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砂かけ婆を妖怪ハウスに住まわせてあげたい、と願う目玉オヤジの取るべき方法

Q「配偶者居住権の仮登記」

私には、先妻岩子との子である鬼太郎と、現在の妻である砂かけ婆がいます。

今はその妻と二人で住んでいますが、妻は私が死んだ後に住むところがなくなるのではないかと不安に思っています。

配偶者居住権で住み続けられるようにしてあげたいのですが、どのようにすれば安心してもらえるでしょうか?

A.死因贈与で配偶者居住権を設定し、その仮登記をしておく。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与を死因贈与と言います。配偶者居住権は死因贈与契約によっても成立します。この場合、将来における配偶者居住権の設定請求権を保全するための仮登記を利用することができます。

死因贈与契約は、私文書でも公正証書でも作成することができます。

★世戸弁護士のコメントです。

配偶者居住権は、遺言で設定をしただけでは不十分で、夫の死後に妻が法務局で登記しないと、自宅を「横取り」されるリスクがあります。例えば、妻と長男が不仲な場合には、妻が配偶者居住権の登記をする前に、長男に家を売却される可能性があります。妻と子の仲が良い場合でも、子どもに借金があれば、夫の死後、子どもに金を貸した金融機関が、家を差押え,競売してしまうこともあります。

妻の住む自宅が第三者名義になってしまえば、遺言書にいくら『配偶者居住権を妻に遺贈する』と書いてあっても意味がなくなります(改正後民法899の2)。そうなれば、妻は家を追い出されてしまいます。

そこで登場するのが,配偶者居住権の設定の仮登記です。

夫が存命中に、夫と妻とで、夫名義の不動産に配偶者居住権の「仮登記」をするのです。そして、仮登記さえしておけば、将来における配偶者居住権の設定請求権が保全され,夫が亡くなった時に本登記に代えることを請求できます。

この仮登記をするためには、夫と妻の間で「死因贈与契約」を結びます。遺言書で配偶者居住権を設定しても、仮登記はできません。



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