なんだか、今日はハチャメチャ
ピンポーンとドアベルが鳴る。
出るとアパートのメンテナンス担当の男性が立っている。
「ハロー! 電子レンジが故障らしいね」(電子レンジは最初から備え付けだ)
「いいや。レンジは故障してないよ。それより、バスルームの、トイレットペーパーホルダーがないんだけど、あれって自分で買うことになってるの?」
「え? ウソ。ペーパーホルダーが付いてないって?」
「ウソなもんか。見てごらん」(と、バスルームに案内する)
「おお。ほんとだ。今日は用意がないから、明日でいいか」
「いいよ」
翌日。ピンポーンとドアベルが鳴る。
昨日とは別のメンテナンス担当が立っている。
「ハロー! 電子レンジが故障らしいね」
「いいや。レンジは故障してないよ。それより、バスルームの、トイレットペーパーホルダーがないんだけど」
「え? ウソ。ペーパーホルダーが付いてないって?」
「ウソなもんか。見てごらん」(と、バスルームに案内する)
「おお。ほんとだ。今日は用意がないから、明日でいいか」
「いいよ」
以下、その週五日間同じことを五人に繰り返したが、いまだに我が家にはトイレットペーパーホルダーが付いてない。あきらめて、自分で買うことにした。
ニューヨーク、マンハッタンの新築タワーマンションに引っ越したときのことだ。
マーケティングを専門にやる者として、マーケティングを発明したアメリカは憧れだった。だから会社辞めた翌日飛んで、現地で起業した。
どんなすごいサービスを体験できるんだろう。
世界観がひっくり返るような新製品に直に出会える! ワクワクする!!
・・・ところが、いざニューヨークに住んでみると、ボロボロだった。
鉛筆一本まともに作れやしない。
新築タワマンで、このありさま。
ぼくはこの本(2001年10月出版)で、アメリカは3つの症候群に蝕まれていると書いた。
第一に、ビジネスの本質を忘れた症候群
第二に、パーティは終わった症候群
第三に、なんでもインターネット症候群
第一の、「ビジネスの本質」とは、「最高のモノを作って、お客さんに最高のサービスを提供して満足していただく」。
アメリカはその「外側」ばかりがきらびやかになり、中身がとても貧しい。
第二は、2000年4月14日、25.3%ものナスダック株価下落ではじけたドットコムバブルを指す。
第三は、ちょうどいまの世の中が、「なんでもデジタル、なんでも仮想通貨、なんでもメタバース」と騒いでるのと同じ。
『スローなビジネスに帰れ』は、商売の本道に戻ろう、インターネットだからといって本道がショートカットできるわけじゃない、と主張した。
ニューヨークから日本へ出張し、セミナー・ジャパン・ツアーをやり、そのときのタイトルが「骨太マーケティング」。これ、当時の政府にパクられた(骨太の方針)。
担当編集者が「この本、阪本さん、好きだと思う」と、『ビジネスを育てる』原書をぽん、と置いていってくれて。
ポール・ホーケンは『フィンドホーンの魔法』著者というくらいしか、知らなかった。フィンドホーンはかなりスピリチュアルだったから、その人が、なんでビジネスを?
ほぼ同時期に、『パーミションマーケティング』を一緒にやった編集者が「阪本さん、これ、面白いよ。日本に紹介しようよ」と同じ本を勧めてきた。
なんかわからんが、これも何かだろう、と「じゃ、一緒にやろうか」と翻訳進めたのが、最初のバジリコ版だった。
シングルマザーの就労支援をミッションとするNPO法人JW-UPをやるにあたって、やはり「稼ぐ」というテーマを見据えざるを得ない。
いまは「円」なり「ドル」なりを稼げばそれで済む時代でもない。
特に「円」は、長く持ってればもってるほど価値が下がる面白い通貨だ。
「円」のような法定通貨のほかに、「ありがとう」でもらえる「ウッフィー」というソーシャル・カレンシーも稼ぐ必要がある。
昨日、NewsPicksさんのインタビューセッションをやったんだけど、担当の方とは楽しくウッフィーの交換ができた。
シングルマザーの子どもの描いた絵を売る方法を探してる。必要に迫られ、NFTについて勉強した。
AIもついて回るので、事業としてやっているステイゴールド社の高橋社長にもJW-UPへ参加してもらった。昨日の話だ。
NFTは、簡単に言えば、ブロックチェーンにデジタルアート(絵でも音声でも音楽でも何でもいい)の表紙がついたものだ。
デジタルアートはコピーできるじゃん、と思うかもしれないがそれはあくまで「表紙」であり、背景にあるブロックチェーンはコピーできない。
国境がないので、だからウクライナ支援にNFTが使われたりしている。
あ。ここまで書いたとき、気づいた。
田中靖浩さん、ありがとうございます。
本の装丁、フォントや柔らかさについて触れてくださってさすがです。
身体性を大事に考えているからこそ、であり、ここは出版社さんの腕でもあります。
で、身体性なんだけど、メタバースでは関係なくなる。
関係なくなるけれど、たとえばメタバースに出店するとする。一店舗あたり2000万〜3000万円くらい出店費用かかるらしいけれど、それでも『ビジネスを育てる』で書かれている文法を無視できるわけではない。ショートカットできるわけではない。
選択肢が増えた、という理解が良いと思う。
楽になった、という理解は間違いのもとだと思う。
パソコン画面上でメタバースできたとしても、それでもそのパソコンを置くための部屋は必要で、操作する自分の身体も必要だから。
なんだか、今日はハチャメチャになってきたね。このへんにしましょう(笑)
良い火曜日を!!
ぼくはMAIDOで、今日はブランドについてセッションします。
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