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「良いビジネス」とは

『ビジネスを育てる』
NewsPicksインタビューを受けることになり、事前に質問が届いた。

いくつかある最後に

「良いビジネス」とは何だと思いますか

これって、ぼくがずっと追っている問いだ。

20年前、葉山拠点時代の阪本塾でも、塾生と考えた記憶がある。

問いを考えるため、神戸へ行った。

神戸は80年代、デートスポット。
デートといえば神戸

ニューヨークに住み始め、日本に出張したときも三宮のホテルを拠点として住んでた。

・・・もあるが、神戸は「新しい」と「昔から」が同居するエリア。
「良いビジネス」について考えるに最適な場所だと思う。

変わる
変わらない
が「良いビジネス」の輪郭を示してくれるはず。

とはいえ;

三宮センター街、北野、異人館、元町・・・すべてノスタルジーに彩られている。どうしても「あの頃」との比較で見てしまう。

高校時代のガールフレンドと待ち合わせ場所だったドンクが建て替え。

田辺聖子さんも愛した名店「ロックキャビン」閉店していた。昭和25年創業。鳩時計が好きだった。

思うところいろいろあるが、それは感傷であり、時は容赦なく流れ諸行無常、言っても仕方ない。

そんな中、「つい最近(4月末)リニューアルオープン」した建物がある。

神戸ポートタワーだ。「新」の代表選手。

最上階、展望フロアまで上がった。高いところが好き(笑)

上がってすぐ「いまここで地震きたら」とビビリが出、あわてて下りた。阪神・淡路大震災、ダイレクトに経験してるから、身体が覚えてる。

このタワー、ひたすら階段上がったり下がったりするから、大丈夫な靴で行くのをおすすめします。アートとか、いろいろ新しいこと、やってるよ。

ぼくが起業した2000年頃はインターネットが熱くなり始めた頃で、いわゆる「スケール(でかくなる)」があっちでもこっちでも話題になってた。

当時親しくつきあってた出版社・翔泳社さんからも『IPOという選択』というタイトルが出た記憶がある。

小さく始めて、どかんとゴジラ化する。

ぼくはそれ、望まなかった。範囲でいい。目の届く範囲。

神戸の、「ノスタルジー」店たち。
閉店したり、いまも続けて営業してくれている店、さまざまだが、きっと店の数だけ、ものさしがあるんだろう。

ものさし、つまり、「目指す目標」だね。
「おのれの欲求」と、どう握手するか。

届いてるところもあれば、まだこれから、という店もあるはず。

一軒、昔から行ってる馴染みの「ザ・町中華」に入った。40年来の仲だ。

ここは、厨房が丸見え。久しぶりな職人さん二人。
中華の厨房といえば、音が絶えない・・・鍋振る音や焼く音・・・ぼくの記憶にある。
ところが今日は、音、途絶えがち。職人の兄さんたちも、時折、ぼんやり立ってる。

ラーメン&半チャーハンセットを頼んだんだけど、こない。

ぼくの想定時間でいうなら、食べ終わってるくらいの時間にようやくきた。

チャーハン、べとついてる。こんな味じゃなかった。

厨房の兄さんたち、年取ったなあ。考えてみればもう80歳近いはず(超えてるかも)。

だから、「もう、いいや」なんだろう。

ランチのお昼時だけど、あえてお客さん入れたくない。忙しいの、しんどいから。ぼくは一人だったけど四人がけに座らせたし。あとでやってくるお客さんには外で待っててくださいと。待たないよね。だから客、増えない。
2Fもあるけど、行かせないし。

これでいい、と思ってるなあ。そしてこの店にぼくが来るのは、これが最後だろう。

会計し、兄さんたちと丁寧な挨拶交わした。なんか、彼らも「わかってる」感じがした。そりゃそうだ。40年以上のつきあいだもの。
「ありがとうね」「ありがとう」

これもノスタルジーであり、あくまでぼくの主観だ。

ふと思い出した。

早朝。8時過ぎ。こんな風景に出会った。

店に納品、働く人たち。

あと一時間もすれば、ここは人でごった返す。それは「買う」ために歩いてる人たち。
段ボールと格闘しているこの人たちは「買う」ための下ごしらえに汗流してくれている。

これ、商いの土台じゃないか?

彼らのエネルギー、ぼくにも伝わって、すごく元気もらった。

ノスタルジーに浸る前だ。

いつの世も、新しい人が、新しいコトを起こしてくれた。

きっと神戸も、そうなる。

さて

「良いビジネス」とは何だと思いますか

どう答えようか。

神戸まで来て、何かつかんだろうか。

やっぱり、いま、身体の中に漂う思いで言うなら、町中華の体験だね。

どんな商売(ビジネス)にも寿命がある。
人間と同じで現役バリバリの時は
「やってくれててありがとう。店、なくなったら困る」

ところが、人間と同じで、やがてカーテンが下りる時が来る。
「今日までありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」

こう、交わせるのって、「良いビジネス」だと思う。

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