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初心を思い出せた話

ジャグリング道具づくりも慣れてきたものです。
そんな僕が初心を思い出せた、最近のエピソードです。
心の整理ができたので、それを綴ります。


きっかけ

「JUGGZINE」という雑誌の記事を書いています。
Juggling Unit ピントクルの山下さんより、お声がけを頂き文章を書いています。

3月に合宿があり、練習したり雑誌のアウトラインについて議論したり。
朝、練習会場についたとき、山下さんがピックアップした本が部屋の隅、机の上に置かれていました。
僕はパラパラと目を通そうとしましたが、失敗しました。

本の中に下線や強調用の括弧等、しっかり書き込みが加えられていました。
恐ろしい衝撃でした。

「僕が今までしてきたのは『読書』じゃない。本を見ていただけだ」

そうはっきりと心に浮かびました。頭がグルグルしました。
数か月はその気持ちを心の中で反芻していました。



読書のルーツ

僕が4歳~6歳ごろの話です。

僕は本を読むのが好きな子供でした。
複雑な家庭の事情で保育所にもいかず。
母は夜勤。
昼は家に一人、危ないから公園にもいかず。
離婚で引っ越してきたばかりで友達もおらず。
ボロボロの貧乏アパートで母子家庭の母と二人ぐらし。
生活は貧しかったです。
机が無かったのを覚えています。
50cm幅くらいのプチプチのロールを机にご飯を食べていたのを覚えています。
おもちゃもありません。
家の中には、百科事典10冊セットのようなものがありました。
これを繰り返し読んでいました。
残りの時間は、ゴミでおもちゃ工作をしていました。(僕のものづくりのルーツです。)
その年頃のことは、百科事典を読むとおもちゃを自分で作ってたことが思い出です。


家にあった百科事典のイメージ写真

そのおかげかはわかりませんが、文字を読むことがとても好きでした。
twitterで言われるような、食事中に机の上のソースの原材料を読んでいる子供でした。
本を読むのもかなり速かったです。
だから僕は読書が好きだ、読書が得意だと思っていました。


僕は読書をしたことがない

読書が得意だと浮かれていたわけではありませんが。
人並み以上には読めるよね、という浮ついた気持ちは多分あったと思います。

しかし山下さんが読み終えた本の中をのぞいた時に、それが崩れ落ちました。

「僕が今までしてきたのは『読書』じゃない。本を見ていただけだ」

すぐには頭で整理しきれず、そのことを数か月考えていました。
その間に感じた気持ちとしましては。

  • 文字を読んだだけで、読書をしたつもりになっている。

  • 文章を読んでいただけ。その本の本質に向き合うための努力や訓練をしていない

  • 努力や訓練をせずに読んでいるだけ。いや、見ているだけ。

  • 本の読み方が浅い。

  • 「弱い読書」と「強い読書」があるのではないのか。

  • 本を読むとは何か。読書とは何か。文字を読むとは何か。日本語を読むとは何か。

  • きっと僕は今までの人生で「読書」をしてきたことがなかったんだろうな。



ジャグリング道具づくりの初心を思い出す


僕は物事から共通点を見出しまとめたり、別の視点から物事を判断することが得意なようです。
数か月考えている間に、「読書をしたことがない」視点から「今の僕のものづくり」が見えてきました。

  • 僕はものづくりの努力はできている。

  • ものづくり業界の知人(ジャグリング業界に関係のない)と話をし、客観的にも努力はできていると判断を頂けている。

  • ジャグリング道具に対しては

    • これだけ努力しているのだから完成するはず

    • これだけ努力していてまだできないからおそらく、現代では不可能

  • の分別ができている。

  • 読書は身近な行為だしできると思っていた。しかし、僕はできていなかった。

    • 呼吸や歩行等、盲目的にできると思っているだけで、努力していない行動はある。

  • 盲目的にできると思っているものづくりはないか?本当にすべてのものづくりを努力できているのか?

  • シガーボックスづくりの過程において、盲目的に作業している個所はないか?

  • 今のままの材料で、より良いシガーボックスを作るための細かな工夫は残っていないか?

  • シェーカーはどうか?デビルスティックはどうか?クラブはどうか?

  • そもそも努力の量は足りているのか?努力の方向性はあっているのか?

  • ものづくりの本質とは?

  • ジャグリング道具づくりの本質とは?

  • ジャグリング道具の本質とは?

  • ジャグリングの本質とは?

これらを考え、ジャグリング道具を孤独に作っていたころを思い出しました。
身の回りを振り返るきっかけになったことを嬉しく思いました。
この内容についてここでは振り返りませんが、新しい僕の血肉になりました。



最後に

山下さんが一冊の本を勧めてくれました。

僕はまだ読書をしたことがありません。
その本をもって、僕は僕なりの読書人生を始めたいと思います。

以上



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