【オペレーション泣き落とし】日経が政権の走狗となって軍拡大宣伝
【オペレーション泣き落とし】日経が政権の走狗となって軍拡大宣伝
この写真、来年度概算要求資料で何度も使われています。
小野寺元大臣いうところの「可愛そうなF-2」というやつです。
可哀想な戦闘機と可哀想な防衛大臣
https://kiyotani.at.webry.info/202205/article_28.html
自衛隊は予算が足りなくて部品が調達できず、既存機の稼働率が低くなって、共食い整備してしのいでいる、だから予算を増やしてくれというお話です。
そして同様の記事を日本経済新聞が書いています。
いま始めてしりました!
みたいな間抜けな記事です。ぼくは東京新聞の「税を追う」シリーズで彼らにレクチャーして、その結果稼働率の話も取り上げて、それは書籍化されました。
日経は自分たちを間抜けだと言っているに等しい。
一読して政府のプロパガンダだと分かる記事です。恥ずかしいのか署名記事ではありません。こんなの指摘されて後で延々と追求されますからね。
こういう政府のケツを舐めて、世論操作に加担しているが記者クラブであり、日経は特にその傾向が強い媒体です。
日経は岸田政権ととともに軍拡を志向している媒体であることをよく覚えておきましょう。前の戦争でもそうやって世論を煽って戦争を始めました。その反省が無い媒体だということです。
防衛装備品、5割が稼働できず 弾薬など脆弱な継戦能力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE265A70W2A820C2000000/?n_tw=1662375751&unlock=1
>「稼働できる航空機が足りません。編隊を組む演習では規定の機体数が用意できないです」。航空自衛隊でこんな悲鳴が上がる。
>陸海空の3自衛隊全てで同じ声がある。近年は航空機や戦車など装備品の稼働率が大幅に低下している。
すべてに努力をして、予算の配分も適正に行って、無駄買いしていないというならば整備費用増額もやむなし、ですが実態は違います。
ところが実態は違います。他国の何倍も高い装備、整備費を払っているのが最大の問題です。装備調達は装備を調達すること自体が目的化しており、稼働しない「博物館」でかまわない、というのが長年の防衛省、自衛隊の文化でした。
例えば陸自の74式や90式戦車は他国の数倍の調達コストです。小銃や機銃など小火器は数倍から10倍以上です。弾薬も一桁高いお値段です。
空自のF-15Jは米国製の3倍ですし、F-2はそのF-15とお値段で、整備費・維持費はF-15よりも高い。F-35も組み立てを日本で行うことしてわざわざ高く調達、財務省にコストが高い、輸入に切り替えろと言われて、慌てて生産コストを下げて単価が20億円ほど下がりました。
海自のMCH-101はたった11機調達するのに国内生産、事実上は組み立てだけで2倍です。P-1は機体、エンジン、システム全部専用ですから当然コストは高くなる。737をベースにした米軍とは大違いです。
C-2の調達、運用コストは他国の輸送機の数倍です。
自衛隊機のコスパを検証する(前編)
https://japan-indepth.jp/?p=55801
>C-2のCPFH(Cost Per Flight Hour)は約 274万円、米空軍のC-130Jが 約 61.8万円、C-17が 約150.9万円(※1ドル/ 112円 30年度支出官レート)だ。(※参考:『防衛』平成30年10月24日)
>C-2のCPFHはC-130Jの4.4倍、C-17の1.8倍にもなる。ペイロード1トン当たりのCPFHは、C-2は10.5万円(26トン)、C-130Jは3万円(20トン)C-17(77トン)は1.96万円である。C-2のペイロード1トン辺りのCPFHはC-130Jの約3.5倍、C-17の5.4倍と、比較にならないほど高い。
>因みに1機あたりのLCC(ライフ・サイクル・コスト)はC-2が 約 635億円、C-130Jが 約 94億円、C-17が 約 349億円である。C-2の1機あたりのLCCはC-130Jの6.8倍、C-17の1.8倍である。これがペイロード1トン当たりのLCCになるとC-2は24.4億円、C-130Jは4.7億円、C-17が4.5億円であり、C-2の1機あたりのLCCは、C-130Jの5.2倍、C-17の5.4倍となり、これまた比較にならないほど高い。
>調達単価も来年度(当時)の防衛省概算要求では1機225億円で(令和5年度は約256億円、内初度費34億円)、ペイロードが3倍近いC-17と同等である。C-2の調達及び維持費は輸送機としては極端に高いことがわかるだろう。調達単価、CPFHの面からもC-2は極めてコストが高い。
例えるなら手取り400万円の経済観念のないサラリーマンが70年代のビンテージのアルファロメオを1千万円でローン組んで買うようなものです。ローン返済で食費も、ガソリン代も事欠くでしょう。その場合の解決策は会社に給料を上げてくれ、ではなくアルファロメオを中古のカローラに変えろよ、ということでしょう。
過剰に高い調達単価を抑え、維持整備費を意識した装備選択をするべきです。日経はこういう実態を知っているでしょうが、それは書かないわけです。知らないならばなんで防衛省に何人も記者が詰めているでしょうか?
>防衛省は非公式に実態を調査した。全装備品のうち足元で稼働するのは5割あまりだった。稼働していない5割弱のうち半数は「整備中」だが、残りは修理に必要な部品や予算がない「整備待ち」に分類された。
日経の報道だと最近調査しましたと読めますが、それは嘘です。
自衛隊は装備の稼働率に大変無関心でした。実は各幕僚監部は主要装備の稼働率を調査、把握していなった。東日本大震災の数年前に稼働率の低さを問題視した内局が主導して調査をしたら、散々な結果だったわけです。そしてぼくはその調査を公開すべきだと歴代防衛大臣に質問してきましたが、「敵に手の内は明かせない」と断ってきました。
なんで日経に内容や数字を教えたんでしょうかね?「敵に手の内は明かせない」じゃなかったんじゃなですかね。
つまり防衛省や自衛隊は稼働率向上に興味は無かった。その稼働率に低さは東日本大震災という「実戦で明らかになったのですが、それを変えよとしてこなかった。そしてその調査を主導した官僚は左遷されて、装備調達から外されました。
つまり自衛隊は誤りを犯さない、現状維持こそが大事であり、正義である。異を唱えれば排除する、というのがこの組織の文化です。
>日本の2022年度の防衛予算のうち、維持整備費は1兆1000億円と2割ほどを占める。「整備待ち」を解消するには「倍以上は必要」との意見がある。
>弾薬の中でも深刻なのは、ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)などに使う精密誘導弾の不足だ。自衛隊幹部は「南西諸島で有事があれば数日も持たない」と明かす。
>PAC3は1発あたり数億円とされる。迎撃ミサイルには1発数十億円のものもある。予算の枠内での優先度は低かった。
基本的に対空ミサイルのセットがあればいいや、演習でミサイルがあればいいや、というのが防衛省と自衛隊のスタンスです。そして国産ミサイルは調達数が少ないこともあって、たいへん高コストとなっています。安価な外国製に切り替える、それが嫌ならば零細規模のミサイル関連防衛企業を統廃合するというどこの国でもやっている手法をとるべきですが、それを全くやってこなかった。
これは航空機や電子機器でも同じです。メーカーを統廃合すれば多くの零細メーカーに細切れで細く長く、発注してラインを維持する必要がない。ただそれには痛みが伴うし、天下り先も減るので、防衛省、自衛隊はやってこなったわけです。
北朝鮮の弾道弾は大脅威だ、MDに注力するといってのは防衛省のみならず日本政府もでしたよね。
海自のMD用イージス艦は8発しかSM3を搭載していない。担当の2隻で16発、通常は弾道弾1発に対して2発のSM3を撃ちますから、8発にしか対応できず、飽和攻撃にはお手上げです。これを放置していたわけです。それは予算の問題じゃなくて行政機関としての意思決定の問題ですよね。
つまり「優先度」が高いといいとつ、実際は優先度が低かったわけです。これはよく知られていた話ですが、日経が批判したということを過分にして聞いたことがありません。
>弾薬は長期間は保管しにくい。政府の内部資料によると、機銃や迫撃砲の弾を含む弾薬全般の備蓄は「最大2カ月ほど」とされるが、既に1~2割は古くて使用できないとみられる。
だれがこの「内部資料」なんの目的で渡したんでしょうかね?
現用の弾薬だけではなく、その昔使っていた106ミリ無反動砲や最近退役した203ミリ榴弾砲の弾薬も大量に備蓄しています。多くは使えない危険物ですが、その廃棄は遅々として進んでいない。排気費用の捻出ができないからです。
>ソ連の侵攻に備えた冷戦期のまま、いまも日本の弾薬の7割が北海道にある。中国の脅威が迫る九州・沖縄は1割以下だ。弾薬庫の設置が進まない。
これも防衛省、自衛隊が宿題をやってこなった結果です。少なくとも陸自に関しては、不要な弾薬を廃棄すればその分収納能力に余裕がでてくるはずですが、それを概算要求ではまったく排気費用を増やす必要性を説かずに、弾薬庫の新設だけ主張しています。
また新規の弾薬庫の建設には火薬法などの見直しも必要ですが防衛省にはその気はないようです。
この記事だけを読めば普通の読者は自衛隊は予算が無いから、整備もできずに弾薬もたらないのだ、でれば防衛費の大幅な増額もやむなしと考えるでしょう。
それを普通「世論誘導」とか「情報操作」と呼びます。
アベノミクスの胡乱さも日経はわかっていたはずです。円安誘導で株価を吊り上げて、インフレにすれば、焦った庶民は値段が上がらないうちに我先に安いうちに買おうとするから景気は良くなる、なんていう話がいかがわしいというのはぼくのような経済の素人でも安倍政権発足前に安倍晋三がアベノミクスを発表した段階で批判していました。
それが「日本で最も権威ある経済媒体」である日経がずっとだんまりでした。そして最近になって円安が問題だと大騒ぎしています。日本にとって統一教会以上に危険な「反社会勢力」は日本経済新聞かもしれません。