読書記録『佐々木典士「ぼくたちは習慣でできている」』
内容自体は、意志になんてものに頼らないで習慣化しようぜっていうことと、習慣化へのハウツーなんだけど。
はじめの方に出てくる「習慣とは何か」という問いへの探求がおもしろい。
習慣とは何か、それは「ほとんど考えずにする行動」、さらに言うと意識を呼び出さず「ほとんど考えずにする行動」であると。
この「ほとんど考えずにする行動」を無意識と呼んだり、國分功一郎的にいえば中動態的な行動なのかもしれない。
また本書は、無意識に対して、意識は「新聞のようなもの」としている。
新聞は、世の中で起こっている(本書での無意識に相当する)すべてのことは記述できないので、トピックを取り出して編集して紙面に載せる。
このトピックを取り出していく行為が「意識」である。
紙面に載せることができるものが限られているのと同じように、日常で意識として呼び出すことも限られている。
であれば、無意識まで落とし込み、習慣化することが大事なのだそう。
本書で出てくる意識と無意識/習慣は、能動と中動(哲学者國分功一郎)や、ロングリーシュ型とショートリーシュ型(認知心理学者キーススタノヴィッチ)や、マニュアルモードとオートモード(哲学者ジョシュア)や、スローとファスト(行動経済学者ダニエル・カーネマン)とも符合する。
たいていは前者が人間的、後者が動物的のように整理される。
個人的には、物事をオートマに手放すことなく、マニュアルな自分に手繰り寄せることが必要と思っていただけど。
本書では「自分を習慣の動物にする」とよいと書いていて、なんでも使いようだなっていう小学生並みの感想を抱きました。
また上記のような腑分けから習慣化へのハウツーまでもっていく手つきがとても鮮やかで、楽しく読めた一冊です。