小久保監督の炎上について一言申しておきたいこと。
私のタイムラインでホークスの小久保監督が盛大に燃えています。
一番下の方の「一日でこんなに1球団のこと嫌いになれるかってくらい嫌いになった」というのは、すごい言葉ですよね。
実際の小久保監督の発言の真偽の程はわかりませんが、世の中の失言をずらーっと並べてみたら、相当なレベルの失言であるといって間違いないでしょう。
小久保監督は何をしたの?(したと思われているの?)
何のことかわからない方のために概要を説明します。
何が起こったのか?
10月29日(火)に行われた福岡ソフトバンクホークスと、横浜DeNAベイスターズでの日本シリーズ第3戦でのこと。
横浜の東投手が、一度、試合を止め、審判に依頼し、球場で放送をしてもらうということがありました。
どうやら投球モーションに入る時に、指笛を鳴らしている人がいたようで、それを止めてもらいたいという話だったようです。
今でこそ、指笛がゲームを止めた要因だったんだなということがわかりますが、その時に野球観戦をしている多くの人からすると、いったい何が起こっているのか、なんで審判はゲームを進行せずに、バックネット裏にいるであろう裏方の話をしているのだろうかと、??が並んでいました。
私も一人のプロ野球好きとして年間数十ゲームという単位で野球観戦を楽しんでいますが、こうやって審判に依頼をし、ゲームを中断して、場内にアナウンスをするというシーンはほとんどみないため、一体何が起こっているんだろうと、とても気になっていました。
その際の様子をもう少し詳しく書きますと。
東投手の依頼により、一度目のアナウンスが入り、ゲームは再開したのですが、どうやら次の投球の時にも、その行動が止まらなかったようです。
東は再び審判に依頼し、再度、球場にアナウンスが入りました。
1回目は「迷惑な行為はやめてください」という内容で止まっていましたが、2回目に入り、今度は「口笛はやめてください」とより具体的な内容になりました。
中継を見ている限りでは、実況をしているアナウンサーや解説をしている側も何のことかわかっていなかった、2回目のアナウンスによって、ああ、これは音の問題だったのかということがわかったというのが、その時の状況です。
(今更言うまでもないことですが)日本シリーズというのは、1年間のシーズンを戦って、その頂点を決めるというプロ野球選手にとっては、とてつもなく大事な勝負になってきます。
1球で勝負が決まっていくことがある野球において、その1球を投げるピッチャーからすると、1つ1つの投球に向けて「最大限に集中して投げたい」という心情はとてもよく理解できます。
結果的に東投手からの申告により、無事、指笛が止まり、東投手が集中できる状態でゲームが進められて良かったなと思いました。
なお、その時の様子はこの記事で書かれています。これも真偽は不明ですが、1つの参考情報として紹介しておきます。
そして、その際の小久保監督の発言が問題になっているということです。
これはネットの記事でしかないため、その時に小久保監督がその場でどういう表現をしていたのか、実際のベンチの中がどうなっていたのかまでは本当のところよくわかりません。
ただ、今回の炎上の元になっている「口笛でゲームが止まるということに対してベンチで笑っていた」という文章は、読み方によっては「口笛でゲームを止めようとする東を馬鹿にしている」ようにも読み取れるため、それが炎上に繋がっているということでしょう。
その後、このような記事もあったので、もしかしたらメディアの報道の仕方の問題でしかなく、小久保監督には特段、罪はなかったのかもしれません。
この記事によると、実際に起こっていたのは以下だったのではないかということです。
この記事も推測のようにも読めるため、本当のところはよくわからないというのが実態でしょう。
ただ、今回の炎上は、日頃、ハラスメント問題など、組織の文化や風土変革の依頼を受けいる私のところによくくる相談ととても似ているケースだなと思ったので、このエントリーを書いています。
似ているポイント1 世の中には自分の側からしか見ようとしない人たちが(たくさん)いて、それが炎上する(信用を失う)
小久保監督のことはよくわかりませんが、世の中には、部下や年下のことを中心に、他者のことを小馬鹿にするような態度を取る人というのが一定の割合いるようです。
これを読んでいる方の一部の人は、もしかしたら「一定の割合」なんて甘い表現では済まされず、「そんな人がたくさんいます・・・」と感じるようなケースもあるかもしれません。
そういった人や組織においては、「自分たちが正しく、周囲が間違っている」という解釈を前提としています。
相手側の目線でものを見ようとする姿勢がないため、今回でいう「口笛でゲームを止めるだなんて(笑)」といった、自分の立場からみた感覚で、相手の感覚を評価し、決めつける態度を取ることがあります。
自分(たち)からすると、たいしたことではないと感じることもあるかもしれませんが、相手側からするとそれはものすごく大事なことだったりするわけですが、そのイメージがないという人がいます。
こういった場合は、それがハラスメントと感じられ、次の問題へとつながっていきます。
似ているポイント2 世の中には弱者やマイノリティには人権がないと感じている人たちが(たくさん)いて、それが炎上する(信用を失う)
繰り返しますが、今回の小久保監督の発言の真偽はわかりませんが、似たような事例としてよく届くものに、「年下」「新入り」「業績が上がっていない人・ローパフォーマー」には、人権がないような扱いをする人たちというのが、一定の割合(たくさん)いるようです。
ピッチャーに限らず、労働者には、誰にも自分の感性があり、その中での働きやすさ、働きにくさがあるわけです。
相手側の立場から見る、見ないに限らず、労働者であれ、またそれを超えて一人の人間であれ、誰もが人権を持っているわけですが。
世の中には、人間としての基本的な人権を無視して、相手に何かを要求する人たちがいるようです。
たとえば、「病気になる」「体調が悪い時にパフォーマンスが下がる」「何かしらの会社の環境が本人にとって働きづらさを感じさせている」と言った時に、本人の感覚、意向を無視して、「何を甘ったれたことを言っているんだ」といった形で、全く認めずに業務を続けさせるということがあったりします。
もちろん、この中には、部下側の過剰な権利の要求というケースもあるため、一概に権利の主張を跳ね返すのがダメだとは言えない部分はありますが。その主張が過剰なのか、妥当なのかは、判断の余地があります。
ただ、完全に人権が無視されている組織というのもあり、それがよく炎上やハラスメントや離職につながっているなというのを度々目にします。
似ているポイント3 発言の一部が切り取られ、真偽不明な状態の中で噂が広がり、信用が下がる。
今回のケースもまさにそうですが、当事者には当事者の見ている景色があり、実態があるわけです。
本当の内容はそこにいた人以外は実態を知ることはできないということばかりです。
ただ、こういった話は、まさに尾鰭をつけて実態とは異なる形で広がりやすく。
実態とは違う形で話に触れた人たちが、それについて怒りを感じたり、信用を失ったりというケースはどこの職場でも起こっていたりします。
「どうも◯◯さんは◯◯らしい!なんて酷い話なんだ!」と直接、見たわけでも聞いたわけでもない人たちが、噂話に怒っていたりします。
こんなことを書いている私も人のことを言えたものではなく。
このニュースを読んだ際には、「小久保監督はなんと酷いことを言うんだ」「この人は相手の立場から見る姿勢を持っていないのではないか」「プロ野球界といえば、体育会系の頂点のようなところがあるから、やっぱり今もまだこんな感覚が残っているのかもな」と反射的にそういった感覚が浮かんできたのですが。
幸か不幸か、メディアに対する信用をあまり持っていない私としては、「いやいや待てよ。本当にそんなこと言うか、これは切り取って変な形で編集されているだけなのではないか」
と思い、いろいろと調べていく中で、どうやらこれはメディアによる報道の雑さ、もしくはビュー数を稼ぐための作為的な姿勢が生んだ問題なのではないかということを知り、本エントリーを書くに至っています。
悲しいかな、人間の認知機能は、それそのものではさまざまなバイアスを持っています。自然体では問題を生み出しやすくなっていると言えるでしょう。
誰においても相手側の立場に立ち、その事象の実態を探そうとしながら取り組むのは簡単ではありません。そのためには、一定の訓練が必要になってきます。
繰り返しますが、小久保監督のことはよくわかりませんので、私が小久保監督に言えることは何もないのですが。強いて言えば、今、変な形で伝わっているので、自身の言葉で説明をした方が良いのではないかくらいなのですが。
もし、今回の件で、「自分の中にも小久保監督への不信感が強く生まれた」という方や、「自分の周りにもこれに似たようケースがあって困っている」というケースがあった場合は、ぜひ、自分自身として、職場の姿勢やムードとして、自分たちの認知機能を育てる仕組みを育てていただけたらと思います。
ということで、日本シリーズ第4戦が始まってしまったため、今回はこんなところで。
今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。