さて、この道具を何と説明しようか? 地味で… 使うところが限られていて… 乱暴に扱われて… いつもどっかしら錆びていて… …ああ…だめだ…なんだか気が重くなってきた でも、私はこの道具が好きだ。カッコがいいとか、使い勝手がいいとか、そんな次元のことではなくて、なんか存在そのものが好きというか、「ハタガネ」という名前にも惹かれる。 そもそも、この道具をなんで「ハタガネ」というんだろう。 英語風にいうとクランプということになると思うが、私にはこのハタガネという響きがたま
すき間の向こうは別の世界なんだってご存知か? そーっと覗いて見てごらん 父も母も女房もすき間の向こうじゃみんな別の人 するとすき間の向こうの自分はどんなだろう? ちょっと覗いて見ませんか すき間の向こうのあなたの自分を・・・ 私がまだ子供の頃、毎日遊ぶことだけが楽しくて楽しくてしょうがない頃の話。鬼ごっこや隠れんぼが毎日の日課で、ほとんど一日中動きっぱなしだったような気がします。今のように大人が頭絞って子供に遊びを提供してくれたりしない時代だったけど、僕らは全然不自由して
Cafeマルシェは、八ヶ岳山麓の小さな集落のはずれにある。古い鉄骨プレハブの建物で、中は結構広い。何かの工場だったらしいが、色々古びたものが大好きなマスターが、持ち前のセンスを駆使して、全てDIYでリフォームした。 古びた家具調度、特に使い込まれた椅子の数々が目を引く。そして、お客が、エントランスで扉を引くと、ガラガラという音が、建物内に響き渡る、そんなちょっと変わったカフェだ。 東は近所で木工房を営んでいる男で、午後の一服の頃になると毎日のようにフラッとやってくる常
広い板を そのままにして置くと 反ったり縮んだり それは自然の摂理ですが それをいかにして防ぐか 昔の職人が考え出した方法は 実に合理的で発想豊かです その方法とは 吸付き桟 板が動こうとする力を 逆に 板の動きを止める力に変える 板が動こうとすればするほど 桟に密着して 動けなくなるという仕掛けです まず 板側に アリ溝を切ります 断面が底にいくほど広い溝 さらに その溝は入り口が広く 奥が狭い その差は ごくわずかで 目に見えないほどの差です 次に 桟側
古びた木製の学童椅子…郷愁をそそられます、昭和育ちにはたまりません。地方では、昭和の末くらいまで現役で使われていたんじゃないでしょうか。私もこれにお世話になった世代です。 ところで、その学童椅子、使い込まれた味わいと昭和の思い出諸々が重なって今となってはけっこう大事にされる存在ですが、一つ一つの形を眺めていくと、案外いい加減に作られてるものも多いようです。 当時,この椅子のデザインを管理するところは何かしらあったんでしょうが、たぶん、座高や座幅、奥行き、背の高さの大体の数字
若い頃から、教科書、取説、小説……とにかく読むことが苦手で、例えば、文庫本の1ページを読みきるのに何時間もかかったり。 大体は、途中で嫌になってほっぽりだす始末。 今になって思うのは、随分と損をしてきたなぁ……ってこと。 多分、多くの発見や出会いに巡り会えずにやり過ごしてきたに違いない。 でも、逆に、なぜか書くことにそれほど抵抗を感じたことはなく、1時間でも2時間でもペンを持ってられるし、キーボードにも向かっていられる。 もしかして、読めないことで損した分を、書くことで取り