沼津をいい街にしたい①
先月、修禅寺にある主に静岡東部地域のまちづくりに関わっているNPOサプライズの飯倉さんのところを伺って、インターンできないか相談させていただいたところ、自分の住んでいる街から程近い、「沼信コンパス」という沼津信用金庫の起業家シェアオフィスを中心とした施設でやってみることになった。「沼っ子クラブ」という地元の個人塾の卒業生を中心に、主に沼津のまちづくりについて考える集まりを毎週やっていたこともあったのでちょうどよかった。
沼津という街は、静岡東部の中心都市であるが、周囲の三島や長泉といった街と比べて地域課題が進行している。元々港の多い街であるから津波の問題もあるし、バブル崩壊からの中心街の衰退も激しい。
それでも、沼津はポテンシャルは高い、と僕は思う。昔は丸井や西武といったデパートもあった。伊豆を含めた静岡東部の人たちの憧れの場所だった。市街地も「大手町」とか大層な住所も付けられていて、立派に整備されている。現在はららぽーともできた国道一号線の方に人の流れが逃げているが。
昭和に栄えた駅周辺の元中心街が衰退して、人の流れが郊外のショッピングモールを中心とした幹線道路沿いに逃げているというのは地方共通の問題である。地方は、東京と違って車社会であることが多く、駅に集まるのは免許を持たない学生が目立つ。
車は交通機関がそれほど整備されていない地方においてメリットが大きい。しかし、車社会にも欠点はある。その一つは、偶然の人と人との出会い、ゲンロンの東浩紀(元々はジャック・デリダだっただろうか?)の言葉を借りれば「誤配」が起きることが少ないことであると思う。街中を歩いていれば、ふと気になった店に目を止め、覗いてみたり、フラッと入ってみたりすることもあるだろう。些細な変化にも気づきやすい。しかし車だと目的の場所以外には行きにくいし、それだけ偶然の人との出会いも少ない。
以上のことも踏まえて、私は、沼津、地方が活性化していくために、駅周辺の「徒歩社会」を再び築いていくことを考えている。歩かないで、車でばかり移動する沼津の人たちに、車を降りてもらって街に出てみることを提案したい。人と人との繋がりが社会をつくることはいつの時代も変わらない。地方には、おそらくパッケージが必要である。沼津を含めて地方都市が地域住民の幸福を守る場所であり続けるには、これからどのような街を目指していくのかの合意形成を図らなければならないだろう。そのための第一歩として、街を歩いて、人と出会い、地域社会をもう一度構築するという仮説を今は持っている。そのための方法をこのインターンを通して考えて行きたい。
周辺でも、街の図書館をつくることやゲストハウスをつくることなどが進みつつある。ここで、信用金庫の人や、沼津の街をつくり、沼津で生活している人たちと関わって考えたことを発信していきたい。(2021/1/12)