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防衛装備の競争入札の欠陥と随意契約のメリット


海自潜水服入札不正疑惑 安全保障に影響も 専門家「チェック体制再考を」
https://news.yahoo.co.jp/articles/598bf08b27d4eca7e70144578962b0dd7bce5645

>海上自衛隊が実施する潜水服の一般競争入札で特定の業者が優遇されていた疑いが浮上した。専門家は「自衛隊が高価で質の悪い装備品を使うことにつながる」と指摘。

>一般競争入札では、官公庁が不特定多数の参加者を募り、最も安価な条件を出した業者が落札する。海自が仕様書などで特定の業者を優遇すれば、防衛産業で正常な競争がなくなり、より質が高い装備品の開発などが滞りかねない。

>陸上自衛隊OBで日本大危機管理学部の吉富望教授は「競争入札を健全に行うことが、良質な装備品の調達につながる」と指摘。「特定企業を優遇して必要以上に装備品が高額になれば、他の装備の予算が圧迫され、防衛費の効率的な使用が阻害される」と危惧する。

>防衛関係者は「自衛隊や防衛省では運用面での人員補充が優先され、調達の専門家が十分に育っていない」と指摘する。
>吉富教授も、自衛隊での競争入札における仕様書のチェック体制は人数面でも不十分だと分析。「安全保障に影響する問題。諸外国のように第三者に委託するなど、チェック体制を再考する必要があるのではないか」としている。

>「自衛隊が高価で質の悪い装備品を使うことにつながる」
C-2とかP-1なんかその典型例ですよ。それで問題とされていない。


競争入札が多用化されたのは守屋次官のスキャンダル以来のことです。ですが、競争入札は必ずしも機能していません。特に需品はデタラメです。大手商社の幹部は「需品には手を出したくない」と断言しますが、それほど腐っています。

記事にもありますが前提としてまず防衛省、自衛隊の調達担当者の数が極端に少ないことが挙げられます。更にその能力が低い。つまり調達当事者としての能力が低いということがあります。人員は英仏独あたりと比べると一桁少ないし、経験も知識も少ない。
その一因は長期に細々と調達を引き伸ばすことです。5年で済む調達を30年もかけてやっていれば拘束される人間は6倍必要です。逆に言えば調達期間を適正化すれば人員不足はかなり解消します。

それから小さい会社ではインチキ、違法取引上等という会社も少なくないのですが、防衛省がこのような不良企業を排除できない。不良企業に自衛隊や防衛省OBが関わっていることも少なくないです。中には大物の元事務次官を抱き込んでいる場合もあります。

なにもやらないのに自分の会社を通せ、通さないと調達に参加できなくさせてやるという会社もあります。大抵OBが絡んでいます。やっていることはやくざと同じです。大湊基地との近くには多いようです。

例えば陸自の調達では一つの会社が2つの外国企業の代理店となっていたケースがあります。窓口は看板だけのダミー会社や取引先を経由して形式は整えています。実質同じ会社で、所在地も社長も同じで法人格だけ3つも4つもあって別な会社を演出しているような会社もあります。入札3社でしたが陸幕の担当者は別々の2社の説明に同じ人間が来たことを不審に思って、あとで問題になることこまるので、不本意ながらもう一社の本命ではなかった製品を選定しました。
またトライアル用に採用されたポーチがそのまま採用されるはずだったのに、採用されずに別な政商の製品が採用されることもあります。偉いOBがバックについているとこういうことが可能となります。

需品でいえば陸自の戦闘服など公然とインチキしています。性能が低く、色落ちしやすいビニロン、世界で日本でしか使っていない素材をわざわざ指定しています。これは長年指摘されていますが是正されていません。

競争入札がそぐわないものもあります。例えばボールペンとか単三電池とかであれば競争入札は問題ありません。ですが現場がどうしても特定のものが欲しい場合、単なる競争入札は合わない場合もあります。

例えば部隊でミステリーランチのY字型ジッパーの3デイパックが欲しいと言った場合、
部隊の現場はそのY字型が必要だと思って要求したとしましょう。ところが単なる競争入札では同じ容量のバックの中から選ばないといけない。

よく問題となるのは「同等あるいはそれ以上」という文言です。これは空自の地方調達で特に多いのですが、現場がミステリーランチのY字型ジッパーの3デイパックを要求しても値段が安い劣悪な中国製のなんちゃってミリタリーバックを「同等あるいはそれ以上」と押し込む悪徳業者がいます。会計の担当者にはそれを見抜く力がないのでいいなりに、それを採用しまう。まともに提案している業者は数も確保して入札に参加しますが、このような手法で入札を取られる事が多々あります。なんとかなりませんか内倉空幕長?

この場合、どうしても特定のメーカーの特定のモデルが必要ならば随契を採用すべきです。競争入札でも仕様にY字型ジッパーとか左右のモールの数とか、ポケットの数などそのモデル特有の機能をキチンと書くべきです。

それと調達先も問題です。輸入品だと並行輸入が問題です。並行輸入では何か問題が会ったときに業者はアフターサービスができません。しかもそれが新品ではなく米軍放出品だったりして劣化していたりする場合もあります。またそのロットで問題があっても取り替えてもくれません。


またAmazonなどで、個人で調達して、例えばとあるメーカーのマガジンポーチを30個とかオーダーして集める業者がいますが、これも同様の問題があります。甚だしい場合には配送先を納入先の駐屯地や基地に指定したります。当然数が揃わないこともあるわけですから、その場合入札は不調となってやり直しになります。
あとはメディック関連の商社で本来厚労省の指定した検査を受けないといけない商品を個人で輸入している会社があります。個人輸入だと検査が免除されます。そのようにして仕入れた製品を堂々と自社サイトで扱い品目として掲載し、日本のAmazonで販売したり、防衛省や法執行機関に納入しています。云うまでもないですが、これは違法行為です。こういう会社が防衛省などの納入業者として二代に渡って堂々と商売をしています。

実は実銃用のレーザーサイトなどでも本来許可を取らない、あるいは日本の規制では輸入できないものがあり、業者は日本向けにデチューンした製品を輸入しているのに個人輸入ではオリジナルが入手できます。
そして個人輸入では関税や消費税が免除されています。これを官公庁向けに転売することは脱税でもあります。財務省はこれを厳しく取り締まるべきです。

ですから輸入品の場合には正規代理店の製品であることを指定すべきで、また不具合などが会った場合の交換などもついても条件を明示すべきです。

対策としては調達期間の圧縮、調達人員の拡充、調達担当者の能力向上、それから調達を監視する独立した第三者的な組織が必要です。更に不法な取引をした職員や企業は厳しい罰則を課すべきです。日本は一般に経済犯罪に甘いところがありますが、初犯でも実刑にすべきです。ようは悪いことが割に合わないようにする必要があります。

このような対策を取るのであれば随契を増やしてもいいと思います。それが部隊で必要であり、利権でないことが前提ですけども。候補が一つしかないのにわざわざ、形だけの競争入札をするのは無駄だし、本命外が採用された場合、部隊が困ります。また真に受けて当て馬にされた企業から恨まれることもないでしょう。

キチンと検証ができるならば随契は必要かつ有用な制度です。


■本日の市ケ谷の噂■
89式小銃改時に陸幕はバーチカルグリップがわざと壊れるように試験を行い、不要の結論を出した。M1ガーランドCの照準眼鏡を96式擲弾銃に転用し、89式小銃にも転用を考え、これを理由にドットサイト不要の結論を出した。電気的イヤーマフは耳の周りの感染症に罹患するおそれがあるとして、不要の結論を出した。ズボンのベルトを止血帯として教育していたが、プラスチック製のため初回から破損し、そもそも強度について検討すらしていなかった。88式鉄帽改は破片の貫通は阻止できるが帽体が10cm凹んだ。首にかかる衝撃が即死ものだった。3型改の防弾プレートは銃弾が1発でも貫通し、メーカーにクレームを入れたら銃で撃った自衛隊が責められた、との噂。


財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
日本の装甲車事業は日本製鋼所と防衛省が潰す
https://japan-indepth.jp/?p=86042


補正予算という麻薬が将来の国民を蝕んでいる
https://japan-indepth.jp/?p=85936

海自の無人機、MQ-9Bの調達とインド軍の調達の違い
https://japan-indepth.jp/?p=85823

 European Security & Defenceに以下の記事を寄稿しました。
Japanese MoD selects Beechcraft T-6C as the JASDF’s new primary trainer
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41765/japan-selects-t-6c-for-jasdf/

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊 次期初等練習機選定は審査が僅か一ヶ月で試乗もなし
https://japan-indepth.jp/?p=85525

月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態


紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。


軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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