日本経済新聞には防衛産業の記事を書く能力がない。


例によって官製広報丸出しの日経の記事です。

防衛産業、20年で100社撤退 生産・輸出支援法が成立
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA067IR0W3A600C2000000/

>防衛装備の生産や輸出を支援する新法が7日の参院本会議で成立した。防衛分野の事業から撤退した企業は直近20年で100社超に上る。

>新法は自衛隊の任務に不可欠な装備をつくる企業を対象に製造の効率化や供給網の拡充に必要な経費を補助する。サイバー対策の拡充や事業承継の費用も支える。輸出支援では海外用に仕様を変える費用を助成する基金を設ける。

>一連の支援策を講じても経営難の脱却が難しい場合、国が製造施設を保有し別の企業に運営を委託する。企業の利益率を改善し事業撤退を抑える。

以前から申し上げておりますが、防衛省、経産省はこの20年以上防衛産業(あるいは防衛航空宇宙産業)を振興するといって、方策を立ててきましたが成功してきませんでした。それはそもそもやる気がないからです。現状を変えようとは思っていない。だからやったふりをしてきたわけです。それに情弱な国防族議員も騙されて、優れた我が国の防衛産業はなんとかなるか思ってきたわけです。

この記事も指摘していませんが、本来駄目な産業の立て直しであれば、リストラチャリングが必要です。つまりメーカーの統廃合が必要です。
それは涙と血を流す覚悟が官の側にも業界にも必要ですが、誰も痛い思いをするのは嫌だ、苦い薬も呑みたくないと駄々をこねてきました。

一丁目一番地は事業再統合です。
それをやらずして防衛産業再生はありえません。

>防衛省は契約時に企業の利益率を平均8%程度に設定し事業を発注する。開発中の材料費高騰や納期遅れで実績の営業利益率は2〜3%前後にとどまる例が多く、赤字の場合もある。販路がほぼ自衛隊に限られ、少量生産に伴う収益難に直面する。

>米欧の主要な軍事関連企業の営業利益率は10%以上とされる。日本企業は売上高に占める防衛事業の割合も低い。米防衛大手ロッキード・マーチンは防衛事業が9割程度だが、国内大手の三菱重工業は1割ほどだ。

これまた防衛省の説明鵜呑みで防衛産業の構造を知らない素人記者の仕事です。欧米の企業は世界の市場で商売しています。つまり開発しても売れずに回収できないとか、リスクを抱えて商売しています。我が国の場合は、天下りさえ受け入れていれば空自の救難ヘリのように犯罪行為である「官製談合」までして官側が利益を確保してくれます。ですから開発にしても製造にしてもトリッぱぐれがなくリスクがない。同じ土俵で比べるのは頭が悪いのか、防衛装備工業会に忖度しているのか、あるいはその両方でしょう。

>コマツは19年に軽装甲機動車の開発を中止し、住友重機械工業は21年に機関銃の生産から撤退した。大手の撤退傾向が続くと中小に波及する。

装甲車は重工と事業統合すれば生き残れたでしょう。機銃も豊和工業や日本製鋼所と事業統合すれば生き残れたでしょう。官の側も民間も当事者能力がないから、そういう血を流す改革をせずに、ゆでガエル状態になって最後はバンザイして逃げたわけです。
しかも他国の何倍も高い値段何十年も買い続けてもらって。
それを官の側も何の手も打たずにただ眺めていただけです。当事者能力の完全な欠如です。

これらの企業の経営者の無能は反社会的レベルだといっていいでしょう。やる気がないならばとっとと事業を売るなり撤退するなりすればいい。毀誉褒貶はあるにしてもカルロス・ゴーンは真っ先に日産のロケット事業をIHIに売りました。それが「島耕作型無能なサラリーマン経営者」にはできません。
東芝など売った事業は全部黒字化して、買った企業が転売したりしています。つまり東芝の経営陣が無能だったということです。そのくせ将来性のない防衛部門は後生大事に抱え込んでいる。
こいつにまかせて、防衛部門が躍進するわけがないでしょう。

>開発力や技術力の継承は一層困難になり、防衛装備の生産者が減れば継戦能力に不安が生じる。攻撃を思いとどまらせる抑止力も低下しかねない。

事業統廃合しないから売上額が大きくならない。利益の絶対金額が大きくならない。生産者は減っていいんです。零細な企業が細々とガンバリズムでやっても利益はでません。零細規模でそれぞれに細く仕事振り分けても先がない。例えば5社あるものを1社に絞れば、ラインを減らすことができて、その分売上も大きくなる。日経の記者ってこんなこともわからないようです。そりゃ恥ずかしくて署名原稿にできないはずです。


>自民党の小野寺五典安全保障調査会長は7日、国会内で記者団に「日本周辺で有事が起きたら装備が破損する」と話した。「供給網など防衛産業を維持することは防衛力そのものだ。新法でひとつ前に進んだ」と語った。

小野寺さんにしても「軍事産業」を理解していない。国内の怪異な防衛産業についてしか、防衛官僚やユニフォーム、業界から説明しか受けない。唯一外国といえば腹に一物ある米国企業からだけでしょう。軍事の市場と軍事産業を全く理解していません。

大体他国が5年で揃える装備を3倍も5倍も高いコストで30年も掛けて調達してその間に戦争になったらどうするのですか?国産兵器といっても海外のコンポーネント多く使っていますよね?どうやって戦時に量産するんですか?
政治家もこの問題を長年放置してきた。当事者意識が欠如しています。

だったら製を5年で調達し、必要分の2倍ぐらい予備で保管すればいい。戦時に追加が必要でも、外国から供給してもらうこともできるでしょう。

>日本政府は4月、友好国に防衛装備を無償で提供する新制度「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を導入した。与党は武器の輸出を制限する防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、供与の対象や目的を広げる方策を協議している。

頭わるいんですかね?無料でくれてやっても市場で揉まれることがない。性能も品質もコストも向上しません。未だに日本の政治家は優れた我が国の装備を渡してやるんだと、上めでで構えていますが、日本製装備は三流でしかありません。

>7日に国会内で開いた会合で日本防衛装備工業会などが「輸出が進めば価格競争力がつく。政府に保証もしてほしい」と訴えた。供与の目的を救難や輸送など5類型に限る指針に地雷除去や哨戒を加える要望があがり、5類型廃止の意見も出た。

いや、あんたら輸出なんかやる気ないだろう?死の商人の呼ばれるのが嫌だろう?世間から非難されても防衛部門を成長させるだけの度量もっていないでしょう。無能でやる気がないからば早く事業を破棄したほうが納税者と株主のためです。

それに大体最大手の三菱重工が、防衛で培った力を持ってすれば旅客機など楽勝で開発とかいっていて、MRJで大コケしたよねえ?自分たちの実力を過大に評価しているでしょう。

そもそも世界的に常識である、装備の数量、調達期間=戦力化、総予算といった計画を明らかにして、議会に提出し、了承を受けてから生産するという当たり前の調達計画すら未だに採用できない。

バカなんですか?
無能なんですか?

これではメーカーや商社は生産計画を立てられませんよ。こんなものは商売ではありません。カール・グスタフM3にしても途中5年間も調達ゼロです。戦争する気ゼロだと、君たち、みたいな話です。
調達計画もなく、概算要求でいきなり持ち出してくる。しかも暢達数、調達期間、予算も分からず国会が予算を通す。こんなでたらめな国が他にありますか。

まともな調達計画すらできないならば、国防はモナコがフランスに丸投げしているようにアメリカ様に丸投げしたほうがマシでしょう。


■本日の市ヶ谷の噂■
防衛医大の小林靖副校長兼同校医学教育部長(3月まで教務部長)は教授会で、「教授の選考の責任は、学校長と副校長にあるので他の教授は発言するな。笑ってみていろ」と発言した、との噂。

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