自民党安全保障調査会長、小野寺五典氏にその見識や在りか?
日経の記事ですが小野寺元防衛大臣に本当に防衛の見識があるのか疑いたくなります。
国防予算増の費用対効果
小野寺五典氏/翁百合氏/田中明彦氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD204BD0Q2A021C2000000/
民生技術でコスト低減 自民党安全保障調査会長 小野寺五典氏
>スタンド・オフ・ミサイル」は(中国などの)周辺国が持つ弾道ミサイルの数や発射拠点などを考慮し、必要な数を持つのが望ましい。1000発規模の保有が取り沙汰されているが、具体的な量を明かして手の内をみせる必要はない。
紙面の制限もあるのでしょうが、まずは探知監視能力が欠如しており、火の出る玩具だけ揃えても仕方がない。それに数は予算を精査すれば概ね検討がつくわけで、「手の内をみせる必要はない」というのはナイーブです。自衛隊は無敵皇軍みたいな、ラッパ吹いてきて今になって稼働率低いです、弾薬足りませんと金くれ、とおねだりするのは小野寺氏含めて、歴代の防衛大臣、自民の国防族が仕事をしてなかったからでしょう。
それよりも納税者に「手の内」を晒して監視してもらったほうが遥かにバランスのいい国防力が整備できたでしょう。
毎度申し上げておりますが、我が国は民主国家としては異常に軍隊の情報公開が遅れています。民主国家とはいえないレベルであり、文民統制も機能していません。
拙著「防衛破綻」に関して陸幕が正誤表をつくったものの、正誤の正の方がほとんど間違っており、また国交省との見解の違いというのもありました。陸幕は口頭では謝罪したもの、
全文と記述者の名前は出しませんでした。小野寺さんのときにその文書の開示を求めましが、情報公開対象ではない、とのことで拒否されました。文書内にはどこにも機密はないにもかからずです。こういう隠蔽主義に大臣も手を貸していたわけです。
これはおまけがついて、この質問についてNHKの鈴木哲也記者がこういう質問をするなと凄んできました。防衛省と記者クラブがなあなあでやっている大臣会見で大臣が不快に思う質問をするな、ということでしょう。
『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在①
http://japan-indepth.jp/?p=1131
NHK 鈴木徹也記者への公開質問状
https://agora-web.jp/archives/2026460.html
【続報】「皆様のNHK」の誠意に疑問①〜問題が発生したら無視を決め込む公共放送は許されるのか
https://japan-indepth.jp/?p=1480
政治家が未だにこういう秘密主義、隠蔽主義が通用すると思っているところで失格です。防衛力を強化するならば情報公開を促進すべきですが、小野寺さんたちはそれを無視して、借金して軍拡しろ、そうすれば国防が強化されるといっているわけです。
>海上保安庁の予算の組み入れも検討対象になる。海保が運用する無人機が得た情報を自衛隊に提供すれば、監視能力は高まる。自衛隊との連携を通じて国防に役立つ項目は組み入れていい。
これも前から指摘しておりますが、海上保安庁法25条では軍事はやりませんといい、自衛隊法 第80条第1項(海上保安庁の統制)海保は事実上軍隊=自衛隊指揮下にいれますというアンビバレントな法律が並列しており放置されてきています。
そして海保には領海侵犯を排除するような法的な権限もない。個人的には海保はより、国境警備隊的な機能を法的にも持たせて、有事には自衛隊の指揮下に入れるべきだと思います。
そのような措置を自民の政治家はサボってきたわけです。
>防衛産業で日本が得意とするのは輸送機や警戒監視のレーダー、潜水艦などだ。海外でも使われるよう民間企業を後押しすれば、装備の取得コストも下がる。後発ながら海外展開で外貨獲得につなげている韓国を参考にすべきだ。韓国は日本のように輸出などで制約をかけていない。
ここ笑うとこですか?
我が国の輸送機ってC-1からC-2まで何年ブランクがあったと思います?30年に一回の開発でC-1のときの技術者は残っておらず、C-2開発では同時にP-1やUS-2も開発して少ない技術者が過労状態でした。つまり防衛庁(当時)には航空産業を振興したり、マネジメントしたりする能力がなかった。
そしてそもそも軍用輸送機なのに不整地運用能力も付加されず(多分経費節減のため)、構造はその分簡易化されていたにもかかわらず、不具合が相次いで開発は遅延して調達及び運用コストは外国製の数倍という体たらく。警戒監視用レーダーだって性能も価格も他国以下ですよ。小さな自衛隊市場で複数の企業がおり、まるで一杯のラーメンやカレーを数人で分け合って食うような状態です。開発者の層が薄いし、開発費も、設備投資もできるわけがない。
未だにこのような無敵皇軍防衛産業、みたいな寝言を信じて防衛産業振興しても成功するはずがありません。
>ウクライナがロシアに善戦できているのは、米国などの武器、弾薬といった支援が隣接するポーランドから来ているためだ。島国の日本はウクライナ以上に、少なくとも同盟国のアメリカが支援にくるまで一定期間、戦える備蓄が欠かせない。弾薬は国産化の努力を急ぐべきだ。
率直に申し上げて半世紀は遅れたご意見です。またウクライナの教訓を全く理解できていない。
ウクライナでもわかったように、簡単に自国内で戦時の需要を賄う弾薬を生産できるわけがない。その事実から目を背けている。
そして銃弾や砲弾など比較的プリミティブなものでも国産は単価が外国製よりも一桁は高い。しかも弾薬メーカーは16社もあって統廃合も進んでいません。
更に申せば有事に弾薬を量産するということはその材料を大量に平時から保管する必要があるわけですが、誰がその費用を負担するのか。材料があってもリーンな生産ラインしかなく、熟練工も生産ラインも湧いてでてくるわけではない。
しかもミサイルなどの複雑な仕組みの弾薬は、開発ペースが遅くて能力が低い。そして試射も数発とかわずかでとても信頼性や品質を担保できるものではない。
国内にはろくな射場もない。
であれば、諸外国と共同開発、共同生産して戦時には融通しあえるシステムを作っておくべきです。そして国産にしてもNATO規格に準拠させ、品質や、試験もNATO規格で行うべきです。そのような主張が自民党国防部会からは聞こえて来ません。
>財源は政府や自民党にある(税制調査会など)税財政の専門部署が決める。増税するにしても(法人税、所得税といった)税目のどれが適当かはコメントできない。一過性ではなく一定の金額が常に必要だ。これを踏まえた安定的な財政措置を期待している。
その専門部署に専門能力があるのでしょうか。安倍晋三の、金は刷りゃいいんだ、という声に賛同していた先生方が多かったように記憶しております。そして税目について述べられないというのは無責任です。
そして何か支出を削るという話もない。支出の大きなポーションの社会保障関連をけずるべきでしょう。胃ろう、効果のない湿布や首の牽引を処方するなど、本来老衰で死ぬべき老人を無理やり延命して巨額の費用を消費する、あるは過剰にある処方箋薬局が膨大な利益を得ている現状など変えていく、ふるさと納税ことふるさと脱税で年に4千億円もの税金がダダ漏れしているのをやめるとか、不要で逆効果な農業補助金、効果のない整備品感染をやめる、そのような支出を切り詰める話は全く聞こえてきません。
これまた大変無責任かと思います。
■本日の市ヶ谷の噂■
爆発事故を起こした火薬メーカーの旭化成、日本化薬の折半出資会社、カヤク・ジャパンは出資が半々のために両社とも主導権を取れずに経営方針が混迷中、との噂。