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カブトムシの匂い
″カブトムシの匂い″ と聞いて
"あっ、あの感じかな″ と頭に直ぐ浮かび、
鼻の奥でその匂いが何となく蘇る気がする私。
匂いについて時々病棟で話をする時があります
赤ちゃんは宗教上でミルクの種類の制限が
ある場合を除き
母乳以外のミルクは同じミルクを飲んでいます
したがって、排泄物の匂いは同じかと思いきや
違います。
着用の肌着は、
身体が大きく成長し病院の用意する肌着が
入らない場合を除き全員同じであり、
着用後の洗濯・クリーニングは業者が担当。
肌着の匂いは同じの筈。
ですが、赤ちゃんの着用している肌着の
" 匂い″ は違うのです。
3週間ほど前に入院した赤ちゃんは他病棟から
移床(いしょう・・・病棟移動)をしてきました。
その赤ちゃんに近づくと、独特の匂いが。
頭に浮かんだのは
"カブトムシの匂いに近い・・・″
深夜、
その赤ちゃんのオムツ替えやミルク担当した私
やはり
排泄物・体臭からも私が感じたのは
カブトムシの匂いに近い。
その日の夜勤ナースさんに、
赤ちゃんの匂いの話をしたところ
お相手は年代が私に近いナースさんであり
「あっ、kururiさん気づかれました?
〇〇疾患でおくすり服用中は
この匂いがするんですよ
退院時には消えるので安心ですが、
匂いに敏感なご両親だと心配されます。
Aちゃん(該当の赤ちゃん)のご両親からは
心配の話はないので
匂いについてのお話は控えてくださいね」
と。
そして、
「この匂いって
カブトムシの匂いに似てますよね」
と。
私はその言葉に反応して、
「あ!
移床時から私は、そう感じていたんですけど
黙っていました」
と返したのです。
すると、近くにいた20代ナースさんが
「え?カブトムシの匂いって???」
「どんな匂いなのか想像出来ませんけど、
お二人はどうして知ってるんですか」
と、不思議そうに質問されたのです。
担当ナースさんはベテランナース。
この質問・やりとりを今まで何度も経験され
「あー◯さんは若いからカブトムシの匂いって
わからないですよね。
ごめんなさいね、知らない話をして。
でも、◯さんだけでなくて若い世代の人には
カブトムシの匂いを知らないって人が
多いから気にしないで」
と、答えたのです。
その後のお2人のやり取りを聞いていた私。
世代間で匂いにも違いがあるのだな、と実感。
お2人のやりとりの後、
若いナースさんが私に質問。
「kururiさんは、
いつカブトムシの匂いって知ったのですか」
と。
私は
「うーん・・・
3歳位から小学3年位まで毎年
山の麓に住む親戚の家に遊びに行っていて、
夏に親戚の子と一緒に近くの山に出かけては
カブトムシの幼虫を取ってたんです。
保育士になってからも行ってたし
何十匹も育てたことがあるからかなぁ」
と答えると
「え!!幼虫って探したら見つかるんですか
カブトムシって値段が高いですよね~」
「虫を育てるのって気持ち悪いです・・・
kururiさんって凄いですね」
と若いナースさんは驚きつつ答えて別の作業へ。
そして、匂いの話をしていたら、
自分がこの職場に転職したての頃のことを
ふと思い出しました。
赤ちゃんに近づくと、癒されて
何だか気持ちが落ち着く香りを感じる・・・
赤ちゃんに独特のにおいを感じられるのは、
生後6週間程度までというとても短い期間。
生まれたての赤ちゃんからしか、
この匂いは発せられません。
この匂いについては
2013年
「ジャーナル・フロンティア・イン・サイコロジー」で
生後6週間程度までの赤ちゃんには
独特の匂いがあり
またその匂いをどう感じるか個人によって違い
また生後6週間を過ぎると匂いは消える
と論文発表があります。
私の目の前の赤ちゃんたちは
さっき産まれたばかりの赤ちゃんから
生後1、2日の赤ちゃんが多く、私が
新生児の赤ちゃんたちの匂いに気づいたのは
当然、必然のことだったのでしょう。
新生児の匂いは、一言でいって
″ 癒やされる香り ″。
心が落ち着き、
トゲトゲしがちな心を
丸くふわっと包んでくれる・・・
そんな優しい香りなのです。
そんな優しい香りに包まれながら
今日も笑顔で務めることに幸せを感じています
今日も1日が始まっています。
自分の機嫌を取り
気持ち良い1日を過ごします。
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