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財務省、財政制度分科会(令和6年10月28日開催)防衛資料を読むその4


毎年この時期にでる財務省、財政制度分科会(令和6年10月28日開催)防衛部門の資料を読んでいきます。

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf

P11 自衛官の採用・階級と年齢構成について


○ 自衛官になるための主なルートとしては、自衛官候補生等を経由して「士」として任用されるものと、防衛大学校等を経由して幹部候補生として任用されるものがある。
○ 自衛官においては、精強さを保つため、若年定年制および任期制という制度が採用されている。

この程度のことを知らない人間を財政制度分科会に呼ぶなよ、と思います。
少子高齢化が進む中、若年定年制と再就職問題を防衛省も自衛隊も、自民党の国防部会も放置してきました。

P12 自衛官候補生・一般曹候補生の採用状況


○ 募集対象人口の減少や労働需給の逼迫化などを背景に、自衛官の採用者数が急速に減少している。こうした結果、特に「士」の充足率が低い状況となっている。

でも「職業軍人」である将校は逆に増えていました。
自衛隊は将校、特にシニアオフィサーの予備役が殆どいません。これは軍隊として極めて怪異です。これでは戦争になったときに将校の補充は効きません。戦争になることなんてない、あるいは戦争で死傷するのは兵隊だけ、とでも思っているのでしょう。

まともな予備役制度も作れない胡乱な軍隊の予算を2倍にしてどうするんでしょうか。自民党の国防族の先生方はまともに国防を考えたほうがいいと思います。
予算を2倍にするよりも、まともな予備役制度を導入するほうが先です。パレード用の軍隊の予算をいくら増やしても戦争では戦えません。


ぼくは2012年に拙著「国防の死角」でも特に任期制自衛官と曹クラスの問題に付いて述べてきましたが、全く防衛省も政府も手を打ってこなかった。当事者意識と能力の欠如です。


国防の死角 わが国は「有事」を想定しているか - 清谷 信一

この表では「士」とひとまとめにして充足率7割弱と表していますが、12年前は1、2士の充足率は4割程度に過ぎず、士長含めて7割程度でした。であれば現在もそれは変わっていないでしょう。素人の「財政制度分科会」の先生方はそこまで知らないでしょう。
1、 2士の充足率が4割だと知れば驚くのではないでしょうか。
問題は1、2士の充足率が低いということは士長候補の分母が小さいということです。それは優秀な士長が少ないということになります。
そして士長が少ないということは、その上の曹クラス候補の分母が少ないということです。これまた曹クラスの質が低下していると見るべきです。軍隊は下士官が回しているといいますが、その下士官の質が下がっていることは由々しき問題です。つまり人的資源の量だけではなく、質も下がっているということです。
この問題を分科会の先生方がどの程度認識しているのでしょうか。


財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf


■本日の市ヶ谷の噂■
清住哲郎防衛医科大学校病院救急部長は論文ゼロで防衛医学研究センター教授になった 木村幹彦1等空佐の教授資格審査委員のひとり。木村1佐が「教授として適任」との書類に同意して、出世した輩の一人、との噂。


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。


軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。


軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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