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泥沼相続の典型パターン

「もう、25年も遺言を書いてくれって言ってるんですけどね、、」

横浜の地主さんのご長男、Mさん。

Mさんと、お母様とで相続対策について打ち合わせ中。

ご自宅のマンションへの建て替えとか、資産管理法人への資産の移転だとか、やるべきことは沢山あります。

でも、そんなことよりも、まずやる必要があるのは、お父様に遺言を書いてもらうこと。

特に、今回は、どうしてもです。

というのも、お父様がほぼ全ての財産をご長男に引き継がせて家を守りたい、ということを常々仰っていること。

妹さんには、妹さんが今住んでいる家だけを相続させるご意向なのです。

そのことについて、妹さんも納得されているとのこと。

それでお父様は安心してしまい、遺言なんて面倒なものは書きたくない、ということのようです。

ただ、それは危険すぎです。

このまま遺言を書かないまま相続を迎えてしまった場合、結局「遺言を書かなかった」という事実が残ります。

=お父様の本心はご長男にほぼ全ての財産を相続させる意向では無かった、と解釈することもできます。

その状態で、ごきょうだいで遺産分割協議を行わなければなりません。

そうなると、

ご長男の「親父がいつも俺に継がせると言っていた」

というせいぎと、

妹さんの「でも、結局遺言という形にしなかったのだから、それはお父さんの平等に分けろ、というメッセージでしょ」

というせいぎとがぶつかることになります。

どちらが言っていることも、間違っている訳ではありません。

お互いに自分が正しいと思うからこそ、お互いに譲れなくなり、泥沼になってしまうのです。

きっと、妹さんも今は「そんなこと言わない」と思うかも知れません。

でも、実際に億単位の資産を受け取る権利があるのに、それを失う遺産分割協議書にサインすることができるでしょうか?

お父さんの意を汲んだとしても、例えば3分の1くらいは貰ってもいいはず、と思ってしまわないでしょうか?

妹さんとしては譲歩したつもりであっても、お兄さんとしては、やはり撮られた、という気持ちになってしまうかも知れません。

どちらも欲張りという訳ではなく、普通の心理だと思います。

このような状態になって、残念ながらきょうだい仲が壊れたケースを何件も見ています。

財産を受け取る当事者同士だけで取り分を決めるというのは大変なことなのです。

その点、お父様の遺志が遺言という明確な形で遺されていれば、それがご自身に不利な内容であっても、妹さんは納得されると思います。

遺言という明確な形ではなく、中途半端な形で遺志を遺すのは最悪なのです。

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