古泉一樹が好きだ。 穏やかな態度が好きだ。ニコニコ笑っている顔が好きだ。理性を重んじる姿勢が好きだ。負け続きなのに手を替え品を替え新しいゲームを持ってくるのが好きだ。ミステリについて語る時いきいきし過ぎて台詞のページ占有量がバカになっているところが好きだ。自分のことを語りたがらないところが好きだ。試し行為のようなうざったい言動が好きだ。キザったらしい所作の癖が好きだ。時々抜けたところがあるのが好きだ。 好きなところを一つひとつ列挙していったら、いくらでも無限に話し続
語り手であるキョンが指摘するように、『孤島症候群』(以下『孤島』)という物語における犯人は古泉一樹である。 絶海の孤島で起きる密室殺人事件――しかしその真相は、助けに入るために扉を破ったことが被害者を絶命させるとどめの一撃になるという「悲しむべき事故」であった――そのようなミステリーショーの絵図を描き、実演してみせた。 その動機について問われた彼はこのように語る。 驚くべきことに彼は、この体験型殺人劇をハルヒに向けて提供した娯楽なのだと言う。 それが劇だと予め分か