見出し画像

コーチの道(3)

考える時間

スポーツの指導者として、どうしたら選手達が心から楽しんで競技に取り組むのか? 考えた時間の長さは計り知れません。
コーチという職業に出会い、自ら学ぶことで見えてきた大切なものは多々ありますが、その中から一つ取り上げてみました。
それは、「考える時間」です。
この考える時間は、指導者ではなく選手の考える時間です。
練習中やトレーニング中に選手の考える時間を与えていたか?を振り替えると、答えは「ノー」です。
過去の私は、選手に考える時間を与えていませんでした。
もちろん、私だけでなく、周りもそのような習慣で過ごしていたような気がします。
では、なぜ考える時間が大切なのでしょうか。

間違えても良いと思う余裕

中学生ラグビーチームに指導しているときのこと、場面はチームの連係プレーを教えている時です。
何度か同じシチュエーションを繰り返しているとき、大体の流れは全員掴めたかな?となったころ、一人の選手がどうもしっくりこない。
うまくいくときもあれば失敗もする、よく見ると顔が浮かない。
うまくいったときも表情が明るくならない。
気づいた私は、「まだ何となく理解できてないんだね。」と問うと、「はい」との返答。「どんなところがわからないの?」に対し、「動き出すタイミングです」とのこと。 割と具体的な返答だったので、解決は早いかなと思いながら、昔の私は「こうしろ、ああしたら良い」と言ったであろうが、ここは、「どうしたらうまくいくと思う?」と問いかける。 少しの沈黙の後、「もう少し遅くスタートしてみます」。 練習を終始見ていた私は、心の中で「違う、逆だ」と思いましたが、その時は「オッケー!じゃぁ次はそのタイミングでやってみよう」と言ってフィールドへ。 もちろん、次の順番でうまくいかない。 「どうだった?」の私の問いに「遅すぎですか?」、意識していたことが分かったので「じゃぁ、アドバイスだけど、逆をやってみたら?」とタイミングを見直す提案をしてみると、次はとても良い結果になったのです。 周りのコーチも思わず「グッド!」の声。
本人はとても良い表情でした。
これでこの選手は良いイメージを持って、その連係プレーはできるでしょう。

コーチ陣の共通認識

こういったシチュエーションは、チームでの練習中に良くある方が良いと思いますし、あるようにコーチ陣が場や時間を作ってあげないといけないと思います。
ここで大切なのが、必要であると感じたコーチが、考える時間を対象の選手やグループに与えるかどうかということです。
チームやグループでの練習なので、タイムスケジュールが組んであったりするのですが、ここは勇気を持って、時間を止めるくらいでも良いでしょう。
当然、コーチ全員が共通の認識として、必要な時の対応の仕方となってきます。 1人のコーチの言動に対し、理解し、時間をとることです。

自分で考えるくせをつける

選手が考えるという行動は、選手にもよりますが突然考えるように促してもできない選手もいます。 特に中学生には個人差もありますが、自ら考えるような余裕がない子もいます。 非常にもったいないので、日頃から自分で考えるくせをつけるために、練習に入る前にメニューに対する注意点などを挙げて、どうしたらうまくいくか、どうなったら目標達成かを考えさせるのも良いと思います。
自分のイメージ通りにいくと、当然達成感を感じたり成功体験へとなりますので、競技自体が楽しくなっていくでしょう。
それこそ、スポーツをする意味であり、人間として成長するための「自立」へと繋がっていくのではないでしょうか。
是非、日頃から自分で考える時間を与え、考える習慣(くせ)をつけてあげましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?