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空自の練習機はターボプロップ一種類でいいんじゃないか?木を見て森を見ない防衛省の調達


すでにご案内の通り、空自の初等練習機は実質わずか一ヶ月でしかも書類審査だけで決定されました。いつものように悪質な官製談合が疑われてるケースです。普通もう少し、アリバイ工作のためにそれらしい儀式ぐらいやるものですが、それすらやらない「粗暴犯」です。野党は国会でぜひ追求して欲しいところです。

この練習機本来単にT-7の後継ではなく統幕、各幕、装備庁で横断的に検討すべきでした。
まず空自練習機としてT-4の後継とからめて考えるべきでした。例えばT-6はメーカーのサイトにあるT-6C(原型は米軍用のB型)であれば中級以上、戦闘機に乗る直前までの教育が可能です。現にスイス軍ではピラタスの同様の機体を使ってそういう訓練をしています。取材の印象では最低限の機能だけを装備しているようです。

そうすれば練習機を一機種に絞ることができます。無論、中型のジェット練習機を導入することにメリットもあります。ですが予算も人でも少ない空自では考慮すべきではなかったか。
単にT-4の後継もいるよね、というのでは思考停止です。例えばジェット練習機を入れるのであれば軽戦闘・攻撃機型も合わせて導入し、アラート任務につけるなどのも検討すべきです。このような軽戦闘機と無人機を組み合わせてアラート、さらに対地攻撃用にして、F-35などの高価な機体を使いすぶさないようにする。これらは飛ばすだけでも経費が相当にかかります。寿命も減ります。

また海幕は先に独自に初等練習機を導入していますが、本来空自の初等練習機と統合するべきだったと思います。そうすれば機材の融通もつきやすくなる。さらにもうせば陸海空で初等練習を統合化することも検討すべきだったでしょう。そのうえで初等であれば民間に訓練も整備も委託しても良かったでしょう。自衛官の不足する現在ならなおさらだし、退職自衛官の受け皿にもなったでしょう。

また陸自で練習機の発展型の軽戦闘、攻撃機の採用も検討すべきでした。T-6は発展型のAT-6が存在します。エンブラエルのツカノは同様にスーパーツカノが存在します。コックピットはほとんど現用のジェット戦闘機並です。
対地攻撃やISRのアセットとして有用です。ヘリに比べて調達、維持費は格段に安いですし、昨今は誘導兵器の長射程化があり携行型対空ミサイルや機関砲をアウトレンジできます。
ヘリは垂直離着陸ができるとこの手の機体を過小評価する人もいますが、ヘリも武装や燃料を満載すれば滑空した方が燃費がいいし、部隊単位で運用するのであれば広いスペースは必要です。であれば軽攻撃機と実は大差がないということです。

無人機に比べて機動力も高く、また有人ですから電子妨害やハッキングにも強い。ですから対無人機用の迎撃機としても有用かと思います。それが練習機と兵站が共有できるならば相当有利であろうと思います。なんなら陸自だけではなく空自でも採用すべきでしょう。
対ドローンやゲリコマの基地防衛には有用でしょう。

仮に空自、自の初等練習機、軽攻撃機まで含めるならば100機程度の需要があり、ライセンス生産も可能だったのではないでしょうか。航空産業振興と言う割にはこういうところは無頓着です。

つまり練習機の採用は単なる既存装備の更新ではなく、複雑な連立方程式ということです。
こういう発想が防衛省や自衛隊には存在しません。
また政治家も無頓着で無邪気に防衛予算増やせばいいと考えています。国防当局としては大変に発想が貧困で、かつ当事者意識に欠けています。

変わりゆく安全保障環境に対応し、なおかつ費用対効果を考えた統合運用という観点の発想ができないのは大変に問題です。

着るエアコンで20度冷却、冬は暖房にも 富士通ゼネラル
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC269910W4A121C2000000/

>富士通ゼネラルは5日、建設業や製造業の現場向けに身に着けて使うウエアラブルエアコンを開発したと発表した。首回りに装着すると、外気温よりも最大20度冷却できる。世界的な気温上昇によって現場の労働者が危険な暑さにさらされている。新興国や途上国での工業化が進むなか、労働環境の改善が急務となっている。

>重量は300グラムで、価格は税抜き6万円。装置のプレートを冷やしたり、温めたりして使う。外気温がセ氏40度の場合は20度に下げられ、冬は40度前後に温めて使う。1回の充電で最大7時間稼働する。25年春に販売を始める。海外展開も検討し、27年度に20万台の販売を目指す。

>今回開発した機種は本体と熱交換器を一体化し、従来機種に比べて全体の重量は4割軽くした。水を使って熱を移動させる「水冷式」という仕組みを使うことで、冷暖房の効率を高めた。

>ウエアラブルエアコンはソニーや家電メーカーの小泉成器(大阪市)が手掛けているが、消費者向けが主体だ。国内の製造業の就業者数は1000万人を超えており、富士通ゼネラルは業務用の需要が大きいと判断した。

まさにこういうものこそ「我が国独自の環境」に適合した装備でしょう。装備庁の自己満足のためにやっている研究開発よりよほど有用です。こういう研究開発に金をだし、相応の性能であれば、自衛官向けに千万単位で調達を約束すれば企業の開発リスクが減って資本回収も早くなります。またそれだけのオーダーが当初からあれば量産化によってコストも削減できます。当然海外の軍隊への売り込みも可能であり、日本企業の利益と売上、外貨の獲得の拡大、雇用の拡大に繋がります。


■本日の市ケ谷の噂■
防衛省の病院や医官はバイトをしないのが良い医官という風潮がある。職員、自衛官の多くも暇な職場で、技能や知識を身に着けることも出来ず、再就職で自分の無能を思い知らされるものが多い。実は、講演や執筆の依頼があれば、原稿や発表内容の許可を受けて行えば、謝礼の受取はOKだが、許可を出す管理職のほとんどがこの様な経験が皆無で、無能な者が多いため、お金をもらうことが悪だと誤解している、との噂。



財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf



 European Security & Defenceに以下の記事を寄稿しました。
Japanese MoD selects Beechcraft T-6C as the JASDF’s new primary trainer
https://euro-sd.com/2024/12/major-news/41765/japan-selects-t-6c-for-jasdf/

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊 次期初等練習機選定は審査が僅か一ヶ月で試乗もなし
https://japan-indepth.jp/?p=85525

月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態


紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。


軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。


軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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