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海自の無人機、MQ-9Bの調達とインド軍の調達の違い


海自がやっと哨戒用無人機の導入を決定しました。

海自導入の洋上監視無人機、米国社製の「シーガーディアン」に決定
https://digital.asahi.com/articles/ASSCH31DKSCHUTFK01KM.html

>海上自衛隊が2028年度からの導入を目指す洋上監視用の滞空型無人機について、防衛省は15日、米ジェネラル・アトミクス社製の「シーガーディアン」を選定したと発表した。23機を導入する計画で、1機あたりの取得費は約120億円を想定。来年度予算案に取得費の一部を盛り込む。

>選定にあたり、防衛省が提案を募集したところ、応募は同機のみだった。防衛省が機能や安全性などを評価し選定した。海自は昨年5月以降、日本周辺海域の警戒監視活動が無人機で代替可能かどうか、同機を試験運用して検証を進めていた。

そもそも無人機の導入が先進国ではありえないほどに遅かった。少子高齢化で省力化が進む中、あまりに危機感がなかった。更に色々と問題があります。まず23機の調達が全てなのか。もっと調達するのか、どのような目的に使うのかわかりません。報道によると武装は搭載しないようです。それでいいのでしょうか。
また哨戒機P-1を削減するのか。それも発表されていません。

しかも募集して応募が一社だけ。普通何社も応募してくるでしょう。国内商社の代理店が
あるところだけに絞ったのでしょうか。過去の官製談合で警戒されたのでしょうか。いずれにしても1社しか応募してこなかったのは大変問題があります。今後他の装備でも他国から提案がない場合が増えてくる可能性があります。

さらに10年間で23機といっても調達が本当に可能か?
例によってメーカーとそういう契約はしていないでしょう。10年もかけるのはスローモー過ぎます。途中で生産中止や仕様変更も当然あります。前中期防で海自は艦載ヘリ型UAVの調達が、メーカーの生産中止でできなかった。このときも3機だけの予定でした。
まとまった数を契約していればこういう間抜けなことは起こりません。

また同じ間抜けな調達を続けるのでしょう。

さて同時期にインド軍もMQ-9を調達します。
India signs contract to procure MQ-9Bs
https://www.janes.com/osint-insights/defence-news/air/india-signs-contract-to-procure-mq-9bs
ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーの記事ですが、インド国防省の発表は奇しくも防衛省の発表と同じ11月15日号です。

インド海軍は15機のMQ-9Bシーガーディアン15機とインド陸軍とインド空軍向けのスカイガーディアン16機(それぞれ8機)の調達を発表しました。インド国防省は別途、31機のMQ-9Bのメンテナンス、修理、オーバーホールサービスをメーカーのGA-ASIと別の契約も締結しました。調達契約は38億米ドル。

海軍のMQ-9Bは、南部タミル・ナードゥ州のINSラジャリ海軍基地、西部グジャラート州ポルバンダールのINSサルダール・パテル海軍基地、空軍用は北部ウッタル・プラデーシュ州のサルサワ空軍基地とゴーラクプール空軍基地に配備されるようです。

インドはMQ-9Bに武装を搭載します。機体に加えて、AGM-114Rヘルファイアミサイル170発、M36E9ヘルファイア訓練ミサイル16発、GBU-39B/Bレーザー小口径爆弾310発、実弾信管付きGBU-39B/B LSDB誘導試験弾8基、地上管制局、TPE-331-10-GDエンジン、M299ヘルファイアミサイル用ランチャーなどの購入も要請しています。

いやあ、さすが先進国の軍隊、どこかのプライドばかり高い未開の島国の海軍とは違いますねえ。まともな調達計画と運用計画が事前に発表されています。それに陸海空で同じプラットフォームを使うことで、運用・教育・兵站コストを下げています。無論同じプラットフォームだと事故やトラブルがあったりしたときは3軍とも運用停止になりますが、これまでのガーディアンシリーズの信頼性を鑑みているのでしょう。
陸自も無人機としてMQ-9Bを採用する方向だといいます。そうであれば統合運用の観点からも調達計画を統合するべきだったかもしれません。

そしてパッケージで調達しますから、どこぞの未開の島国の海軍のように調達前に生産が中止になったり、間抜けな陸軍のように調達途中でメーカーがラインを閉めて、攻撃ヘリが調達できくなることはありません。

それでも未開の島国の土人の軍隊はやり方を変えようとしない。もうカヌーとか、腰蓑にやりで武装すりゃいいんじゃないですかねえ。

賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶとはいいますが、防衛省と自衛隊は愚者以下であるということになります。この状態を放置して、防衛費だけ増やせばいいと騒いできた自民党の国防部会の先生方にも問題があるかと思います。



財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/01.pdf
防衛(参考資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241028/03.pdf

■本日の市ヶ谷の噂■
日本災害医学会にて陸自の竹島茂人、海自の清住哲郎、空自の宮脇博基らは自衛隊の医療の顔として制服を着て毎年 演第発表している。だがどの演第発表も、毎回とんでもない内容ばかりで現場からは苦情の嵐。竹島茂人はコロナ禍以降は私的にも出席しなくなった。 宮脇博基は2016年に機動衛生隊長、2017年1月1日 に1等空佐に昇任しているが、
陸自衛生学校の研究員(幹部)に自分が忘れた傘を届けさせるような人物、との噂。


Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
海自の艦艇は脆弱で戦争ができない
https://japan-indepth.jp/?p=85287

月刊「紙の爆弾」12月号に以下の記事を寄稿しました。
税金を浪費して欠陥機を導入防衛費「GDP比2%」無駄遣いの全実態


紙の爆弾 2024年12月号 [雑誌] - 鹿砦社

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
https://merkmal-biz.jp/post/77927

Japan in depthに以下の記事を寄稿しました。
新聞テレビが報じない自民党の防衛費GDP比2パーセント公約の撤回
https://japan-indepth.jp/?p=84903

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
航空自衛隊のT-7後継機取得 「官製談合」疑惑が再燃するなか、透明な入札は実現できるのか?
https://merkmal-biz.jp/post/77504/2

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「自衛隊員の手榴弾事故」現状の対策は不十分な訳
旧式の危険な手榴弾が訓練でも使用されている
https://toyokeizai.net/articles/-/831217


Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。
率直に言う 陸上自衛隊の戦車は「全廃」すべきだ
https://merkmal-biz.jp/post/77045
「石破首相 = 軍事オタク」は本当か? 防衛知識ゼロの他政治家が国を守れるのか? 石破氏を長年知るジャーナリストが“真実”を語る
https://merkmal-biz.jp/post/76790

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。


軍事研究 2024年 11 月号 [雑誌]

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
防衛省、ベトナムに「資材運搬車」を提供
https://japan-indepth.jp/?p=84403
「軍オタ」が歪める防衛議論(前編
https://japan-indepth.jp/?p=84282
軍オタが歪める防衛議論(後編)
https://japan-indepth.jp/?p=84315

European Security & Defenceに寄稿しました。
https://euro-sd.com/2024/09/major-news/40266/jgsdf-calls-for-numerous-afvs/

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/352551

月刊ZAITENに寄稿しました。
https://www.zaiten.co.jp/latest/

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/774627

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。


軍事研究 2024年 08 月号 [雑誌]


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
https://japan-indepth.jp/?p=83101
新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
https://japan-indepth.jp/?p=82844
日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
https://japan-indepth.jp/?p=82748

次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651

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