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映画音楽を異端視するクラッシックは衰退する。


クラッシック音楽業界では映画音楽など、自分たちの「業界」から外れた作曲家を異端視する傾向があります。最近はずいぶん変わってきましたが、その傾向は根が深いと思います。
商業主義をやるやつは作家ではない、映画音楽をやっている作家は卑しいという選民意識があるからです。かつて映画業界の人間がテレビを見下して映画を「「本編」と呼んでいたのと似ています。

ですが、では純粋にクラッシックの閉鎖社会で「著名」な作曲家がどれだけいるでしょうか。例えばベートーヴェンやモーツアルトのような作曲家が20世紀後半以降出てきたでしょうか。
対してエンニョ・モリコーネ、ジョン・ウイリアムス、伊福部昭など名前はよく知られ、また多くの人に愛されています。彼らの作品のレベルが低いということはありません。



探り合いからスター・ウォーズ ルーカス×ウィリアムズ
映画音楽の名コンビ(1)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD180PO0Y4A910C2000000/

>2005年に発表されたランキング「アメリカ映画協会(AFI)による映画音楽の100年」で、第1位に輝いたのは1977年公開の第1作「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス監督)だった。
>作曲者は公開当時45歳、現在は92歳のジョン・ウィリアムズである。彼が2020年にウィーンフィルを指揮して「スター・ウォーズ」を含む、自らが作曲してきた数々の映画音楽を披露した録音は世界的な大ヒットになったことも記憶に新しい。

>クラシック音楽に特化した海外WEBメディアBachtrackの調査によれば、23年に最も演奏された存命作曲家はなんとウィリアムズだという。彼の代名詞である「スター・ウォーズ」は、今や世界中のオーケストラが演奏するレパートリーになっているのだ。

>ルーカスとしてはキューブリック監督「2001年宇宙の旅」(68年)のように既存の音楽を用いる部分と、新しく書き下ろされた音楽を混ぜようとしていたようなのだが、ウィリアムズによれば「私としては、ここでドヴォルザークの曲を、あそこでチャイコフスキーの曲を聴きたくなかった」とルーカスに主張したようで、最終的にはルーカスが選んだ既存曲を意識しながら新曲が作られることになったのだった。

>具体例を挙げれば、オープニングには「ベン・ハー」で有名なロージャが作曲した映画「黒騎士」の「メインタイトル」、主人公ルークをあらわす音楽としてはブルックナーの「交響曲第9番」(どの部分を抜粋したかは不明)が事前にあてられていたという。

>ウィリアムズは単に似た音楽を書いたわけではない。まずはワーグナーが得意とした"ライトモチーフ"と呼ばれる、重要な人物や要素をあらわすテーマを作曲し、それを使いながら各場面の音楽を書き下ろしていった。

これは宇宙戦艦ヤマトでも同じで、作曲を担当していた宮川泰にプロデューサーの西崎義展が、ここはベン・ハーのあの曲みたいな感じでとか指示を出していたのと思います。西崎の音楽的なセンスがなければヤマトの曲はあれほど豊かにならなかったと思います。
映画音楽はプロデューサーなどのと共同作品といってもいいのでしょう。


>こうして作られたルークのテーマを主旋律にして、「黒騎士」の「メインタイトル」のような壮大に広がる雰囲気に仕立てたのが皆さま御存知(ごぞんじ)、あの有名な「スター・ウォーズ」の「メインタイトル」なのである。

メインタイトルをアレンジしてシーンにあわせた曲をつくることは、多く行われています。これによって作品全体の統一感がでます。
アニメ業界はこの30年ぐらいは、テーマと中の曲が全くシンクロしていないことが殆どです。これはアニメのテーマは一定数売れることがわかっているので、商売的には美味しいし、新人の踏み台としても使えるからでしょう。ですが作品としての一体性は薄れてしまいます。

昨今は映画音楽やアニメの音楽をオーケストラが演奏することも増えました。ですが、未だに「純クラッシク」が「偉い」と思っている関係者は多いようです。

ですが、モーツアルトにしてもベートーヴェンにしても純粋に芸術を追求して霞を食って生きていたわけでもなく、「クライアント」がいて、作曲や演奏で金を稼いで生活を立てていたわけです。当時映画があったら彼らは映画の仕事をしていたでしょう。

たとえばポール・モーリアみたいにオーケストラにドラムスやエレキギターなどを組み込んだ楽団ももっと出てもいいと思います。

ところがクラッシクのコンサートでは一般人が目当てにした曲と抱合せで、「有り難い前衛」とかぶっこんで無知な人間を啓蒙してやろうとするようなプログラムを組むことも少なくありません。

しかもモーツアルトの時代にはなかった、製鉄技術が発達してピアノ線が作られるようになって開発されたスタウェイのピアノを使って「クラッシク」でごさい、とやっています。そもそも昔は大きなホールでのコンサートなどありませんでした。

伝統が大事ならば「現代的」なピアノを使わずにフォルテピアノを使うべきでしょう。フルートだって木管製を使うべきです。都合の良いところだけ「現代」をつまみ食いしておいて、すべて古典や伝統を墨守しますというのは矛盾です。

クラッシク業界が生き残るのであれば、多くの人がオーケストラや四重奏などクラッシクの編成のコンサートにより気軽に足を運べる仕組みを考えるべきです。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編)
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。


軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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