コミュ力の前に、コミュニケーションってなんやねん
こういう記事で見られるように、採用で重要視されるわりになんかよくわからんコミュ力。コミュ力で検索すると「論理的思考力が〜」とか「共感力が〜」とか出てきますね。
ただそもそも「コミュニケーション能力」の前に「コミュニケーション」自体に分類があるような気がしていて、それぞれを理解しとくと「どういう能力がどういうシーンで必要か」がわかりやすいんちゃうかと日頃思ってるので、その辺の頭の整理を兼ねて記事にしてみます。
# コミュニケーションの分類
大きく2つ、「目的としてのコミュニケーション」と「手段としてのコミュニケーション」に分けられるんじゃないかなと思います。
「目的としてのコミュニケーション」はいわゆる雑談とか他愛もない話などで、コミュニケーションを取ること自体が目的になるシーンに相当します。
一方「手段としてのコミュニケーション」は、よくある「報連相」のような、なにか別の目的があって、それを達成するための手段としてコミュニケーションを取るシーンに相当します。
# 各分類の違いの整理
ざっと表にまとめるとこんな感じでしょうか。
一番大きな違いが「抱えている不安」じゃないかなと思います。
初めてのデートのときに「会話がちゃんと続くだろうか」って心配になることがあると思いますが、それは雑談などの「目的としてのコミュニケーション」は「曖昧さも許容しつつ発散的」に継続させて楽しむものだからです。
なので「話すことがなくなってコミュニケーションが終わってしまうこと」に対しての不安が出てきます。
一方で仕事等で多くなる「手段としてのコミュニケーション」においては、
未決のものを決定したり、理解の曖昧なことをちゃんと理解するためだったりと、「曖昧さを減らして収束させていく」ものです。なので「Aについて聞いてるのにBやCについて返してくるし、話が何も進まない」「目的も前提も共有されてないけどなぜか会議は設定され、なんとかくそれっぽいことを喋ってはいるけど何も決定せず、永遠に会議が終わらない」というようなことに対しての不安が出てきます。
このそれぞれの分類において、より強く発揮されるべき能力は異なってくるでしょう。なので「コミュニケーション能力として論理的思考力が大事である」というような主張は、手段としてのコミュニケーションの文脈では一定の説得力がありますが、目的としてのコミュニケーションの文脈でも同様の説得力があるかというとそうではないでしょうし、「コミュニケーション能力として共感力が大事である」というような主張も同様です。
また、「コミュニケーション能力とはAとBとCである」という主張も、
そのAとBとCの能力はそれぞれどういう文脈で発揮すればいいかもセットで語られないと、不適切な文脈で能力を行使することになりかねません。共感すべきシーンで論理的思考を発揮して、「ただ話を聞いてほしいだけなのに!」と怒りを買うようなシーンですね。
# 仕事で大事なのはどっちなの?
結局どっちも大事なんですよね。目的としてのコミュニケーションは人間関係の基礎ですし、手段としてのコミュニケーションは仕事をする上の基礎です。
「Googleで最高のマネジャーになるための8つの習慣」 鍵を握るのはやはりソフトスキルだった にもあるように、嫌な人とは一緒に仕事するのもつらいですし、とはいえ雑談ばっかしてても仕事は進みません。結局どっちも大事っていうことになります。
昔は「仕事なんだから手段としてのコミュニケーションのみでいいだろ」みたいな、むしろそれこそが最高にクールで知的な働き方であってそれができないのは甘えでしかない、みたいに思ってましたけど、そもそも人間って感情で動く動物なので、当たり前ですけどどっちも大事なんですよね。
# コミュ障とは
ちまたでよく言われる「コミュ障」って、目的としてのコミュニケーションにおいて、コミュニケーションがすぐ終わってしまうタイプの人のことを指してると思います。
しかし、このように2つに分類すると、世に言われるタイプのコミュ障もいれば、手段としてのコミュニケーションにおいて、「終わらせるべきコミュニケーションを終わらせられない人」も同様に(コミュ障と呼ぶかは置いといて)コミュニケーションに問題を抱えていると言えるんじゃないでしょうか。
楽しい雑談ができない人だけがコミュ障と呼ばれるのは、なんだかどうも納得がいきません。
# コミュニケーション能力の有無の判断
目的としてのコミュニケーションがうまいかどうかは、少し話してみれば割とすぐわかるのかなとは思いますが、手段としてのコミュニケーションがうまいかどうかはどう測るか?
個人的な経験則だと、文章を書かせればだいたい分かる気がしています。まともな文章をかける人は、まともにコミュニケーションを収束させることがおおよそできるように感じます。このあたり、企業の採用担当の方はどうやって測定しているのか気になるところです。教えてほしい。
# まとめ
コミュ力がほしい!!
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