東女美男子烈伝.2 甲田哲也
憧れの和製エリック・ビショフ
甲田哲也は美しいんだ。
美しくなければ女子プロレス稼業なんぞできるはずがない。
私もそうだが、職場の男女比がコレでもかと狂っている逆ダイバーシティの中でうまくやっていくには、表面上だけでも心が美しくピュアでなければやっていられない。
一部のファンや選手は彼を「世界のTK(何をもって世界なのか、どこの世界なのかはわからない)」と呼び、ごく一部(だと思う)の選手によっては「妖怪」と呼んでいる。
サイバーファイト及び高木三四郎から東女の全権を委任されたひとり万能機関。迫真の形相でファンを剥がしに来る「妖怪ガチ恋剥がし」な反面、心はきっとピュアで美しい方なのだと思う。そう信じているし信じたい。
むかしエリック・ビショフという同じくひとり万能機関が今はなきWCWにいた。
空前のnWoブームの仕掛け人を皮切りに現代のアメリカンプロレスのあり方に多大な影響を与えた怪人というか妖怪。
ファンなら一度は夢見る、
「ぼくのかんがえたさいきょうの◯◯」
という願わぬ妄想。不毛な邯鄲の夢。
なぜ俺の推しがチャンピオンじゃないんだ。そこはそうじゃないだろう。この絵を描いているのはどこのどいつだ?
引退?本当に慰留したのか?俺は許さないぞ。
日々不満という屁にも満たない終わりなき毒ガスを腸内に溜め込んでは、水道橋で冷たい風に吹かれながら思いを馳せるプヲタという妖怪。
たかが妖怪ごときの気味の悪い叶わぬ妄想を万能機関として日々実現しているのが和製ビショフこと甲田哲也だ。まさに我々プヲタの憧れ。
一部レジェンドレスラーからは「鎖国」と揶揄されてはいるものの、「うちはうちなので。」と吉田豪氏のネット番組でハッキリと宣言するなど、文系顔ながらそのあたりの強さは体育会系であり、組織のトップとしては頼れる漢だ。
私は会場でその頼れる漢にある選手の応援ブログを書いてもよいかと承認を求めたことがある。すると「誹謗中傷でなければ。まあ。」との回答だった。その時の目は、大奥というサンクチュアリを守る殿様の目をしていた。
彼の目標がどこに設定されているのかはわからない。終わりのない血を吐きながら続ける悲しいマラソンなのかもしれない。
それでも。私は甲田哲也という純烈なリアリストの邯鄲の夢にお付き合いしていきたい。
儚い「思春期のやり直し」をやめるつもりはない。やめる必要もない。これからもよろしくお願いします。
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