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研究業績の評価
これまで論文投稿先を選ぶ際の筆者の考え方(1、2)を少しご紹介させていただきました。
今日は少し進んで(?)、「研究業績とはどのように評価されるのか」という点について、私見も交えてご紹介させていただきます。
学会発表と論文掲載
研究業績には大きく分けて
1.学会発表
2.学術誌への論文掲載
の2つがあります。
どっちがより評価されるのかというのは学術分野にも依る部分があるかと思いますが、看護学分野においては2.の論文掲載が圧倒的に研究業績として評価されます(学術分野によっては国際カンファレンスでの発表の方が下手な学術誌に掲載するよりも困難な分野もあるそうです)。
筆者は、研究業界に入るまでは、「学会発表!?すげー!」みたいな感覚だったのですが、学会発表は研究業績としてはほとんど評価されないと知って驚いた記憶があります。
学会発表と論文掲載の間には業績として超えられない壁が存在しまして、極端な話、100回の学会発表と1本の論文では1本の論文の方が評価されます。
実際、公募をみても、公募できる基準として定められるのは論文数であり、学会発表数は問われることはまずありません。研究とは論文であるということがよく分かります。
和文誌と国際誌
さて、学会発表と論文掲載には業績として超えられない壁があることが理解いただけたかと思います。
次に、和文誌と国際誌との間の壁についてです。
これは看護学分野に限っての話になりますが、看護学分野では和文誌も業績としてそれなりに評価されます(学術分野によっては和文誌はほとんど業績として評価されず、MISC(その他)扱いになる)。日本の看護学分野は発展途上ですので、国際誌が当たり前の分野からすると驚きかもしれませんが、教授クラスでもファーストで国際誌での論文掲載をしたことがないような人もいます。もちろん、トップオブトップの大学教員たちは国際誌への掲載が当たり前ですが、県内3番手くらいのレベルの大学群では国際誌への掲載歴がない教員がザラにいます。
そんな状況ですので、国際誌に掲載歴があるのは看護学分野ではけっこう評価ポイントが高くなります。体感ですが、和文誌5本=国際誌1本くらいの感覚です。ですので、看護学分野で教員を志す方は、まず1本国際誌への掲載を目指してほしいなと思います。ぶっちゃけてしまうと、看護科学学会誌に掲載するよりも、国際誌でQ3ジャーナルに掲載する方がはるかに簡単ですし。
個人的な意見が多分に入りますが、やはり研究協力いただいた方への誠意としても、広く世界に発信していくことが大切だと考えています。
学会発表の意味
それでは学会発表の意味とは何なんだろうか、となる方もおられると思います。少なくとも著者は、そもそも学会発表を業績ととらえておらず、以下の目的のために学会での発表や学会参加を行っています。
1.研究トレンドを知る
2.自分の研究について第三者からの意見をもらう
3.他大学の人との交流
学会に参加すると、全国の大学・病院から研究者が集まりますので、様々な研究に触れることができます。ある看護分野で流行っている研究テーマや手法にどんなものがあるのかを知るとともに、自分の研究成果を紹介し、第三者から意見をもらいつつ名刺交換をして仲良くなる、ようなイメージです。
看護学分野では、学会発表で意見をもらったのちに論文に昇華していくというのが一般的ですので(学術分野によっては論文掲載→学会発表の順が一般的)、もらった意見をdiscussionに加えてみたりすることもあります。
ですので、ある種お祭りのような感覚で学会参加しているのが正直なところです。
まとめ
とにかく国際誌への論文掲載を目指しましょう!
看護学分野においては学会発表は業績とは認められませんし、和文誌よりも国際誌が評価されます。国内だけに発信しても、届く先には限界があります。やはり世界に発信してナンボです。
かなり個人的意見にまみれた駄文となってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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