日本政府は無能なので防衛産業を国営化しても不良債権を増やすだけ。
読売が防衛産業国有化について書いています。
このようなスキームはぼくが大昔に提案しています。
東京財団委託政策提言
「国営防衛装備調達株式会社を設立せよ」
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/01023/pdf/0001.pdf
独自】自衛隊を支える装備品工場、事業継続が難しければ国有化も…国内製造維持が狙い
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20221229-OYT1T50195/
>政府は、衰退傾向にある防衛産業を包括的に財政支援し、それでも事業継続が困難な場合は工場などの製造施設を国有化できる仕組みを創設する方針を固めた。製造施設は国が保有したまま、生産は事業を受け継ぐ企業に委託する。
>防衛産業に関わる企業を対象に、生産基盤の強化や海外輸出の助成など包括的な支援策を明記する。特に「自衛隊の任務に不可欠な装備品を製造する企業」については、これらの支援でも事業を続けられず「他に手段がない場合」に限り、施設の国有化を認める。
>具体的には、国が製造施設を買い取り、事業継承を希望する他の民間事業者に管理を委託できるとの規定を設ける。
>政府は、国有化はあくまでも最終的な手段に位置づける。法案では包括的支援策として〈1〉製造工程の効率化やサイバーセキュリティー強化など「生産基盤強化」のための経費支給〈2〉装備品の海外移転(輸出)を行う企業への財政支援〈3〉日本政策金融公庫による貸し付け促進――の3本柱を明記する。
そもそも防衛産業が産業であると言う意識が日本政府にも防衛省にもありません。単なる補助金のばらまきで終わるでしょう。
まず大手企業に防衛部門を維持発展するようなモチベーションが無いところが多い。いままの行きがかりで、嫌々ながらやっている。そういう企業に積極的に防衛部門を発展させる気はありません。
ですからまずやる気のある無しで選別しないといけない。だがそれはやらないでしょう。
例えば、ニコンなどはやる気が全くない無い。ペリスコープにしても三菱重工に強制されて「お付き合い」でやっているところがあるし、社内でも防衛部門には否定的な空気が強い。あれだけ世界中で双眼鏡売っていても、軍用双眼鏡はつくらない、そんな会社がまともに防衛部門を強化するわけないでしょう。
そうであればそのような企業からの調達は止めるべきです。あるいはニコンであればペリスコープビジネスを他社に譲渡するようにすべきです。中堅以下の企業でやる気があるところならばビジネスとして発展させることも可能でしょう。
それからついで、事業の統廃合です。同じ分野で弱小企業が縄張り訳あって食っている。
航空機メーカー3社もあって防衛省に寄生している「子供部屋おじさん航空産業」となっています。自立できない企業は殺していいです。
それが嫌なら事業を統合をすべきです。
航空産業に関していえば、航空産業ではなく、防衛航空産業として捉えるべきです。であればMRJ(スペースジェット)もテコ入れをすべきでした。エアバスだって黒字まで30年掛かったのですから、長期戦を考えるべきだった。中途半端に経産省がコミットしてそれで終わりならば、また同じ轍を踏みます。
事業統合抜きで公金を投入すべきではありません。こういうことを明記していませんから、単に公金垂れ流しで終わるでしょう。
>海外輸出の支援金は新設する基金から支出する。基金創設のため、2023年度予算案に約400億円を計上した。輸出先の要望に応じた装備の仕様変更などにかかる経費が支援の対象となる。装備品の納入先を国外に広げ、生産数増加による価格低下や利益率向上を図る。
これもばらまきで終わるでしょう。自腹を切ってやる度胸とやる気がない企業に金をばらまいても税金を溝にすてるようなものです。C-2の民間転用やら輸出やらと同じです。川重がリスク取って耐空・型式証明とって民間機として売るつもりはないでしょう。その気があればとっくに手をつけています。政府からうるさく言われているからやっているだけで、税金の無駄使いです。
市場価格の何倍も高い、怪しげで実績のない製品は誰も買いません。誰が音響工学の博士号保有者が一人もいないソナーメーカーのソナーを買いますか?
>支援対象となる「不可欠な装備品を製造する企業」の数や事業内容を把握するため、防衛産業の調査権限を防衛省に付与する。護衛艦関連だけでも約8300社が関与するなど、サプライチェーン(供給網)は巨大だ。調査に際し、外国製部品への依存度やバックアップ体制の不備など、経営リスクも点検する。
これ、10年ぐらい前にはじめて、とっくに完了していたはずですが、真面目にやっていなかった、ということです。かように防衛省に当事者意識&能力が欠如しております。
未だに政治も防衛省も産業界も我が優秀なる防衛産業の実力を持ってすれば、と夜郎自大に慢心しています。ですが、その実力は今や中進国以下です。
そのようなバイアスのかかった思考を変えるべきですが、それができないでしょう。
今回の取り組みは今までの防衛産業振興案と同じで、なにもできないまま終わります。
無理に国有化すればクズのような事業を抱え込むだけで、国家財政を悪化させるだけです。