出稼ぎ先について考えてみた
こんにちは。カンボジアの国際協力NGO CBBで長期インターンをしているやましたです
シアヌークビルでの事故
6月22日の早朝、カンボジア南西部のシアヌークビルで建設中の7階建ての建物が突然倒壊し、これまでに28人の死亡が確認されました。
現在も、負傷者、行方不明者が多数おり、警察などが捜索活動を続けています。
シアヌークビルでの事件ニュース
https://twitter.com/nhk_kokusai/status/1143277704684326913?s=21
この痛ましい事故は、カンボジア全土に衝撃をもたらしました。
シアヌークビルは、カンボジア国内でも有名なビーチリゾートで、ここ数年で特に中国人観光客が急増しています。
事故があった建物は、中国企業が建築しており、技術的な基準が守られておらず、工事をやめるようこれまでに2度、警告をされていたそうです。
この事故の犠牲者のほとんどが、カンボジア人労働者です。
今回の事故で、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り致します。
また、負傷者の方々の回復と、行方不明者の方々が1日でも早く発見されますように。
今日は、今回の事故に絡め、カンボジア人の出稼ぎ先についてお話したいと思います。
カンボジア人の出稼ぎ
今回のシアヌークビルの建築現場で働いていた人達は、おそらく、カンボジアの田舎から出稼ぎに来た方が多いのではないでしょうか。
人口の7割がカンボジア人ではなく、中国人であると言われているシアヌークビルなので、確実とまで言えるかはわからないですが、中にはそのような方がいらっしゃると思います。
出稼ぎ先ときくと、海外へ行くことを1番最初に思い出します。
カンボジア人の出稼ぎ先は、マレーシア、サウジアラビア、タイ、日本、シンガポール、香港、韓国など、です。
ですが、国内にも出稼ぎ先はあります。
CBBのある村のような、農村部における出稼ぎ先は、プノンペンです。
カンボジア人労働者は通常、農業、建設、漁業、などの分野に従事しており、出稼ぎで稼いだお金を田舎にいる家族に送金しています。
カンボジア人が出稼ぎにいく理由として、以下の2つがあります。
1.国内に十分な仕事がないこと
2.給料が低いこと
国内の経済状況がまだまだ不安定なため、国内に十分な仕事がないという現状があります。
同じ仕事でも、最低賃金が違えば給料も変わってきます。
出稼ぎに行く人は、仕事と高収入を求め、出稼ぎにいきます。
住み込みスタッフ制度から考えた出稼ぎ
出稼ぎ、という言葉を聞くと、最近の住み込みスタッフ探しのことが思い浮かびます。
住み込みスタッフの対象は、中高を中退した生徒達です。
その人達は、中退して次のステップに進むまでの少しの間は家にいますが、しばらくすると出稼ぎに行ってしまいます。
また、その人達の親世代も出稼ぎに行っており、小さい子供とおじいちゃんおばあちゃんが家にいる、という状況にある家族が多数おります。
村の方では、出稼ぎに行ける年齢になると村を離れ、出稼ぎにいきます。
学校に行きたくても、勉強をしたくても、それを犠牲にしてまで、守らなければならないものがあるからです。
カンボジアの人々は、家族をとても大切にします。
家族が少しでもいい暮らしができるよう、お金を送金します。
そう考えると、出稼ぎはデメリットばかりではないなと感じます。
ですが、大切なのはそれはその子の意思なのかどうかです。
もしかしたら、出稼ぎに行きたくない人がいるかもしれない。
もしかしたら、学校を卒業するまで勉強したいかもしれない。
もしかしたら、将来なりたいものがあって、そのために勉強をし続けたいかもしれない。
それが、出稼ぎに行くことで諦めざるを得なかったら。
その子の人生はどんな道を辿るのでしょうか。
これは、日本人であるわたしが簡単に言えることではありません。
こんなことを、面と向かって言えと言われたら、難しいでしょう。
だけど、それを容認するのはどこか引っかかるところがありますし、その選択、少し待って!
と、止めたくなります。
それこそ、今回の事故のように、お金を稼ぐために行った出稼ぎ先で、大きな事故に巻き込まれ、命を落としたら。
その国を将来担っていく人達の存在を、疎かにしてはいけません。
だからこそ、住み込みスタッフプロジェクトの中で、【出稼ぎ】という選択をする前に【復学】という選択肢を考えて欲しいと思っています。
出稼ぎに行くことで、お金は入るかもしれません。
ですが、1年間勉強し、学力・語学力を付けて、仕事をする方が、もっとお金が入るかもしれません。
もし、その本人が望んでいるなら、出稼ぎは止めません。
しかし、本人がほかの道を望むなら、CBBは後者を紹介したいです。
人生、いろんな選択肢があるんだよ、と。
それを、わたしは伝えたい。
悪いことばかりでもない
ここまでお話して、出稼ぎに対して悪い面のことを話すことが多かったかもしれません。
わたしたち日本人にとって、出稼ぎという言葉は、ほとんど無縁です。
だから、よく分からないこともあります。
出稼ぎが悪い、というのは先進国から見た上から目線の言葉かもしれません。
だけど、それは一旦置いて、深呼吸して考えてみました。
出稼ぎの方々のされていること。
建築業の方々。
この方がいらっしゃらなかったら、プノンペンはあんな大きな建物やイオンなどの綺麗な建物はなかったかもしれません。
今も建築中の大きな建物を見る度、これを作っている人達の凄さを感じます。
カンボジアの発展は、彼らなしではできません。
ふと忘れがちな、そんな視点。
もっと、広い目で見れたらいいなと思います。
でも、ひとつだけ思うのが
出稼ぎという圧によって自分のことを犠牲にする人が出ない社会になったらいいな
ということです。
1度きりの人生、少年時代、青年時代。
そんな貴重な1年を、CBBに預けはもらえないでしょうか。
そんな期待を持ちながら。
おわり
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