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三度読む

 「再三」という言葉がある。二度、三度、つまり
繰り返しという意味だけれど、何事も最低三回は繰り返しが必要だと思う。桃栗三年柿八年、三日坊主というように、何事につけ「三」は、節目の数である。
 私自身のことだが、気になる詩集も、三度読んでようやく読者になれる。一度目は、語句を調べながら読む。理解があやふやな外来語、流行語、漢字など、すべて調べる。わかっていたつもりで実はわかっていなかったことに気がつくことが多い。余白に大きめの付箋を貼って書き込む。読み終えるまでにとても時間がかかる。二度目は、一作品ずつ、読解するよう努める。三度目にようやく、一冊の詩集としての流れを読んでゆく。
 三度読んで、その詩集の世界、色や香りや旋律を私なりに感じ取れた場合、本当にさらさらと何度も読み返すことが可能になる。佳い詩集とは、そういうものだと思っている。

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