イノベーションが出てこないのは、人の問題じゃない。
若い頃のこと。
チャコちゃん(友だち)が
「さかもとくん、旭化成でしょ? サランラップの箱の両端、突起か何かつけて、筒が抜けないようにしてくれない?」
友だち数人集まってホームパーティ、チャコちゃんがサランラップ使いながら言ったと思う。
実物見せ
「ほら、こうやって、出てしまうでしょ?」
なるほど。
後日、旭化成のサランラップ部門へ行った。同期の誰かがいたのかな。話したら
「それ、うちに言われてもなあ・・・」
彼のミッションはサランラップを一本でも多く売ることであって、パッケージの改良については担当じゃない。明らかに迷惑そうだった。
では、どこに言いに行けばいいのかと聞いても、要領を得なかった。
問題は、
チャコちゃんからの提案内容が議論に値するのか否か以前で
「組織内のどこがその提案を受ける窓口なのか」
がわからないことだった。
この話、そのまま消えた。
そういえばいまどうなってるんだ? サイト行ってみたら
ストッパーついてる。チャコちゃん先見の明あった。
別件。
取り組んでいる建材の仕事で、樹脂化成品部門に問い合わせた。
「そんなの無理だよ。金型いくつ作んなきゃならないの。わかって言ってる?」
けんもほろろ。
「カナガタ」という単語も耳慣れなかったが、その時
「ちょっと待てよ。ABS樹脂でそのカナガタ作れば良くね? 汎用熱可塑性樹脂だから、安く、簡単にできるんじゃないか?」
と思ったが黙ってた。樹脂工場担当者、電話口の剣幕がすごかったから。
いま思えばこれ、3Dプリンタの発想だった。
「イノベーションが大事だと思いますか?」
ビジネスやってる人が10人いれば10人全員
「イエス」
と答えるだろう。
では、「イノベーションに何が必要ですか?」
と聞くと
好奇心 探究心 気づく力 専門知識・・・
といった答えが返ってくる。
ぼくは、違う。
企画は一人でやる
問題は、その企画を形にする組織のサイズだ。
組織成員の中身(アホとかかしことか)は関係ない。
要するに、サイズを小さくする。
できる限り。
大きな組織ならどうするかというと
small - within - large
大の中に小をつくる。手垢のついた用語で言えばプロジェクトチーム。
サランラップにせよ、樹脂にせよ、当時の部門長に「イノベーション」について聞いたら「そりゃ、大事ですよ」と答えたはず。
でも、組織がそうなってなかった。
イノベーションが出てこないのは、人の問題じゃない。
組織サイズの問題だ。
これ、多くのビジネスが見落としている変数と思います。
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