映画「帝一の國」感想
(盛大なネタバレをしています)
最初から最後まで休みなしのジェットコースターみたいな作品だと思いました。
でも途中でもう疲れたから降りたいなあ、なんて思わせない魅力と勢いがあって、気づいたら落ちていました。マリオネットの旋律と共に。
映画をたくさんみたりするわけではないので、感想を書くという行為も気後れするのですが、この作品が自分の心にクリーンヒットしたのですこし書きます。
ほんとうに良かったのが、帝一の呆れるほどのまっすぐさです。そりゃあ姑息な手を使ったりもしてますが、己の目的ただそれのみ、一点をまっすぐに見つめて力強く歩いていく(時には走ったり)様が素敵だとかかっこいいとかそういう言葉では表せなくて、なんていうか健気でした。
そして何よりも「生徒会長になれないなら生きている意味がない」と震える声を絞り出すシーン。
この場面からわたしはまだ一歩も動けていない。気付いたらぼんやりとこのときの帝一の燃えるような瞳を思い出してる。
生きている意味がない。そんな風に思えるものを抱えて生きている帝一が孤独な戦士すぎて、わたしの胸にも熱い気持ちが宿った気がしました(元来、こういう熱くて浪漫溢れる台詞が大好きなんです)。
少年はみんな 孤独な戦士
そんな歌が昔ありましたよね。まさにこの歌の燃えたぎるメロディが頭の中で鳴り響きました。
映画を一緒に見た友人にこの話をしたら「視野が狭いよね。生きてる意味なんてもっとあるし」とごもっともなことを言われ、血が上っていた頭がすこしだけ冷めました。
確かにこの映画は常に視野が狭い。少し冷静になってしまうと、帝一はそれだけのために生きてるのか?と思ってしまうこともあった。恋人とデートにもいかず糸電話の会話だけで青春を済まそうとしている帝一。「これから飯食いにいかねえ?」等と友人と談笑する、生徒会長になることが全てだなんて露ほど思っていないのに結局は生徒会長になってしまう大鷹弾と帝一の対比は悲しくも可笑しい。
ただ、わたしは「生きてるなあこの人、ものすごい熱量で生きてるなあ」って思わせてくれる帝一の熱い瞳が好きでした。
それだけが全てじゃないかもしれないけど、それだけが全てだと信じて進んでいけるのもまた強さなのだと思います。
生きてることのたまらない熱さを感じることが出来るだけでも帝一の国は素晴らしい作品だと思いました。(もちろん、そこだけでなくキャラクター1人1人がため息が出るほど魅力的で、くすっと笑える演出も良くて、難しいことは分からないけれど素敵なところはやまほどありました。)
わたしもちょっとだけなら、これが出来なくなったら生きてる意味がないなあ、と思うものがあるんです。それを大切にしていこうと改めて思うことができました。