短歌の話をしようとしたらとんでもなく物騒なタイトルになってしまった。加害と喪失と、それらを踏まえた菊智七星の短歌の話をします。 まず手始めに、なぜ私がこんなに加害と喪失という概念に対して過剰に反応する人間に育ってしまったのか、という話から。これは意外と明確で、きっかけは様々なコンテンツを追う中で舞台俳優さんや配信者さんなど、いわゆる「生身の人間」を推し始めたことだった。 それまでの私は典型的な2次元のオタクだったので、「今を生きる生身の人間」を存在ごとコン
気付けば10月が終わって秋も半ばに差し掛かり、世界がすっかり涼しくなってしまってビビっています。急に秋(というかもはや冬)の顔をしないでくれ……それはそれとして、特に書くこともないので近況報告をします。 ・12日に大学の文化祭が終わり、演劇部の3回公演と写真部の出店責任者を無事にやり遂げた。演劇、本当に楽しすぎる。他人になりきって振る舞うのもデカい声出すのも何回やっても楽しくて、多少慣れが出てきてアドリブも随所に入れられるようになり、見に来てくださった先輩方にこれが人生で
9/1、劇団ロロの「飽きてから」という演劇の千秋楽公演を見に行きました。上坂あゆ美さんが作中短歌の提供&演者としてもご出演なさっていて、かつ私自身が大学の演劇サークルで演者として人生初の舞台に出た直後だったので何が何でも見たくて……当日券でギリギリ滑り込みだったにも関わらずお席用意して下さりありがとうございました。各登場人物に対する感想や印象に残った場面、いいな〜と思った演出や全体の感想等について書き残しておければと思います。 〇登場人物について ・三船青(望月綾乃
気付いたら8月が終盤に差し掛かっていて震えている。前回の記事の最後に「8月は人と沢山会える月にしたい」って書いてたんですが、無事に達成できてよかったです。正直特に書く内容が無いので近況報告と最近食べた美味しかったものの話をします。 近況報告は体重の話。私の一人暮らしのおうちには体重計がなく、4月からこれまでずっと自分の体重を把握していなかった。クソ不規則な一日2食生活を続けていたのでなんとなくお腹がぺったりしてきたかな〜程度には思っていたものの、いざ実家に帰省して体重を
世界が7月になってしまった。夏!!!私は相変わらず学校サボったりバイト遅刻したり洗い物放置したり野菜腐らせたりと散々な生活を送っていますが、人間関係においてとっても嬉しい出来事があったのでそこだけはずっと幸福でよかったです。 いきなり話は変わり、私の母方の祖父母のおうちには「切れてるチーズ」というチーズが常備してあった。その名の通り1枚ずつスライスされた状態のチーズが箱に入っていて、おそらく酒豪の祖父がお酒のつまみに好んで食べていたからいつも置いてあったんだろうな
すごい変な夢を見た。鮮明だった後半部分だけ書き残しておきます。 暖色の靄と光みたいなのが充満しただだっ広い空間にいて、自分の目の前で鹿とか猫とか色んな動物が左から右に向かう形で列を作って、光が差している扉の向こう側に吸い込まれるように移動していく。私はそれを知らない女性と一緒に見ている。 女性が可哀想だ、と言う。あの中にはクスリをやっているものもいる、精神を病んでいるものもいる、神聖かもしれないあなたが許されないのは可哀想だ。神聖なら救われるべきだ。私は午
バチくそ重いタイトルですが、内容としては「大した出来事じゃなかったのに何故か忘れられないことってあるよね〜」です。これを一言にまとめる力がなかった。私はこういう何気ないのにずっと忘れられない記憶って誰にでもあると思ってるんですが、今回はその話。内容マジで脈絡ないです。 ひとつめは小2の秋の出来事。当時私は父の仕事の都合で1年半だけ地元を離れて関東に住んでいて、その時住んでいたアパートの近くに小さいお寺があった。お寺の入口の横には秋桜が生えていて、秋になるとかなりのボ
4月10日に、ずっと憧れだったスナックはまゆうに行った。スナックはまゆうは歌人の上坂あゆ美さんが水曜限定で開いているお店で、私は上坂さんがきっかけで短歌を詠み始めた人間なので以前から本当にめちゃくちゃ行きたかった。文章にしすぎると感動が薄れちゃいそうな気がしたのでほぼ箇条書きみたいな感じで書き連ねます。 上京しておよそ一週間経った10日の午後、そういえば今日水曜日だな〜って気付いてからTwitterに張り付く。上坂さんがはまゆうやるよ〜ってツイートしてくださったのが確か
ここ最近の日々、めちゃくちゃ幸福だったのにいきなりメンタルが急下降して死んでいる。普通に生理現象なので抗えなさはあるが、それはそれとしてしんどいのでテンションを上げるために先輩の話をします。でも昨日の夜は先輩のこと考えてたら鬱になって泣きながら寝たのでダメかも。 昨日、「平日の昼に暇な人」という条件の下で集められた3人の先輩達と一緒にポスターの掲示依頼のお仕事をした。リストアップされた施設を回って、掲載許可をもらえたら委託、断られたら帰る、の繰り返し。先輩に車で迎えに来
私が明確にショートヘアに憧れを抱くきっかけになった二冊の本がある。一冊は瀬尾まいこさんの「卵の緒」 という小説のうちの一編『7's blood』 で、もう一冊はいしいしんじさんの『ぶらんこ乗り』という小説。どちらも姉と弟の二人の物語で、もちろん散髪のシーンがある。 7's bloodは、異母兄弟の七子と七生の物語。最後の別れの日を前にして、二人が風呂場で互いの髪を切り合うシーンがある。その場面の描写が私はとにかく好きで好きで、散髪という行為自体に憧れを抱く大き
人から「優しい」と言われることが多い。自慢とかではなくマジで多い。小学校の担任の先生、習い事の先輩、友人、色んな人から言われる度にその都度「ほんまか〜??」と思っていた。私って他所から見ると優しい人に見えるんだろうか。大した人類愛も無ければ嫌いな相手も星の数ほどいるし、常日頃から嫌悪だの憎悪だのよろしくない感情てんこ盛りなんだが……?? 多分、優しいというよりは鈍感すぎるんだろうなと思う。痛みに鈍すぎる子供が平気な顔で注射を終えて「我慢できて偉いね〜!」「つよい子だね〜
原作未読の状態で映画「カラオケ行こ!」を見てきたのでつらつらと感想を書こうかなと思います。めちゃくちゃよかった…… 【見る前から知っていた事前知識】 ・綾野剛さんの足が長すぎる ・変声期の男の子が歌う「紅」がとても良い ・汚いLemonが聞ける 原作は読んでないのでタイムラインで見聞きしたのはこの程度。フォロワーにも何人か見に行ってる人がいて、気になってたので映画館に突撃しました。上映開始時刻過ぎてたのにチケット用意してくださった受付のスタッフさん、本当にありがとうご
「ねえ、雪乃」 演奏会を三週間後に控えたその日、私は不安そうな表情を浮かべた瑠璃に呼び止められた。どうしたの、と尋ねると、瑠璃は言いにくそうにおずおずと口を開く。 「颯先輩、いなくない?」 耳にして、理解して、頭が真っ白になった。直前まで部室にいたはずの颯先輩が、全体練習が始まった瞬間どこかに姿を消していた。三週間前の大詰めの時期に、人数も比較的揃っていて確認がしやすいはずだったその日に、何も伝えず勝手に。合奏始めるよ〜、と顧問が出す指示に黙って従いながら、
我が家には大量のぬいぐるみがいる。ほとんどは水族館や動物園に行った時にお土産ショップで買ってもらったもので、そしてその全てにはきちんと名前がついていた。ぬいぐるみに名前をつけるのが一般的なのかどうかは分からないけれど、少なくとも私は家にいる全てのぬいぐるみの名前を今でもちゃんと覚えている。 自分が覚えている中で一番古いぬいぐるみは、初めて行った動物園で買ってもらった小さいキリンのぬいぐるみ。当時四歳だった私がそのキリンにつけた名前は「ののか」だった。「のんびり」
バス、と言われて私の頭に思い浮かぶバスは三種類ある。ひとつは通学に使っている普通の市営バス、ひとつは小学生の頃通っていたスイミングスクールの送迎バス、もうひとつは遠征練習の時に乗る移動用のバス。 市営バスに関しては、正直大した思い入れがないので今回は割愛。そもそも普段は自転車通学なので、市営バスにお世話になるのは通学路が凍ってしまう冬の間だけだったりする。赤の他人と一緒に同じ車に詰め込まれて運んでもらう感覚は別に嫌いじゃないけど、かと言って特別好きなわけでもない
もう遠い昔の話になる。小学五年生の夏が終わる頃、同級生に三上霧という子が転入してきた。 母親と二人で私の住む町に越してきた霧は、空色のブラウスやふんわりしたスカートが良く似合う、綺麗な長い髪をした、男の子だった。ごくありふれた田舎に突如紛れ込んだ霧の存在はあまりにも異質で、あっという間に広まった根も葉もない噂話は霧とその母親を完全に孤立させた。学校でも霧はいつも一人でぽつんと自分の席に座っていて、それでも誰も霧に声を掛ける勇気はなかったのだと思う。ガラスケースに