
パタンセオリー翻訳クラファン終了まで残り3日で思い出したこと
パタンセオリー翻訳クラファン残り3日となりました。
活動報告をアップしたので、こちらに転載します。
ふと思い出したこと
この活動報告を書いていて思い出したのは、2007年にアジャイルを啓蒙していた頃抱えていたストレスでした。
アジャイルの源流は日本にあるのに、そこを調べようとせずに、海外から逆輸入される情報ばかりありがたがっている状況に無性に怒りを覚えました。「もっと日本から発信しろよ!」という動機でAgile2008に発表しにいきました。(詳細については『XPの旅』参照)
アレグザンダーについても2003年のNOO出版からギャップが埋まらない状況にストレスを感じていました。2009年に中埜さんと出会ってもっと深めたいと思いながらも、愛媛に移住せざるを得ない状況になり、その後最前線から一歩引いて一旦手放したつもりでした。でも結局また戻ってきてしまいました。
「もっと英訳が上手な人がやればいいのに」といつも思っています。でも結局「誰かがやってくれる」と思っているうちはだめなんでしょうね。自分が向いているか・向いてないかにかかわらず「まだ見ぬ世界を夢見て、当事者になる決意」をするかどうかが重要なのでしょう。
パタンセオリーでは「人々が自分の力で世界を変えようとすることが、生命が生成される重要な条件」と言っています。この翻訳プロジェクトも、パタンセオリーの通りだということです。
活動報告14の転載
以下、活動報告14の転載です。
--ここから--
パタンセオリー翻訳プロジェクトのクラウドファンディング、残り3日となりました。
皆様のお陰で、当初ゴールを達成し、ネクストゴールも残り2%の所まできました。
本当にありがとうございます。
最後のお願いの前に、少しだけ想いを記しておきます。
『パタンセオリー』は、クリストファー・アレグザンダー氏が建築という分野で「美」を探求してきた理論を、本書の著者であるヘルムート・ライトナー氏がコンパクトにまとめた書籍です。アレグザンダー氏は、2022年3月にこの世を去りましたが、その作品は色褪せることはありません。
最も有名な『A Pattern Language』(『パタン・ランゲージ』原著)は1977年の出版です。彼の理論が大きく進化した『The Nature of Order』シリーズ(4冊)は2003年の出版ですが、長らく日本国内では翻訳されてきませんでした。
2013年にようやく『ザ・ネイチャー・オブ・オーダー』が中埜博さんらの尽力で翻訳にこぎつけましたが、まだ第1巻のみです。
「パタン・ランゲージ」を始めとするアレグザンダーの理論を語る時、2003年以降で英語圏で当たり前のように読まれているネイチャー・オブ・オーダーが、日本では「当たり前ではない」のです。
つまり英語圏と日本では20年のギャップがあり、そのギャップの中には、アレグザンダー氏が記した「生命を生み出すプロセス(2巻)」、や「生き生きとした世界のビジョン(3巻)」、「輝ける大地(4巻)」、「地球の生命と美をめぐる戦い(The Battle)」が含まれています。
特に、『The Battle』はアレグザンダー氏が関わった最大の建築物である埼玉県の盈進学園東野高校が舞台であり、ネイチャーオブオーダーシリーズにも何度もエピソードが登場します。つまり日本はアレグザンダー氏が手掛けた建造物の舞台でありながらも、ごく一部の専門家の間にしか、その存在を知られていないということです。
翻訳チームの大半はソフトウェア開発分野の人間です。ソフトウェア開発分野は(本書にも登場しますが)、この30年近くパタンセオリーの影響を強く受けてきました。しかし、国内には先に上げたようにパタンセオリーに関する英語圏との大きなギャップが存在するため、残念ながらその理解は『パタン・ランゲージ』で止まっているといっても過言ではありません。
パタンセオリーの翻訳は、2013年以降止まっていたこの20年の時間を再び先に進めるためのステップです。そして今、様々な分野において、機械的世界観から生命的世界観へのパラダイムシフトが行われていますが、パタンセオリーはその流れを先んじていた理論であり、それぞれの分野で独立して動いているパラダイムシフトを加速させる潜在力を秘めていると私たちは信じています。
合理性によって私たち人間を含めた「いのち」が蔑ろにされる世界から、「いのち」を尊重し、慈しみ、より力づける世界へのシフトの一歩にぜひご協力ください。
残り2%を達成するために、あともう少し、皆さんの力を貸してください。周囲の方々に、プロジェクトのシェアや紹介をしてください。
いいなと思ったら応援しよう!
