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論文投稿先の選び方

今回は私自身が論文投稿をする際にどのようにしてジャーナル選びをしているのかをご紹介させていただきます。和文誌であれば比較的簡単に探せますが、国際誌での投稿先をどこにしようか…と悩んでいる方は多いのではないかと思うので(少なくとも私の周囲では悩んでいる方が多い)、少しでも参考になれば幸いです。


論文の投稿先

論文を書き上げた!よし投稿だ!と意気込むものの、「どこに投稿しようか?」と投稿先選びに時間がかかる方は多いのではないでしょうか?
もちろん、論文のテーマが心不全看護に特化した内容や救急看護に特化したものであれば、まずはその専門学会(例の場合は循環器看護学会や日本救急看護学会でしょうか)が候補に挙がるかと思います。または、裾野の広い看護研究学会や看護科学学会も候補になるかと思います。
上記のように、和文誌であれば学会名がわかりやすいですし、数も限られているので比較的投稿先に困ることはないのかなと思います。
投稿雑誌のレベルも、まずは看護科学学会や看護研究学会といった伝統ある学会誌にチャレンジして、リジェクトされたら各種専門学会への投稿に切り替える、というような方もいるのではないでしょうか?(やはり国内ですと看護科学学会や看護研究学会に論文掲載したことがあるというのは1つのステータスかと思います)
しかし、国際誌になってくると、途端に投稿先選びが難しくなりませんか?難しくなる原因として、「どんなジャーナルがあるかわからない」「信頼できるジャーナルなのかわからない」といったことが大きな原因ではないかと思います。
次項より、私が投稿先を選ぶ際にどのように探しているのかについてご紹介していきます。

世の中にはどんなジャーナルがあるのか

まずは自分の研究分野でどんなジャーナルがあるのかを知らなければ、探すことができません。
そこで私は「Scimago Journal Rank」を参考にしています。

これは、インパクトファクターなどに代表される、ジャーナルの評価指標の1つであるSJRを用いて様々な雑誌をランキング化しているもので、Elsevier社が使用しています。
このサイトを使用すると、世界各国に存在する自分の研究分野の国際誌を検索できるとともに、ランキングになっているため、各ジャーナルのレベル感も掴むことのできるスグレモノになっています。

使用方法として、まずはトップページから以下のように「journal ranking」をクリックします(赤矢印)。

次に、ジャーナル分野を選びます。

すると看護に関連したジャーナルがずらっと出てきますので、看護に関連する国際誌がこれだけ存在していることがわかります。もちろん、その他の専門分野を探したければ、例えば「Medicine」を選ぶと医学分野のジャーナルを探すこともできます。

次に、看護の中での専門領域について絞っていきます。
以下の部分から、自分の研究テーマと重なるカテゴリー(例としてEmergency Nursing)を選びます。

そうすると、看護の中でも特に救急看護に関連したジャーナルが出てきますので、この中からジャーナルを選んでいくことができます。

どんなジャーナルを選ぶ?

さて、自分の研究テーマとかかわりがありそうなジャーナルがわかりました。次に、どんなジャーナルを選んでいくか?という点ですが、私は必ずオープンアクセスジャーナルを投稿先に選ぶようにしています。
これは、やはりオープンアクセスジャーナルの圧倒的なアクセス性を大切にしているからです。自分の研究をより多くの人に届けるためにはオープンアクセスが必須になるかと思います。ある報告によると、オープンアクセスの論文は、購読式の論文と比較して、約4倍ダウンロードされていたそうです1) 。アクセスのしやすさは引用のされやすさにも直結しますので、私は周囲にもオープンアクセスジャーナルを勧めています。
もちろんSchimago Journal Rankにもオープンアクセスジャーナルが収録されています。
以下のようなオレンジ色のマークがついているのがオープンアクセスジャーナルです。

このマークがついているジャーナルを投稿先の候補にしつつ、ジャーナルのレベルと自分の研究のレベルを照らし合わせながら投稿先を選択していきます。
ジャーナルのレベル感はランキング通りですが、合わせて四分位も参考にしています。四分位とは以下の部分になります。

いわゆるQ1ジャーナル、Q2ジャーナルと呼ばれるものですね。感覚的には

Q1ジャーナル:その分野のトップジャーナル達。このジャーナル達に掲載しているとその分野において高いレベルで研究できている証。
Q2ジャーナル:中堅ジャーナル達。コンスタントにこのレベルのジャーナルに掲載していると、研究者として高いレベルを有している印象。
Q3ジャーナル:その分野の中では影響力は低いものの、一般的な研究者はこのレベルでコンスタントに出していれば十分。博論を出すなら最低このレベルのジャーナルを選びたい。
Q4ジャーナル:初めての国際誌チャレンジや、修論などを国際誌に投稿する際に候補になる。

といった感覚でしょうか(あくまで個人の感想です)。
私はこのような感覚で自分の論文投稿先を探しています。ちなみに私の最高掲載ジャーナルはQ2ジャーナルです…。Q1ジャーナル掲載を目指していますが、中々難しいですね。

まとめ

国際誌の投稿先について、私が実践している投稿先選びの方法を紹介させていただきました。今回の記事の方法をベースにして、pubmedに収録されているかや、DOAJシールがあるかなども気にしているのですが、長くなるのでまたの機会にご紹介できたらと思います。
少しでも投稿先選びに悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

1) https://www.springernature.com/gp/open-science/about/oa-effect-hybrid


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わっち
慢性的に研究費が不足しています。よろしければ応援お願いします。