課題は一旦無視して、農家として蕎麦を作ることは生計を立てられる状況にあると感じました。

 そう考えると、田んぼの活用として皆さん蕎麦を作るし、お米も引き続き作るようになりますよね。連作の視点から考えても。

 これって田んぼの利活用だけでなく、地域の資源を使って何かしようと考えた時にも参考となるケースです。どうしてもプロダクトアウトっぽい思考に寄ってしまいますが、マーケットインの思考がないと続かないし稼げないから誰もやろうとしません。

 たぶん、視察先で見た成功事例をそのまま自分たちの地域に持ち込んで失敗するパターンはこれに寄る事が多いのかなと。あなたの地域にそのマーケットは存在するか?と。存在してなければマーケットを作るのか、営業をかけて買ってくれる先を見つけるのか、稼げる仕組みづくりが必要になってきます。

 そんな気づきを持てた北陸旅行。金沢では↓ことも感じました。やっぱり旅行って学びになるなぁ。


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