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過去・現在・未来の時間軸の上で生きがいを探す〜「生きがい」の文献を調べてみた(3)

IKIGAIマップを通じて、「生きがい」に興味を持ちいくつかの文献を調べてみました。

神谷氏の『生きがいについて』、小林氏の『「生きがい」とは何か』以降も、生きがいについての多くの研究が行われているようです。特に高齢化社会の課題先進国である日本では「高齢者の生きがい」という観点で多くの研究が行われています。

生きがいについて多くの研究をされている長谷川明弘氏は、先行研究を元に長谷川ら(2001) [1]で「生きがい」の構造を次のようなモデルとして整理しています。(図は後発研究の、長谷川ら(2003)[2]を元に作成)

生きがいを「生きがいの対象」と「(生きがいの対象に伴う)感情(=生きがい感)」という二つに大きく分けています。この分類は神谷美恵子氏の『生きがいについて』を参考にしているそうです。

長谷川ら(2001)では、「生きがい」の定義を次のように設定しなおしています。

「生きがい」とは、「あなたの生きがいは何か」と尋ねられた時に、その人が 過去の経験、現在の出来事、未来のイメージといった「(「生きがい」の)対象」を心に思い浮かべ、同時に伴って沸いてくる自己実現と意欲、生活充実感、生きる意欲、存在感、主導感といった種々の感情、つまり「(「生きがい」の対象に)伴う感情」を統合した自己の心の働きである。

つまり、その「生きがい」の対象は、現在だけでなく、過去の経験や、未来のイメージという広範囲の時間軸が含まれるということです。

例えば、誰かと交わした約束、恩師に教わったこと、強烈なインパクトを受けた経験といった過去の出来事、現在の誰かとの絆、今やっている仕事、社会における役割といった現在の状況、将来の自分の夢、孫の成長、実現したい会社や社会といった未来のイメージ、これらが、それぞれの人にとっての「生きがい」の対象となりうる、ということです。

長谷川氏達の研究は、主に高齢者を対象にしているため、現役世代の人びとにそのまま当てはまるものではないかもしれません。その一方で、誰しも過去、現在、未来という幅広い時間軸の上で「生きがい」となる対象を見つけ、そこを拠り所に生きるのではないかと感じました。

ikigaiの旅はまだまだ続く...

[1]長谷川明弘, 藤原佳典料, & 星旦一. (2001). 高齢者の「生きがしミ」とその関連要因についての文献的考察 一生きがい・幸福感との関連を中心に一. http://hasegawa-akihiro.com/summary_download/fullpaper_j0204.pdf

[2]長谷川明弘, 藤原佳典, & 星旦二. (2003). 「生きがい」の構造 −「生きがい」の対象と伴う感情の共分散構造分析. http://hasegawa-akihiro.com/summary_download/fullpaper_j0108.pdf

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